鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<47>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<47>
2014年12月25日「予期せぬクリスマスの体験」



 昨日はパロキアの教会におけるクリスマスのミサに出席させていただいた。ミサの終了後には簡単なお茶の会が開かれる。用意されたクリスマスのお菓子、カヴァや他の飲み物をいただきながら歓談する。クリスマスに食べるお菓子があるそうで、いくつかの種類が並べられていた。その中にボルボローンというお菓子があり、包みごと握りしめて食べるのだという。そうでないとぼろぼろとこぼれてしまうからだという。大きな玉をプレゼントにいただく。中にはいろいろなお菓子が入っているという。ミサは7時から始まり、8時頃に終わり、お茶の会に出たりしてから帰宅したのは9時頃であった。それからクリスマスのお祝いの食事をいただく。エスクデージャという食べ物で、鶏肉や豚肉そして野菜を煮込んで出汁を作る。その出汁、スープに貝殻状の茹でたマカロニを入れて食べるのである。このマカロニはとても大きく、日本のように小さな貝殻状ではない。これがクリスマスに食べなければならないものなのである。とても美味しい料理である。そして26日はスープを取った具材を春巻きの様にして食べるのである。これはカネロネと言われる。これについてはまた後で触れることになる。
 今日は25日である。昨日も夜7時からのクリスマス・ミサに出席したが、今日は午前9時からのサグラダ・ファミリアにおけるクリスマス・ミサ、12時30分からのホセ・ルイスさんのカトリック教会のクリスマス・ミサに出席する。毎朝9時過ぎに起床しているので、午前9時からのミサに出席するため、8時頃には起床し身支度をしたのであった。羊子は9時前には出かける。サグラダ・ファミリアのミサの奏楽も毎週担当しているのである。我々も9時前には出かけたが、多少遅くなり、既に始められていた。家から5分の距離である。今日は我々が存じている神父さんではなく、別の神父さんが担当していた。羊子の結婚式を担当してくれたルイス・ボネ神父さんが主任なのである。我々が会衆席に座っているとボネ神父さんがわざわざ挨拶に来てくれた。ミサ中であろうが握手したり、ハグしたりの挨拶は普通であるようだ。こちらのクリスマスのミサは昨日のパロキアのミサとは異なり、大人のミサであり子供の姿はなかった。子どもは子供用のミサがあるそうだ。ミサが終わってもお茶の会などはない。クリスマスなので終わりには主イエス様のお人形に順次キスをして帰っていくのであった。
 そして帰宅し、一休みしてから11時30分には再びミサに向かう。羊子がいつも親しくさせていただいているが、私達も親しくさせていただいているホセ・ルイス神父さんの教会、サンタ・マリア・デルス・サンツ教会である。12時30分からである。ホセ・ルイス神父さんは三年前からこちらに就任しており、2012年に私達が羊子の家で滞在したときに、私達もこちらの教会をお訪ねしている。羊子はパロキアの教会、サグラダ・ファミリアで毎週日曜日にミサの奏楽をしているが、こちらの教会では時間的にも奉仕できないのである。ホセ・ルイス神父さんは毎週のミサで奏楽をしてもらいたのであるが。その代わり特別な日には奉仕している。今回もクリスマスのミサの奏楽を奉仕することになった。教会には少し早く着き、さっそくホセ・ルイス神父さんが挨拶に来てくれた。挨拶をしている時、神父さんは手を合わせて拝むような仕草をする。なんとなく変な予感がしたものである。その後、羊子が神父さんからの依頼を伝えてくれた。私も一緒にミサを担当するようにということである。私達と会うまでは考えていなかったが、羊子と共に私達両親の出席を知った神父さんは、私も共にミサを担当することを思いついたというのである。羊子の結婚式の時、その司式を私も担当したが、その時、私のメッセージをホセ・ルイス神父さんがスペイン語で訳してくれたのである。実際の訳はマドリッドにおられる吉川祥永さんであり、その訳を神父さんが読んでくださったのである。
 そんな訳でカトリック教会のクリスマス・ミサを共に担当することになった。私も神父さんと同じように白いガウンを着て聖壇に上がった。何事も神父さんが合図をしてくれるので、その通りに動いていた。ミサを担当するにあたり、日本語で聖書を読み、短く奨励をしてもらいたいということであった。日本語の聖書を持参していないので、羊子がIフォンによりインターネットで聖書を検索し、いくつかの聖書を示してくれた。その中にイザヤ書9章5節の言葉があり、その聖書を日本語で読む。奨励も突然のことでもあったが、主イエス・キリストのご降誕は日本人のためにも与えられており、十字架の救いを日本人もまた与えられていること、日本はイエス様を信じる人々は少ないが、神様のお恵みはスペインの皆さんと同じように日本人にも与えられているので、共に神様にお祈りできることを感謝している。スペインの皆さんに神様の祝福が豊かにありますように、というような内容の奨励を行う。それを羊子がスペイン語に訳したのであった。
 25日のクリスマス・ミサは少なくなっているという。24日の夜12時からの主のご降誕ミサに集中し、その時は満堂であるが、25日は出席者が少なくなっている。高齢者は夜の出席は体に支障が出るので25日に出席するのであると言われる。少ないと言ってもサグラダ・ファミリアのクリスマス・ミサには100名近い人々が出席していたし、こちらのサンタ・マリア・デルス・サンツ教会も同じようである、こちらの教会の方がサグラダ・ファミリアの小礼拝堂より大きいようである。それだけに空席が目立つというものである。プロテスタントの牧師がカトリック教会のクリスマス・ミサを共に担当する、前代未聞のことである。予期せぬクリスマスの体験をさせていただいたと思っている。



クリスマスのお祝いとして食べるエスクデージャ。
羊子が作り、おいしくいただく。



カトリック教会のクリスマス・ミサにて奨励を行う。



日本語を羊子がスペイン語に訳している。



聖餐式を司る。