鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<233>

隠退牧師の徒然記(2013年7月20日〜)<233>
2014年2月20日「多く用いられ」


聖書の言葉
また、彼らに言われた。「何を聞いているかに注意しなさい。あなたがたは自分の量る秤で量り与えられ、更にたくさん与えられる。持っている人は更に与えられ、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。」
(マルコによる福音書4章24-25節)



 娘の羊子がスペイン・バルセロナでピアノの演奏活動をしていることについては、これまでも度々記している。すでにスペイン曲をCDに収めて皆さんに聴いていただいているが、この度、日本の曲を収めたCDを発行する運びとなっている。4月頃にはできあがると言うことである。その4月にはまた一時帰国することになっている。昨年、11月に帰国して、青山教会、ドレーパー記念幼稚園、横須賀上町教会、三崎教会、ベストライフ相模原にてコンサートを開かせていだいた。今回、4月の一時帰国は日程が悪いので、教会には声をかけられなかった。4月20日イースターであり、27日は多くの教会が教会総会を開催するからである。もともと今回の帰国は、日本にいるその道の友人が、ディナーコンサートを企画してくれているのである。そして、バルセロナ在住の日本人画家が東京で個展を開催するので、そのオープニングに出席するためであると言う。その画家は大原さんと言う方で、私達がバルセロナに滞在しているときにはお交わりをいただいている。羊子が今回発行するCDジャケットには大原さんの絵が使われている。
 その羊子は最近サグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会)のミサで奏楽を担当するようになった。もともとカトリック教会で奏楽をしているが、加えてサグラダ・ファミリアでも奏楽するようになったのである。羊子がバルセロに滞在するようになり、プロテスタント教会を探したが、近くにはないので、市内のカトリック教会に出席するようになり、そこで奏楽を担当するようになっている。大塚平安教会が教会創立60周年記念誌を発行した時、皆さんの証しを掲載している。娘の羊子も証しを記しているので、ここに引用しておく。
<羊子の証し>
「君はプロテスタント信者だから、聖餐を受けることはできません。奏楽はして下さい。」カトリック教会の神父の一言でした。
スペインは、キリスト教カトリック派の国で、街中に沢山の教会があります。私の今住んでいる地域も半径500mに一軒はあるというくらいです。バルセロナは、スペインですが、スペイン語とカタラン語の両言語を話します。カタラン後の方がメインで、礼拝もカタラン語で行われるのが普通です。そういった状況もあり、スペインへ来て初めの頃は教会に毎週へは行っていませんでした。
言葉が少しわかるようになり、スペイン語で礼拝をする教会を見つけ、通い始めた時に言われた神父の一言はショックでした。その教会は、他の石造りの教会とは違い、木造りで、オルガンも大塚平安教会と似たタイプで、気に入っていました。しかし、残念ながらその後、その教会へ行く気持ちがなくなりました。
その週、たまたま普段通らない道を通った時に1軒の古いカトリック教会を見つけました。掲示板にスペイン語の礼拝時間が記されていたので、早速翌日曜日の礼拝に出席しました。出席者は地域の年配の人達が殆どで、オルガンもなく、神父の歌に合わせて会衆賛美をしていました。カトリックの礼拝は、神父は白いガウンを着て、説教を講壇の上で行います。しかし、この教会の神父は講壇から降りてマイクを持って会衆のそばにより、話しかけるように説教をするのでした。変わった神父だと思いました。まして、ガウンの下はジーパンをはいていたりします。しかし、説教はあたたかく心に入ってきました。翌週もまたその教会へ行きました。神父に、自分はプロテスタントであること、他の教会で聖餐を拒否されたことを話しました。すると、神父は「そんなのはナンセンスだ。我々の信ずる神は一つです。カトリックプロテスタントも同じキリスト教です。あなたがキリストを信じるなら、ぜひ聖餐を受けて下さい。」と言ってくれました。そう言われてホッとしました。世界のキリスト教会において、こういった問題は提議されています。
それまでに、いくつかのプロテスタント教会にも行ってみましたが、家からとても遠いのと、毎回礼拝の前半は賛美や祈祷会も兼ねていて、3時間かかる礼拝だったので、足が遠のいてしまいました。ようやくカトリックではありますが、毎週通える教会をみつけました。何度か通ってから、ある日教会の隅に小さなオルガンがあるのをみつけました。神父に訊いてみたところ、9年前まで奏楽者がいて使っていたそうですが、今は弾ける人がいないので、片隅におかれていたそうです。奏楽奉仕を志願し、翌週より毎週奉仕するようになりました。讃美歌集はあっても、旋律しか書いていないので自分で伴奏をつけます。また、歌詞しかないものは、神父に歌ってもらって楽譜を作っています。この神父はミュージシャンで歌がとても上手です。今では一緒にコンサートを行ったりしています。それからしばらくして、中古のグランドピアノを買い教会におかせてもらうことにしました。奏楽は、ピアノとオルガンの両方でします。教会の皆さんから、「奏楽によって、こんなにも自分が霊的に強められるとは思わなかった。」と感謝の言葉をいただき、嬉しく思っています。私自身、礼拝奏楽は、神様が与えて下さった使命、賜物だと思っています。おばあちゃんになっても一生続けていきたいです。


 羊子が最初にサグラダ・ファミリア(聖家族贖罪教会)のミサの奏楽をしたとき、今もサグラダ・ファミリアの建築をしている外尾悦郎さんもミサに出席していた。羊子とも親しくお話してくださり、羊子が両親のためにサインを求めたので応じてくれた。それを羊子が送ってくれて、羊子の活躍を改めて示され、喜んでいるのである。サインは「ガウデイ」(神の建築家)という小冊子の裏表紙に記されている。今後、サグラダ・ファミリアの写真を見るたびに、ここでミサの奏楽をしている羊子を思うであろう。そんなことを思うと、またバルセロナに行きたくなっちゃったりして。




サグラダ・ファミリアの建築家、外尾悦郎さんが私達のためにサインをしてくださる。