鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<389>

隠退牧師の徒然記(2015年2月11日〜)<389>
2015年12月11日「異なる文化を体験し」



聖書の言葉
ペトロは、天が開き、大きな布のような入れ物が、四隅でつるされて、地上に下りてくるのを見た。その中には、あらゆる獣、地を這うもの、空の鳥が入っていた。そして、「ペトロよ、身を起こし、屠って食べなさい」と言う声がした。しかし、ペトロは言った。「主よ、とんでみないことです。清くない物、汚れた物は何一つ食べたことはありません」。すると、また声が聞こえてきた。「神が清めたものを、清くないなどと、あなたは言ってはならない」。
使徒言行録10章11-15節)



一時帰国した羊子と彼のイグナシオさんに関して、私達の出会いも含めながら記してきたので、報告はもうこのくらいでと思ったが、異なる文化を体験したイグナシオさんと自分とを重ねながら、もう少し記しておくことにする。
スペイン人のイグナシオさんにとって日本は初めての滞在であり、どんな食べ物にするか、連れ合いのスミさんといろいろと話し合っていた。やはりあちらでは肉食の生活であり、ビフテキやワイン等を用意しようかとも話し合っていた。しかし、羊子は、むしろ日本に来たのであるから日本の食文化を体験させてあげたいというのである。ワインも必要がなく、あちらにはない焼酎を味わってもらいたいとのことであった。そんなことで我々夫婦が備えようとしていたものは一切必要がなくなる。実際、うどん、てんぷら、お寿司、釜飯等を食べてもらう。多くの友人たちとの出会いがあり、彼らは中華街で御馳走してくれたり、焼き鳥なども食べることになる。日本の箱弁当も極めて日本的なのである。三崎教会でも大塚平安教会でも箱弁当をご用意くださり、我々までもおいしくいただいたのであった。三崎教会では、外国人が食べるからとの注文で、本来は魚が盛り付けてある部分には焼き肉が置かれていたのである。外国には、日本のような箱弁当なるものはない。箱弁当どころか、日本のお弁当なるものは売られてはいない。お弁当文化の日本は、本当に便利な国なのである。
スペイン・バルセロナには三度滞在している。全部で半年の滞在であり、やはりいろいろな食文化を体験したのである。あちらでは食事をいただくとき、まず前菜が出る。必ずしも野菜ではない。チーズやハム、オリブの実等と共に軽い料理が出される。ワインをいただくうちにも、皆さんが前菜を食べ終わるとメインが出される。ステーキの場合もあるし、パエリアの場合もあるし、どちらかと言えば、比較的味の濃い料理でもある。その後はデザートとしてクッキーやチョコレートが出されたり、アイスクリームが出されたり、もうお腹いっぱいになるのである。ステーキは嫌いではないので、レストランではもっぱら味わっていた。しかし、外での接待、自分達でレストランに行っても、メニューがその様なものばかりなので、バルセロナ方式の食文化を味わうことになる。その代わり、羊子の家に滞在しているときには、なるべく日本食にしていたのである。私の場合、朝はご飯に味噌汁、お昼はスパゲッティやラーメン、焼きそば等をいただいたのである。羊子が気を利かして魚を買ってくることもある。鯛のお刺身、オーブン焼きなどで楽しく、日本を懐かしく思いだしながらいただいたものである。その他、鰯のフライパン焼きもおいしく食べたことを思い出す。横浜本牧教会の稲本さんご夫妻がバルセロナ旅行をされる。羊子の家にお出でくださったとき、羊子はご飯や味噌汁を食事に出す。これにはご夫妻は大喜びであった。何しろ旅行中、毎日パンやスープ、肉類の食事ばかりであったので、久しぶりに日本の食事をいただき、胃袋が生き返ったと言われるのである。その後、稲本さんにお会いする度に、羊子のご飯と味噌汁を喜んでお話しするのであった。日本人は、やはり味噌汁なのである。もう20,年も昔であるが、イスラエル聖地旅行したとき、添乗員が気を利かして味噌汁を注文してくれた。日本のような味噌汁の味ではなかったが、久しぶりにいただく味噌汁は、ツアーのメンバーは一様に喜んだのであった。日本に来たのであるから、なるべく日本的な食事を食べてもらいたいが、やはりバルセロナの食事が恋しかったのではないだろうか。イグナシオさんは納豆こそ食べなかったが、一通り日本の食文化を体験したのだと思う。
だから羊子は彼のためにバルセロナでいつも飲んでいるココアの缶を持ってくる。彼は毎朝、ココアと軽いクッキーで食事としていた。あちらのような朝食用のクッキーは日本にはないが、似たようなクッキーを食べてバルセロナの食事としていたのである。あちらでは日本のような食パンはあるが、コッペパンのようなパンが多い。パンを焼き、生ニンニクを刷り込み、トマトもすりすりし、その上にオリブ油をたっぷりかけていただくのである。イグナシオさんはトーストにオリブ油を注いでは食べていた。あちらの食事を思いだしながら日本の食事をしていたのであろう。もうビフテキはいらないと思っていたのに、帰国して過ごすうちにも、なんか、またバルセロナの食事をいただきたくなったりして…。彼イグナシオさんも、そのうち、日本食事を懐かしく思い出すことだろう。うどんや焼き鳥、我々もめったに食べることもない箱弁当なんかも…。



日本に来て、初めて焼酎なるものを飲んでみる。



バルセロナにはない回転ずしで食べてみる。



バルセロナ滞在中、羊子が魚料理を出してくれる。



大塚平安教会でいただいたお寿司弁当を喜ぶ。
教会の皆さんが作ってくださったサラダ、吸い物等忘れられないという。