鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<442>

隠退牧師の徒然記(2016年3月1日〜)<442>
2017年6月17日「マルケスさんを偲びつつ」



聖書の言葉
この人たちは皆、信仰を抱いて死にました。約束されたものを手に入れませんでしたが、はるかにそれを見て喜びの声を上げ、自分たちが地上ではよそ者であり、仮住まいの者であることを公に言い表したのです。
ヘブライ人への手紙11章13節)



スペイン・バルセロナマルケスさんが召天されたことを羊子が知らせてくれた。6月4日、86歳であったという。6月4日と言えば聖霊降臨祭であり、六浦谷間の集会礼拝開始200回目であった。記念すべき日にマルケスさんが召天されたことは、いつまでも心に示されることになるだろう。マルケスとはスペイン語で伯爵との意味で、お名前はホアキン・ロドリゲスさんである。伯爵と呼ばれているのは、家柄なのか、風貌なのか定かではないが、お交わりをいただいていると、まさに伯爵さんが漂っているようだ。私たちがホアキンさんと出会うのは2011年4月と5月にバルセロナに滞在しているときであった。娘の羊子がスペインにおいてピアノの演奏活動をしているので、私達夫婦と二番目の娘・星子と共にバルセロナを訪れたのである。
マルケスさんと最初にお会いするのは、2011年4月30日である。バルセロナ滞在中、羊子のお友達のマルガさんが、羊子の家族が滞在しているということで、食事にお招きくださったのである。その時、マルケスさんもお出でになり、食事をしつつお交わりをいただいたのである。6年前だから80歳の頃かと思われる。マルガさんのスペイン料理をおいしくいただいたのであるが、マルケスさんがご持参になったチョコレート菓子の味も忘れられない。その後、何回かお会いすることがあったと思うが、あまり記憶にない。むしろお交わりが深まるのは2012年に滞在したときであった。9月と10月に滞在したが、その時は私達夫婦であった。9月12日にはマルケスさんに招待され、夕食をいただいている。連れ合いのスミさんは腰の痛みがあり、失礼している。マルケスさんは数年前にお連れ合いを亡くされ、お子さんたちはそれぞれ家庭を持っているので、お一人で生活されている。マルケスさんの手料理をいただいたのであった。その後もお食事にお招きくださったり、羊子のコンサートにはいつも一緒に行かれるのであった。そして、私たちが帰国する前に、やはりお招きくださる。その時は、他の友人を招くと私達夫婦が気を遣うだろうからと、マルガさん以外はどなたも呼ばれなかった。そのお心遣いをうれしく、食事をいただいたのであった。
そして2014年10月からは二ヶ月半の滞在となり、さらにマルケスさんとのお交わりが深められたのである。この10月には羊子がサグラダ・ファミリア教会でスペイン人の彼と結婚式を挙げるのであるが、マルケスさんは結婚に必要な4人の証人の一人になってくれたのである。この滞在で随分とお交わりの機会が多かった。特に印象に残るのは、サンタコロマ市でコンサートが開かれたとき、やはりマルケスさんも一緒だった。コンサートが終わり、ホセ・ルイス神父さんのお宅で夕食をいただくことになった。その時、マルケスさんが立ち上がり、ご挨拶をくださったのである。羊子がスペインの各地で演奏活動をすることは大きな喜びであり、羊子の人柄もうれしく思っており、この度、羊子の両親とお交わりできたことをうれしく思います、というようなお言葉であった。スペイン語を羊子が通訳してくれたので理解したのであるが、身に余るお言葉であったと思う。だから私も引き続いて挨拶をしたのであった。羊子がバルセロナに滞在している中でも、皆さんとのお交わりをいただいていることを知り、遠く日本にいながらも安心していると述べたのであった。すると今度はホセ・ルイス神父さんが立ち上がり、ご挨拶をくださる。羊子がバルセロナの誇りになっていること、その羊子との交わりが大きな喜びであるとお話しされたのであった。こうして順次挨拶をして、その後は神父さん所蔵の美味しいワインをいただいたのであった。
マルケスさんは外国人である羊子に特別な思いを与えてくださっており、いろいろと私達のためにも気を遣われる。マルケスさんの82歳の誕生会が開かれたとき、私達夫婦もお祝いの会に臨ませていただく。その誕生会でのご挨拶のときにも、羊子の両親が日本からきており、このお祝いの会に出席してくださり、心から感謝するとの内容であった。その時、羊子の伴奏で私がハーモニカの演奏、スミさんが歌ったこと、思い出に残る機会を与えてくれたと思っている。多くの皆さんから愛されたマルケスさんである。いつまでも皆さんの心に残ることであろう。葬儀の終わりには、羊子が「希望と光の泉」を演奏し、お別れをさせていただいたということである。



マルケスさんのお宅に招かれる。



マルケスさんの82歳の誕生会。羊子とフルート奏者のセヴェリンさんと。



ホセ・ルイス神父さんのお宅で食事をしつつお交わり。



羊子の結婚式で、4人の証人の一人として。サグラダ・ファミリア教会にて。