鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<48>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<48>
2014年12月26日「ステファノ記念日」



 12月25日はクリスマスなので、どこもお休みであった。24日の場合は、クリスマスが夜から始まるので会社や商店は休みではない。そして24日は夜中の12時に教会に集まり、主のご降誕のミサである「ミサ・デ・ガージョ」を行うのである。そして迎える25日はクリスマスであり、この日は家族だけのクリスマスのお祝いとなる。家でクリスマスに食べることになっている料理をいただくのである。クリスマスに七面鳥を食べる習慣はアメリカでありヨーロッパにはない。羊子の家では24日の夜にエスクデージャをいただく。25日のブログにも記したが、クリスマスにいただく料理である。エスクデージャという食べ物は、鶏肉や豚肉そして野菜を煮込んで出汁を作る。その出汁、スープに貝殻状の茹でたマカロニを入れて食べるのである。このマカロニはとても大きく、日本のように小さな貝殻状ではない。これがクリスマスに食べなければならないものなのである。とても美味しい料理である。そして26日はスープを取った具材を春巻きの様にして食べるのである。これはカネロネと言われる。このカネロネを今日はいただくことになる。
 ところで25日はクリスマスのお休みであるが、26日(金曜日)もまたお休みなのである。12月26日はステファノの殉教記念日とされている。ステファノはキリスト教の歴史において最初に迫害されて殉教した人である。使徒言行録の記録によると、イエス様が昇天された後、聖霊をいただいたお弟子さんたちの力強い働きが展開される。そしてお弟子さん、すなわち使徒達だけでは人々の諸問題が解決できないので、使徒達を手伝う7人を選ぶ。その中にステファノがいたのである。ステファノは原始教会の生活の世話がかりと共に信仰を力強く証したのである。その証を聞いたユダヤ教の指導者たちが、ステファノをユダヤ教の異端者と決めつけ、人々に石打の刑をさせたのである。まさにステファノは最初のキリスト教の殉教者なのである。しかし、このステファノの殉教はあまり多くは覚えられてはいない。聖書の記録として読むが、特別には扱わないのである。特別に扱っているのは、アイルランド、イタリア、オーストリアクロアチアフィンランドルーマニア、そしてスペインはカタロニア州が限定で「ステファンの日」として公休日にしているのである。
 26日がお休みであることは、もちろんありがたいことである。25日は家族でクリスマスをお祝いするのであるが、26日は家族に限定せずお友達と共に食事をいただくのである。何事も食事が中心である。エスクデージャについては前記しているが、スープを作った具材は鶏肉、豚肉、諸野菜である。これは捨てられない。それでこの具材を細かくして春巻きのようにする。カネロネと言われる食べ物である。クリスマスに食べなければならないものとか。それを26日に食べるということである。26日はステファンの日であるが、お休みはありがたいとしても、このお休みを利用したいのである。それで春巻きすなわちカネロネをお友達と共にいただくことになるのである。私達は羊子と親しくしているマルガさんに招かれている。午後2時頃には家を出る。羊子夫婦と我々夫婦の四人がマルガさんの家に行ったとき、他にマルガさんのお友達二人がおられ、七人でカネロネをいただく集いとなる。まず前菜として出されたハム、チーズ類をおいしくいただく。カタロニア州の特別なハム類だと言われる。ワインをいただきながら食べるとき、もうこれだけでお腹いっぱいである。そしてオーブンで調理されたカネロネが豪快にお皿に盛られる。本当に春巻きの形である。しかし、中身は具材を細かくしており、なんであるかわからないが、いろいろな味がする。一見淡白そうであるが、これが可成り味の濃いものであった。美味しいことは確かである。そして、食後はクリスマスに食べなければならないお菓子が出される。既にパロキアの教会でもいただいているが、お菓子は練り状のものが多い。日本で言えば東北の「ユベシ」の様なお菓子である。他にナッツ入りのチョコレートもある。この頃はお腹いっぱいで食べられないのである。そして食べることが終わってから、例によって延々とお話しが続く。何を話しているのか。どこの店が美味しいとか、その店はどこにあるとか、その店への行き方迄話している。いろいろと話が尽きないのであるが、話の内容はなんてことはないということである。それでも午後5時30分頃になってようやく帰路についたのであった。
 26日はカネロネをいただく日であるが、ステファノ記念日であること、日本ではこういう記念日はないので、この記念日の意義を示されている。すなわち25日のクリスマスにイエス様が現れ、その翌日にはイエス様を信じるステファノが殉教する、意義深い日として受け止めたいのである。



マルがさんに招かれ、カネロネをいただく。



今回の滞在は度重なる美食であり…。



オーブンで焼かれたカネロネ。



クリスマスに食べるお菓子と言われるが、お腹いっぱいで…。