隠退牧師の徒然記＜３７３＞ - 鈴木伸治の徒然記

隠退牧師の徒然記（2015年2月11日〜）＜３７３＞
2015年9月8日「変わらない存在」

聖書の言葉
愛する者たち、わたしがあなたがたに書いているのは、新しい掟ではなく、あなたがたが初めから受けていた古い掟です。この古い掟とは、あなたがたが既に聞いたことのある言葉です。しかし、わたしは新しい掟として書いています。そのことは、イエスにとってもあなたがたにとっても真実です。闇が去って、既にまことの光が輝いているからです。
（ヨハネの手紙＜一＞2章7-8節）

現在、毎月第二日曜日には横須賀上町教会の礼拝説教と聖餐式を担当している。2010年10月から横須賀上町教会のお手伝いをしているのである。横須賀上町教会に足を踏み入れたのは、私が二十歳頃であり、清水ヶ丘教会出身の斎藤雄一牧師の就任式であった。それから55年を経ているが、その頃の建物が現在の建物なのである。つまり昔のままのたたずまいということである。1930年頃に今のような形に建設されたようである。教会建築の大家・ヴォーリスの弟子でもあった横田末吉さんの設計であるという。だから、建設された当時は斬新な建物として注目されたようである。それが、今でも横須賀を象徴する建物として、人々の心に示されているのである。2003年3月に国の有形文化財建物に指定されている。昔ながらの建物として、横須賀市も保存に協力してくれている。何よりも建物応援団が組織され、建物の保存維持のために協力してくれている。何かとイベントを催し、建物管理の資金にしているのである。建物応援団は教会員ではなく、町の人々なのである。だから、礼拝に出席する訳ではないが、教会と言う建物を気にかけてくれているのである。ありがたいことである。建物応援団の世話役の方が時々礼拝に出席されている。教会の歩みを理解されているのである。有形文化財建物に指定されると、やたらに建物の模様替えはできない。内部はある程度の修繕はできるが、外観を変えるような修繕はできないのである。
こうして横須賀上町教会は昔ながらの建物である。昔からの建物であっても、少しも不便を感じない。この昔からの建物で幼稚園も開設している。むしろ、昔からの建物に愛着すら覚えるのである。ドレーパー記念幼稚園で使っていた園児用の机や椅子のいくつかを、こちらの横須賀上町教会付属めぐみ幼稚園で使っていただいている。礼拝後の愛餐会では、その懐かしい椅子に腰かけて食事をいただいている。建物と椅子がぴったりとあっているのである。このように示されると古い建物の良さが示されて来るのである。時々、我が家の昔の家を思い出している。60年以上も経た我が家を建てかえて、丁度10年になろうとしている。今時の家は部屋が孤立しており、プライベートな面ではありがたい。しかし、広間にはならないのである。昔の我が家は、六畳の間二つと四畳半が並んでいた。ふすまで仕切られているが、ふすまを外せば広い部屋になる。広い部屋にしてはイベントを開いていたように思う。両親の金婚式祝いとか、米寿のお祝い等、両親は子供たち、孫たちを集めては集いを開いていたのである。そして、両親の葬儀は自宅で行ったので、広くなる部屋は何にでも使えるのであった。もちろん廊下があるから仕切られた部屋はプライベートにもなるのである。時々、昔を思い出しては、昔の良さを示されているのである。もっとも築60年の木造家屋は危険でもあり、建て替えを決心したのである。それに業者が建て替えを迫りうるさいのである。
この横須賀上町教会には私の叔母が教会員であった。叔母は娘が先に清水ヶ丘教会に導かれ、クリスチャンになったこともあり、叔母も清水ヶ丘教会に導かれるのである。清水ヶ丘教会は多くの教会員がおられる。婦人会も多くの会員をおられた。叔母としては、自分も信者として、教会の奉仕をしながら歩みたいと思っていたのかもしれない。清水ヶ丘教会出身の斎藤雄一牧師が横須賀上町教会の牧師に就任するや、叔母は横須賀上町教会に転会したのである。叔母が横須賀上町教会でどのように奉仕し、お交わりをしたかは知ることができない。叔母のことを思えば、私の横須賀上町教会との関係が深まるのである。その様な関わりがあるので、横須賀上町教会についてはいつも心にあった。だから、斎藤雄一牧師が退任することを知るや、その頃、北海道の北見望ヶ丘教会で牧会をしていた森田裕明牧師を後任として推薦したのである。彼は18年間、教会と幼稚園を担ったのである。小さな教会、小規模な幼稚園で良く務めたと思う。だから、彼が横浜本牧教会の牧師と幼稚園の園長に就任することになったとき、その後の横須賀上町教会には責任があると思っていた。今のような形で責任を果たしていることを感謝している。今では毎月第二日曜日に横須賀上町教会に赴くのを楽しみにしているのである。

建てられてから85年も経ている横須賀上町教会の佇まい。

国の有形文化財建物に指定されている。

鈴木家の10年前までの家。

10年前に建てかえた現在の家。
ここで六浦谷間の集会を開いている。