鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

聞くには聞くが…(今日はミミの日)

今日は「雛祭り」と言われています。しかし、ドレーパー記念幼稚園は「雛祭り」はしていません。雛祭りは宮廷の世界であり、天皇制にも関わっています。桃の節句とも言われ、日本古来のお祭りとして意義があるのでしょうが、キリスト教主義の幼稚園として、この行事は取り入れていないのです。それに対して、「豆まき」の行事は行っています。主イエス様が悪魔を追い出したように、私たちも内面にある悪い鬼、わがまま鬼、意地悪鬼等を追い出さなければなりません。豆まきはイエス様の教えを、身をもって実践することが出来るのです。
卒業生のおばあちゃんが幼稚園に来られました。その卒業生はもう大学生にもなっています。雛人形を幼稚園に差し上げたいというのです。もはや家では飾らなくなっており、保存するには場所がありません。もちろん捨てることは出来ません。幼稚園でもらってくれれば、こんなに良いことはありません。それでお話に来られたのです。大変申し訳ありません、と言いつつ丁重にお断りしたのでした。実はこのようなお申し出は、今までにも多くありました。いただいていたら、一つの教室にも入りきれないほどになっているでしょう。
私の実家もこの時期になると雛飾りをしていました。私は5人姉弟で、上3人が姉たちでした。雛飾りもにぎやかに飾っていたと思います。しかし、両親が亡くなり、共に住んでいた長女も亡くなったとき、家の整理をしますが、雛人形は出てきませんでした。いつ処分したのか分かりません。23歳で神学校に入り、卒業するや教会に赴任することになりますので、家のことは分からないのです。
3月3日は雛祭りでありますが、この日は「ミミ(耳)の日」とも言われています。聞こえることが当たり前のように思っていますが、聞こえない状況の人もいるのです。聞こえない人が大学で講義を受けていることが紹介されていました。先生が話すことがパソコンで文字になっていくのです。画面を読み、先生が黒板に書きつつ説明していることを理解しているのです。大変な努力であると思いました。
幼稚園では園児のいろいろな検査をしています。まず5月には園医により健康診断を行います。そして、6月には園歯科医により歯の検診をいたします。身長、体重等は毎月記録しています。数年前に、目や耳の検査をするように県の指導がありました。目の検査は、幸い検査をする人に出会い、毎年行うようになりました。しかし、耳の検査をどのようにするかが懸案でした。一昨年、近くの耳鼻咽喉科医院に全園児を連れて行き、診てもらいました。小児療育センターに聞きましたら、園医が内科検診するので、その時に耳まで見てもらったらどうか、と言われました。その後、県の検査に来た人が、そんなに大掛かりにしなくても、子どもの耳元で、ボールペンでカチカチする程度でよいのですよ、と言われました。それで聞こえているか、いないかが分かるというわけです。早速、そのような方法で耳の検査をしています。
子どもの検査もさることながら、私自身、大分耳が遠くなっているようです。連れ合いのスミさんが言っています。いくら声をかけても知らん振りしていると言うのです。聞こえていることもあるのですが、面倒で返事をしないこともあるのです。そういうスミさんも、私を呼ぶので、かなり大きな声で返事をしますが、聞こえないようです。私の話し言葉が大きいのは耳が悪いためだと言っています。お互いにそういう年齢になっているので、仕方ないことです。
しかし、聞こえないと思っても、一生懸命に聞こうとすると聞こえるものです。あるいは相手の顔を見て聞いていると聞こえてきますし、言っていることが理解できるのです。相手の存在を見つめることによって、何も言わなくても、その方が何を言おうとしているのか、理解できるのです。他者の存在を心から受け止めなさい、と主イエス・キリストは示しています。
聖書の言葉
「あなたたちは聞くには聞くが、決して理解せず、見るには見るが、決して認めない。」(マタイによる福音書13章14節)