鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<391>

隠退牧師の徒然記(2015年2月11日〜)<391>
2015年12月23日「異なる文化を体験し 3 」



聖書の言葉
ダビデ王は全会衆を前にして言った。「(中略)更にわたしは、わたしの神殿の神に対するあつい思いのゆえに、わたし個人の財産である金銀を、聖所のために準備したこれらすべてに加えて、わたしの神の神殿のために寄贈する。」
(歴代誌上29章1-4節)



羊子が結婚したスペイン人のイグナシオさんが、日本に滞在し、いろいろな文化を体験したことと、私が外国で体験したことを合わせて記しながら、文化の大切さを報告しておく。日本人として外国人が来たら、やはり案内したいのは神社仏閣でもある。日本の伝統的な文化がそこにあるからである。それでまず案内したのは鎌倉の八幡宮、長谷の大仏であった。鎌倉には11月6日に行ったのであるが、その前日には、羊子は東京で友人と会うこともあり、浅草の浅草寺へ彼を案内している。日本の伝統的な文化を初めて体験したのである。雷門をくぐり、浅草寺には多くの人が参拝している。賽銭をささげることも奇妙な行為として受け止める。そして、「おみくじ」なるものを経験してみる。羊子が言うには、ここでのおみくじは「凶」であったとか。そして、他でもおみくじを求めたのであるが、いずれも「凶」であったそうな。熱心な日本人なら、「凶」に対しては一抹の不安を持つのであるが、意味も分からないままに、羊子に教えられて、そのおみくじの札を木の枝に結び付けたとか。
神社仏閣は宗教の場であり、願い事をささげるのは日本人であるが、外国でも同じなのである。スペインはカトリックの国であり、教会が多く建てられている。観光客でにぎわっているが、やはり宗教的に参詣に来ている人もいるのである。教会には正面にはないが、左右の壁際、または入り口付近にはローソクが点灯している。これは参詣の人たちが、ローソクを買い求めて、所定の場に置くのである。多くの場合、ローソクは赤い。その赤いローソクが点灯している様は、まさに祈りの場であることを示されるのである。私はそれらを見るだけで、実際にはローソクを求めなかったが、日本で言えば賽銭のようなものなのである。カトリック教会では、ミサの中で献金がささげられる。これはプロテスタントも同じである。さらにローソクの他に献金箱が置かれていることも、日本の教会も同じである。赤いローソクは自分の祈りとして点灯しているのである。
浅草寺見学の翌日には鎌倉を訪れる。多くの人が参詣に来ていたが、観光客も多い。その中には外国人も多くみられる。11月6日であったが、七五三の御参りが外国人の興味の対象でもある。着物姿の子供たちは格好の写真材料なのである。八幡宮を見学した後は、小町通りを歩いて鎌倉駅へ向かったのであるが、多くの人が歩いているので、迷子にならないように気を遣ったものである。サグラダ・ファミリアの周辺にも多くの土産物屋さんが並んでいるが、通りは広いので、苦労せずに歩けるのである。日本の土地の狭さをしみじみと示される。その後、おもちゃの電車みたいな江ノ電で長谷へと向かう。八幡宮では参詣料はないが、大仏は必要であった。神社仏閣の収入源でもある。これはどこの国でも行われている。サグラダ・ファミリアも入場料が必要である。日本円で1500円もする。それに対して日本の神社仏閣は300円程度である。バルセロナグエル公園はガウディの計画で造られたものであり、完成を見ないまま終わってしまうが、その後は観光地となって多くの人々が訪れている。いままでは無料であったが、一昨年あたりから入場料を取ることになる。バルセロナ政府の収入源となったのである。2011年に訪れたときは、無料であったが、2014年に訪れたときは有料となっていた。
その後、羊子たちは京都に赴く。11日に同志社女子大でのコンサートに臨むためである。折角、京都に行ったので、神社仏閣を観光したのであった。清水寺とか銀閣寺を見学したとか。日本の宗教の場を体験したのであるが、やはり宗教の場はそれなりの姿勢へと導かれるのである。バルセロナに滞在し、パリをも訪れ、ノートルダム寺院を見学したとき、入り口に警備員がいて入場者を監視していた。ノースリーブの女性に対しては、上着を着るように求めている。あまりだらしない恰好の者に対しても注意を与えている。やはり宗教の場であり、心を改めて教会に入るべきなのである。日本の神社仏閣の入口には手洗い場があるが、宗教の場に立つ心得でもあるのだろう。
11月21日には羊子、イグナシオさんと鷹取山へ行く。家から歩いて30分くらいである。多くの人がロッククライミングを楽しんでおり、それらを見てから、神武寺ハイキングコースを歩く。いわゆる神武寺があり、山の中腹に立つ神武寺を見学する。多くの人でにぎわう神社仏閣と共に、山の中にひっそりと存在する神武寺も印象に残ったようである。数人の参詣者がいたが、込み合う宗教の場と共に、また異なった場を示されたのである
日本に滞在したイグナシオさんは、日本の宗教の場を体験したが、私達がスペイン・バルセロナに滞在したとき、やはりいろいろな教会に訪れている。そこには国の文化が存在しているのである。バルセロナのモンセラットの教会に置かれている、赤いローソクの群が忘れられない。



浅草の浅草寺を見学する。



おみくじなるものを経験してみる。みんな「凶」であったとか。



大仏の大きさに驚きつつ。



バルセロナ・モンセラットの教会にささげられている赤いローソク