鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

「受難の門を見つめつつ」・バルセロナ滞在記<31>

「受難の門を見つめつつ」・バルセロナ滞在記(2012年9月10日〜11月6日) <31>
2012年10月10日「いろいろな音に励まされ」




 サグラダ・ファミリアが一つの大きな楽器であることについては9月17日にも記している。毎時、鐘の音で時刻を知らせてくれるのであるが、時刻の数だけ鐘を鳴らした後は、鐘の音によるメロディーが流される。これも毎時異なるメロディーなので、曲を聴いて時刻を知ることができるのである。まさに癒しの鐘の音のメロディーである。時刻とともに15分で鐘が一つなり、30分で鐘が二つなる、45分には鐘が三つなることになっている。1時、2時、3時の頃は紛らわしいわけである。しかし、定時にはメロディーがなるので分かるのである。鐘の音とともに生活が導かれている思いである。日本ではお寺の鐘が生活の中にあるわけではなく、耳で聞く時刻の生活は無い。しかし、家庭にあってはメロディーで時刻を知らせる時計もある。我が家でも子ども達が私たちにプレゼントしてくれた時計がメロディーで時を知らせてくれる。それぞれ癒しの曲で、定時には希望のメロディーが流れてくるのである。もっとも電話中にメロディーが流れるときは、相手の方にも聞いていただくのである。やはり音楽は人々に平安を与え、慰めて力を与えてくれるのである。
昨日、サン・パウ病院に向けて散歩したとき、改めて気がついたのであるが、サグラダ・ファミリア教会の外壁には蛇や鰐、蜥蜴の彫刻が貼り付けられている。一つの魔よけのような存在であるようだ。それから、外壁には新たに造られた彫像が置かれていた。他の彫像に対して、真新しく感じられる。昨年は見なかったように思う。随分と工事が進んでいるようである。相変わらず入場者が多く、昨日も多くの人が訪れていた。



サグラダ・ファミリアの外壁には蛇や鰐、蜥蜴の彫刻が貼り付けられている。



新しい彫像も設置されている。


 サグラダ・ファミリアの鐘の音のメロディーを聞きながら、今日の昼食はラーメンである。昨日は羊子が作ってくれたが、今日は連れ合いのスミさんが用意してくれた。肉や野菜、ハムやチーズの食事を美味しく食べているが、時にはラーメンのような汁物が恋しくなる。日本にいるときは、朝はご飯と味噌汁で、お昼は麺類が多い。ラーメン、日本そば、うどん、スパゲッティー、焼きそば等をいただいており、夕食は主として魚類を食べている。バルセロナで生活しているのであるから、こちらの食事を食べているが、日本的な食事になることが多い。朝はこちらでもご飯と味噌汁を食べているのだから。それにしても、こちらの料理は味が濃い。パエリアにしてもフィデオアというパスタのパエリア等も食べたが味が濃いので、あまり食べられない。それでも先日、画家の大原立司さんに招かれていただいたお連れ合い特性のパエリアは日本人に合う味であった。夫人はスペイン人であるが、お連れ合いが日本人であるので、いつの間にか日本人好みの味を出すようになったのであろう。
 昼食を取ってから羊子は出かけて行き、スミさんは部屋で休んでいる。それでハーモニカを取り出して吹く。こちらに来て、皆さんの前で吹いたことは吹いたが、いくらも吹いていない。誰も聞いてないと思いつつ、讃美歌やら日本の歌等吹く。30分くらい吹いたであろうか。寝ていると思ったスミさんが部屋で聞いていたとか。たまには自分のために吹くのも、慰めになる。気休めにいつも吹けばよいのであるが。
 夜は9時から羊子の友人マルガさんが所属する合唱団のコンサートがあるので出かける。先日もホセ・ルイス神父さんの招待でカタルーニャのミュージカルを鑑賞したが、小規模なコンサートがいろいろと開かれている。サンタコロマで開かれたアランさんのピアノ演奏コンサートについても記しているが、そのときも60名くらいの人たちが集まっている。小規模なコンサートがいつもどこかで開かれている感じである。マルガさんが所属する合唱団のコンサートには50、60名位の人たちが来ていた。シューマンの曲を独唱したり合唱したり、シューマンをじっくり味合わせてくれる。団員は女性8名、男性7名であった。良い集いであったと思う。



羊子の友人・マルガさんが独唱する。


 今日は一日音楽に思いよせながら過ごしたのであるが、考えさせられた一日であった。サグラダ・ファミリアの鐘の音メロディーが鳴るのは朝の9時から夜の9時までである。