鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<403>

隠退牧師の徒然記(2016年3月1日〜)<403>
2016年3月19日「思い出の場所と言うべきか」



聖書の言葉
わたしたちは洗礼によってキリストと共に葬られ、その死にあずかるものとなりました。それは、キリストが御父の栄光によって死者の中から復活させられたように、わたしたちも新しい命に生きるためなのです。
(ローマの信徒への手紙6章4節)



3月13日は横須賀上町教会の礼拝説教及び聖餐式を担当させていただいた。3月6日は三崎教会の礼拝説教であり、毎週のように教会に招かれていることを感謝している。横須賀上町教会の帰りに鈴木家の墓地に寄る。間もなく彼岸であり、寺から檀家料納入の案内もあったので、墓参を兼ねて寄ることにしたが、父が寄贈した源平桃の状況を観察するためでもある。源平桃の開花はまだであるが、それでも上の枝に一つだけ咲いていたのである。墓参に訪れたが、周辺のいくつかの墓石が新しくなっていることが印象に残る。いわゆる無縁墓地が増えつつあるということは、以前、寺の和尚さんが話されていたことである。その場合、無縁墓地をまとめるとも言われていた。だから、無縁墓地となった後は、新しく使用するようになった家があるのであろう。真新しい墓石と鈴木家の古めかしい墓石が対照的であった。帰りの車の中で、羊子を除く家族と共に話したのであるが、今後、我が家の埋葬は大塚平安教会の墓地になるということである。この寺の鈴木家の墓地は、いずれは無縁墓地になるからである。大塚平安教会の墓地は、鈴木伸治牧師が設計デザインしたものであり、そこに収められることは幸いなことなのである。
宮城県の陸前古川教会の最後の一年間では墓地の建設に入ったのであった。役員さんと共にいろいろな墓地を見学する。その墓地のデザインは私ではなかったが、教会の牧師として責任を持ちつつ建設したのである。しかし、完成を見ないまま大塚平安教会に転任したのである。その後、東北に行く機会があり、完成した教会墓地を見学したのであった。そして、大塚平安教会に就任するも、やはりこちらでも墓地建設に着手したのである。大塚平安教会は川崎の春秋苑の中に墓地を取得していたが、三角地帯でもあり、墓石を建てるのは困難であったようである。しかも教会から春秋苑まで1時間以上を要するので、近場の墓地を求めていたのである。そこで取得することができたのは厚木霊園であった。教会から30分もあれば行かれる距離である。早速、墓地建設が始まったが、教会はデザイン等、すべて牧師に任せてくれたので、導かれるままに出来上がったデザインの墓地が完成したのである。
墓地建設に関しては、よくよく縁があるようで、大塚平安教会と関わりがある社会福祉法人の綾瀬ホームとさがみ野ホームの墓地建設にも関わらせていただいている。参考意見を述べる程度であったが、墓地建設委員会に連ならせていただいたのである。両ホームは相模メモリアルパーク内に共同墓地を建設したのであった。両ホームの利用者の埋葬式には、司式のためいつも訪れていたが、すぐ近くに青山教会の墓地があることを知る。青山教会は私が最初に伝道者として招かれた教会である。当時の主任牧師、宮内彰先生やお連れ合いの義枝先生が埋葬されており、墓誌に刻まれているお名前を懐かしく拝見したのであった。
墓地に関してはいろいろな思い出を持つが、忘れられないのはマレーシア・クアラルンプールの公園墓地である。2013年3月から三ヶ月間、ボランティア牧師として赴く。赴任した最初の頃に、バルセロナにいる羊子が10日ほど滞在した。チャペルコンサートで演奏させていただいたのである。羊子の滞在中、マラッカに観光のため出かけることになった。貸切タクシーで赴いたのであるが、運転手は頼みもしないのに観光ガイドを行うのである。そして、参考になるからと、マラッカへの途中にある公園墓地へ連れて行ってくれた。マレーシアはイスラム教の国である。だから公園墓地はイスラム教以外の、キリスト教、仏教、ヒンズー教等の墓地なのである。印象に残ったのは、どの宗教の墓石は、一様に金文字で書かれていた。それらを写真に収めてこなかったことが心残りであるが、いつも心に示される墓地の風景なのである。残念に思っているのは、スペイン・バルセロナに通算6ヶ月も滞在しているのに、一度も墓地を訪れる機会がなかった。それは当然であろうが、バルセロナの墓地も参考までに見学しておきたかったのである。
墓地といえば、我が家の庭の一角は動物達が埋葬されている。大塚平安教会時代に飼っていた犬のチェリーが死んだとき、教会の植え込みの一角に埋葬しておいた。大塚平安教会が新しい会堂建設に踏み切ったとき、埋葬したチェリーを掘り出し、我が家の庭の一角に改葬したのであった。庭の墓地には犬のチェリーと共に、リス達、カメ達、そしてウサギもまた埋葬されている。墓地建設に明け暮れた生涯であった、なんて言わないが、まだ墓地建設があるのではないかと思っている。足高蜘蛛の死骸を見かけることがある。彼らの埋葬場所も考えようか。ゴキブリを捕まえてくれる功労者なのだから…。



陸前古川教会の墓地。在任中、建設にとりくみ、退任後に完成。



大塚平安教会の墓地。聖書・讃美歌を置いているのは説教台。
墓参の皆さんは墓石と思って水をかけてしまう。



鈴木家の墓。新しい墓が目立つ様になっている。



鈴木家の庭の一角にあるペットたちのお墓。