鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記 <120>


隠退牧師の徒然記(2011年6月1日〜)<120>
2012年7月6日 「見たことを書き留めよと言われ」
 

聖書の言葉
恐れるな。わたしは最初の者にして最後の者、また生きている者である。一度は死んだが、見よ、世々限りなく生きて、死と陰府の鍵を持っている。さあ、見たことを、今あることを、今後起ころうとしていることを書き留めよ。あなたは、わたしの右の手に七つの星と、七つの燭台とを見たが、それらの秘められた意味はこうだ。七つの星は七つの教会の天使たち、七つの燭台は七つの教会である。
ヨハネの黙示録1章17-20節)



 横浜市立大学のエクステンション講座を受講し、去る7月3日に終了した。確か、3月末に金沢区役所に赴いたとき、講座の案内書が置いてあり、定員30人として募集していた。4月17日からなので、もはや定員に達しているかもしれないと案じつつ申し込む。何とか受け付けてくれたようである。実際、講座には30人以上の受講者がいたのである。だから、私の場合は定員を超えた受講生であったかもしれない。
 講座は「ヴェネツィアルネサンス絵画の巨匠たち」(海の都の芸術を探求する)というテーマである。中世ヨーロッパの歴史に興味を示し、塩野七生さんの著作である「ローマ人の物語」、「海の都の物語」(ヴェネツィア共和国の一千年)、「わが友マキアヴェリ」(フィレンツェ存亡)等を読み、マクニールの「世界史」を読んでいるので、興味ある講座であった。講座の内容を記しておくと、第一回の4月17日は「ヴェネツィアの芸術的環境」、第二回の5月1日は「ジォヴァンニ・ベルリーニ」、第三回の5月15日は「アントネルロ・ダ・メッシーナ」、第四回の6月5日は「デューラーヴェネツィア」、第五回の6月19日は「ヴェネツィア物語(カルパッチオ)」、第六回の7月3日は「ヴェネツィア派の黄金時代(ティツィアーノ)」の内容であった。そのうち6月19日は「神の庭・サンフォーレ」の礼拝担当と総会が開かれたため、残念ながら欠席する。これらの講座を受講して、大変勉強させられたことは確かである。中世絵画の有名なものは鑑賞しているが、それも一部であることを思い知らされるのである。尚、講師の塚本博さんは明治学院大学横浜市立大学西洋美術史を担当され、各地で美術講座を担当している。さらに海外美術の旅に講師として同行している。今回もNHK文化センターの「第26回国際交流祭inフィレンツェ」として名画の旅案内をいただくが、残念ながら参加できない。他にも「魅惑のドイツ3大都市美術館周遊」なる旅の案内もあった。参加するには、もう少し西洋美術史を学んでおく必要がある。
 娘の羊子がスペイン・バルセロナでピアニストとして演奏活動をしているので、昨年4月5月に連れ合いのスミさんと娘の星子と共に訪れ、一ヶ月半滞在する。そのとき羊子は我々をパリにある三大美術館に連れて行ってくれた。ルーブルオランジュリー、オルセー美術館を見学した。さすがに有名なミロのビーナスモナリザを鑑賞する人が多く、いつまでも立ちつくすことができなかった。「ナポレオンの戴冠式」や「カナの婚礼」は絵そのものが巨大なので、そばに寄らなくても鑑賞できる。ルノアールやモネ等、知られている絵画はゆっくり鑑賞できた。しかし、今回の講座を受講して、有名な絵画をさっと見るだけであったことを示される。例えば、ルーブル美術館には、ぺトルス・クリストゥスの「キリスト哀悼」、「青年デューラーの自画像」を鑑賞したことはしたが、対して心を動かさないで通り過ぎてしまった。また、マドリッドプラド美術館にあるデューラーの「自画像」もちょっと足を止めて鑑賞した程度であった。絵画の知識無くして美術館を鑑賞すること、今から思えば「もったいない」という思いである。




ルーブル美術館の前で。連れ合いのスミさんは
腰の具合が良くないので車椅子を利用。



「ナルドの香油」の絵画鑑賞記念として。



巨大な絵画「カナの婚宴」の前で。



 今回の受講により「エクステンション通信」に登録しておいたので、今後いろいろな講座の情報を知ることができる。また、興味ある講座を受講することにしよう。なにしろ自宅から横浜市立大学まで20分も歩けば通える距離なのである。多少の雨でも傘をさして歩いて行くが、もし大雨であったら車で行くつもりでいた。大学の近くにダイエーがあるので、そこの駐車場に入れ、帰るときに何か買い物をすれば良いからである。それは一度もなかった。我が家の近くには関東学院大学があり、そこまでは歩いて10分程度である。この大学も公開講座を行っており、そのうち興味ある講座を受講することになるだろう。隠退教師の楽しみが尽きない場所に住んでいることをありがたく思っている。