鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

スペイン滞在記 <8>

スペイン滞在記(2011年4月4日〜5月18日) <8>
2011年4月9 日「オランジュリー美術館」
 

 早いものでパリ滞在三日目になる。昨日はルーブル美術館にて、キリストの受難の絵画をこれでもか、これでもかと見せられた。おりしも今は受難節であり、次の日曜日は「棕櫚の主日」であり受難週に入る。その意味でもルーブル美術館の絵画の鑑賞は意味深いことが示されるのである。キリストの十字架をしっかりと仰ぎ見よう。それにしてもヨーロッパの歴史において、キリストの受難物語は大きな比重である。キリスト教を知らない人たちが、キリスト受難の絵画を見て、どのように思うのだろうか。気持ち悪いとの印象もあるかも知れない。情熱をかけてキリスト受難を描いた人たちに敬意を表したい。
 


チュルリー公園におかれているいろいろな彫刻



さて、今日はオランジュリー美術館、オルセー美術館を見学する。いずれも歩いて行ける距離である。スミさんを車椅子に乗せ、チュルリー公園を歩く。ここも広い公園である。ところどころに彫刻が置かれている。プラタナスの若葉が気持ちよい。途中、ベンチに座っている女性に、写真を写してもらうため頼んだら日本人であった。しかも横浜に住んでいたと言う。こちらではアルバイトをしながら生活しているとも。
 オランジュリー美術館はそんなに大きくない。ここは何と言ってもクロード・モネの絵画である。日本でもよく知られている「睡蓮」の絵画が、一部屋の周囲に飾られている。繋いでいると思うが、それこそ10mもあろうかと思われる。大画面のパネル40枚のほか、膨大な連作、250点以上の「睡蓮」を描いたといわれる。オランジュリー美術館にある「睡蓮」は合計22枚のパネルからなる8点の作品となっている。
 モネもさることながら、この美術館にはルノアールセザンヌモディリアーニ、ルソー、ローランサンピカソマティス、ドラン、ユトリロ等の絵画が展示されている。ルノアールの「長い髪の浴女」、「ピアノを弾く娘たち」、セザンヌの「樹木と家」、モディリアーニの「若い奉公人」、ローランサンの「スペインの踊り子たち」は、絵画本で見た記憶がある。ここはルーブル美術館のようにたくさんの絵画が展示されているのではないので、むしろ落ち着いて鑑賞できると思った。



クロード・モネの「睡蓮」を驚きつつ鑑賞






 ルーブルでも同じだが、必ずエレベーターがあることは車椅子にとってありがたい。車椅子であると係官もすぐに手を差し伸べてくれるのである。出口には作品を売る店、お土産屋さんがある。記念にいろいろと買い求めたかったが、日本に帰るに当たり、なるべく絵葉書程度にとどめた。しかし、記憶をとどめるためにも解説書を購入した。ルーブルでも買い、ここではこれから行くオルセー美術館の解説書もあったので、ここで求めておいた。オランジュリーとオルセーは連動していて、チケットは両美術館で使えることになっている。
 オランジュリー美術館を出て、再びチュルリー公園を戻るようにして歩いた。公園は多くの人が歩いていた。このパリは観光客にあふれていると言う印象である。どこに行っても人の群れである。外国からもやってきているわけで、日本人も多く見かけている。東洋人は似たような顔をしているので、日本人だと思って声をかけても中国人、韓国人かも知れないのである。だから声をかけることはなかった。皆そのように思っているのであろう。公園の中央辺りに食事どころがあり、大勢の人が食事をしている。外にテーブルが置かれているのである。空席があったので席を取った。外で食べる習慣は日本にはない。プラタナスの木の下で、心地よい風を受けながらの食事は、外国に来ているのだなあ、とつくづく思うのである。食べたスパゲッティーも日本の味とそんなに変わらない。大勢の客がいるので、女性の接客係りにパンを注文してもなかなか持ってこない。催促してようやく持ってくるという状況である。これだけ多くの人間が訪れているのだから、このような店が数軒あっても良いのではないかと思った。公園には鳩もいるしカラスもいる。公園内ではサッカー等する人はいない。日本のゲートボールみたいなゲームを、こちらでも老人たちがしている。もっとも、こちらではハンマーは使わないで、直接ボールを放るというものである。食事後、オルセー美術館に向かった。


にぎわうカフェーテラス。ここで楽しい食事をする。