鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記 <66>

 

隠退牧師の徒然記(2011年6月1日〜)<66>
2012年3月2日 「回想の白い景色」

 

聖書の言葉
ヒソプの枝でわたしの罪を払ってください。わたしが清くなるように。わたしを洗ってください。雪よりも白くなるように。喜び祝う声を聞かせてください。あなたによってくだかれたこの骨が喜び踊るように。わたしの罪に御顔を向けず、咎をことごとくぬぐってください。
詩編51編9-11節)



2月29日は当地でも雪が降り、4、5センチは積もる。今まで関東の平野部でも積雪があり、横浜で雪が降っても当地は降らない。当地とは金沢八景付近であるが、三浦半島の入口でもある当地は比較的温暖なのである。県央地区、相模原や海老名に住んでいる子供たちは、こちらが降らないということで驚いてもいたが、それは私達夫婦の会話でもあった。「本当にこの辺は暖かく、良いところだね」と語りあうのであった。ところが去る29日は当地も雪が降る。予報通りの降雪であった。朝から雪が降り、次第に白くなっていく外の世界を見ながら、もう約40年も前の宮城県、陸前古川教会時代を思い出していた。
1969年4月から東京の青山教会で4年間、伝道師・副牧師をつとめたが、その後は宮城県に赴く。1973年4月に赴任し、まだ30代の若い牧師は夢中になって牧会に勤しんだと思う。ところが秋になり、冬がやってくる。そう北国なのである。雪が降るのである。しかし、古川市宮城県であり、秋田や山形とは異なり降雪被害はない。屋根の雪下ろしをするほど積もらないのである。しかし、雪は繰り返し降っていた。降っては止み、止んでは降るという具合で、そのため道路はいつも雪道であった。雪が降り始めると共に、若い牧師の活動が鈍くなるのである。いつも書斎から外の世界、降りしきる雪を見つめることが多いのである。幼稚園の園長は教会員が担うことになり、直接幼稚園の仕事は無く、教会員もそれほど多くはなく、雪の降る日は炬燵に入って書きものに明け暮れていた。鳴子教会の保育園園長・高橋萬三郎さんの半生、「鳴子こけしの歌」を書き、また発表していないが小説なども書いていた。静かに降る雪を見ながら、つくづく若き時代を思い出す。
 思い出しついでに記せば、地区の牧師家族会である。毎年1月15日の「成人の日」には地区の牧師家族会が鳴子温泉で開催されていた。その頃の地区の牧師達は、まだ小さい子供達がおり、家族の交わりと共に子供たちを遊ばせるためでもある。温泉で寛ぎ、楽しい食事をして過ごす。翌日は鳴子のスキー場に出かけ、雪遊びをするのである。スキーやソリで子供たちは楽しく遊ぶ。牧師達も結構スキーを楽しむのであった。私はと言えば、スキー場の休憩所のストーブの前で手をかざして温まっていたのである。そのうち、末の子の百合子が、もう冷たいから嫌だと言い、二人で暖を取っていたのである。私がスキーというものを試みようとすると、連れ合いのスミさんから反対される。足でも折ったら誰が車の運転をするかというわけである。そして自分は羊子や星子と共にスキーをしたり、ソリを楽しんでいたのであった。スキー場には毎年行きながらもスキーをしたことがない。それは今日に至るまで、スキーを経験したことのない人間として存在するのである。



珍しく雪が降る。暖かい地域であるが。



 当地に降った雪は積もりはするが、翌日はきれいに消えていく。隅の方に残っているにしても、気温が高くなり、雪が降ったことが嘘のようであった。雪国の皆さんのご苦労を思うと、雪が降ったということで昔を懐かしむのは申し訳ないが、めったに雪が降らない土地に生きる者は、雪景色は詩であり、歌の喜びとなる。聖書にもいくつか雪に関する示しがあるので、開いておくことにしよう。



ヨブ記6章15-17節
わたしの兄弟は流れのようにわたしを欺く。流れ去った後の川床のように。流れは氷に暗く覆われることもあり、雪が解けて流れることもある。季節が変わればその流れも絶え、炎暑にあえば、どこかに消えてしまう。
詩編147編15-18節
主は仰せを地に遣わされる。御言葉は速やかに走る。羊の毛のような雪を降らせ、灰のような霜をまき散らし、氷塊をパン屑のように投げられる。誰がその冷たさに耐ええよう。御言葉を遣わされれば、それは溶け、息を吹きかけられれば、流れる水となる。
イザヤ書1章18節
論じ合おうではないか、と主は言われる。たとえ、お前たちの罪が緋のようでも、雪のように白くなることができる。たとえ、紅のようであっても、羊の毛のようになることができる。
ヨハネの黙示録1章12-15節
わたしは、語りかける声の主を見ようとして振り向いた。振り向くと、七つの金の燭台が見え、燭台の中央には、人の子のような方がおり、足まで届く衣を着て、胸には金の帯を締めておられた。その頭、その髪の毛は、白い羊毛に似て、雪のように白く、目はまるで燃え盛る炎、足は炉で精錬されたしんちゅうのように輝き、声は大水のとどろきのようであった。