鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<164>

隠退牧師の徒然記(2013年7月20日〜)<164>
2013年7月26日「それなりに力強く生きる」


聖書の言葉
あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。
(ペトロの手紙<一>4章10節)



 スペインの列車脱線事故のニュースを痛ましくテレビで見る。スペインには羊子がいるので、まさか、その電車に乗ってはいないだろう、と思いつつも心配であった。そのような思いでいると、昨日、羊子から電話があった。元気に過ごしていることで安心する。その羊子は一ヶ月前にアフリカのカメルーンに行っている。そこでピアノの演奏会が開かれたのである。そのリポートを送って来たので、そのまま掲載しておく。



カメルーン滞在記

6月20日から27日にかけてアフリカはカメルーンに行ってきました。
友人である神父さんが、「神父15周年記念」の催しをするのでぜひ来て欲しいと去年からずっと言われ続けていたからです。
今までに開発途上国を訪れましたが、いつもホテル等環境の整った場所に滞在していました。
今回は現地人と共に生活をし、改めて生活レベルの違いを実感しました。と言っても、教会の神父さんのお宅に滞在していたので現地人の環境よりもかなり良い方だったようです。
外国人の私は、予防注射をしたといっても、いろいろ生活に気をつけなければいけませんでした。たとえば、水道水は汚れているのでシャワー(お湯はありません)を浴びたら必ずミネラルウオーターでゆすぐ。飲料水はペットボトルやビン等密封されたもののみ。生野菜は食べない、食べ物は良く火が通されたもののみ。毎日マラリア防止の薬を飲むこと。蚊にさされないよう、蚊よけスプレーをしてなるべく長袖長ズボンでいること。等々。
町の中心部や高速道路は舗装されていますが、ほとんどが土の道路です。外出はいつも車でした。泊まっていた町は街灯がないので夜は本当に真っ暗です。
パソコン、インターネットは少数の人が持っていて、でも回線が悪く、時には40日間回線不通状態だったとか。そのわりに携帯電話は沢山の人が持っていました。スマートフォンを持っている人もみかけました。食べるのに困っているのに携帯は持っているというのが不思議でした。
水洗トイレ(自分でくみ水を流す)はごく一部の場所ですし、ごみはその辺に捨てる、洗濯物はその辺の芝生の上で乾かす、と言った非衛生環境から子供達は特に病気に感染しやすいでしょう。医療に関しては特に助けが必要だと思いました。
現地にて偶然スペイン人の看護師と知り合いました。ボランティアで毎年カメルーンに医療品を持ってきて現地の病院を助けているそうです。彼とはなんとスペインで共通の知り合いが何人かいることを知るのでした。世の中の狭さを感じました。
コンサートをしましたが、殆どの人達はクラシック音楽を聞いた事がありませんでした。それにも関わらず熱狂的に喜んで下さいました。まず第一に車の故障でコンサート会場に着くのが遅れ、コンサート開始時間が4時間も遅れたにも関わらず、皆さん待っていて下さったのに大変驚きました。
我々日本人には考えられない状況で皆さん生活していますが、皆さんはとても明るく、いつも助けあって生活している事がよくわかりました。本当に沢山の事を教えられました。
またいつか訪れる機会があったら、皆さんのお役に立てたらいいなと思っています。
羊子




羊子を招いたくださった神父さんの「神父15周年記念礼拝」に集まったの皆さん。



少年の皆さんと。右側の羊子の隣が神父さん。



聖歌隊の女性の皆さん。



神父さんがオーダーメイドで羊子にプレゼントしてくれた民族衣装。



 羊子を招いてくださった神父さんとは、私達夫婦もお会いしている。昨年9月10月にスペイン・バルセロナに行き、羊子のもとで二ヶ月間過ごす。羊子の知人、サンタコロマのホセ神父さんとカルチャーセンターの役員さん達とも親しくお交わりをいただいている。そのホセ神父さんを中心とする皆さんが研修会をサンタスサンナのホテルで開催したのである。ホセ神父さんは、その研修会で羊子のピアノ演奏のプログラムを入れる。研修だけでは疲れるので、気持ちの切り替えのためであろう。そして、研修会に参加しなくても私達をホテルに招待してくれたのである。羊子は自分の演奏と共に私のハーモニカ、スミさんの独唱まで披露したのであった。その研修会に、今回羊子を招いてくださったカメルーンの神父さんが参加していたのである。その後、我々が羊子の家に滞在中にもその神父さんが来宅する。羊子といろいろとお話されて帰られたのである。羊子がさまざまな人々との出会いを与えられているが、それと共に私達も多くの出会いが与えられていることを感謝しているのである。