鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<372>

隠退牧師の徒然記(2015年2月11日〜)<372>
2015年9月4日「務めが導かれること」


聖書の言葉
エスは近寄ってきて言われた。「わたしは天と地の一切の権能を授かっている。だから、あなたがたは行って、すべての民をわたしの弟子にしなさい。彼らに父と子と聖霊の名によって洗礼を授け、あなたがたに命じておいたことをすべて守るように教えなさい。」
(マタイによる福音書28章18-20節)


キリスト教の牧師になり、その職務を担うということは、洗礼者が与えられるためであり、洗礼を受けて信者となった人々を聖餐式によって養うことである。現役の牧師はその使命を持って牧会を担っているが、現役を退任し、隠退牧師になってもなお、洗礼式を執行し、聖餐式を担当している現在を感謝している。それは現在、横須賀上町教会の礼拝説教、そして聖餐式を担っていることである。横須賀上町教会との関わりについては、前回のブログ、「神様のご計画かと」示されている。だから、現在は隠退牧師であるのに、洗礼式を執行できる喜びがあり、聖餐式をも司るお恵みを感謝している。横須賀上町教会にて、洗礼式や聖餐式を執行できるのは、現在の牧者が、まだ補教師であり、日本基督教団の決まりにおいて、補教師は洗礼式や聖餐式の執行はできないことになっている。それで、隠退しているが、正教師である私が代わって執行しているのである。
洗礼式は2013年11月10日に西尾弥生さんの洗礼式がおこなわれている。西尾さんは私どもの子供、三番目の優と共に歩んでいるが、大塚平安教会在任中にも洗礼については示されていた。しかし、2010年3月末に退任し、その後は横須賀上町教会にて御用をすることになったとき、今受けなければ鈴木牧師から受洗できないと示され、洗礼を受ける決意を与えられたのである。横須賀上町教会の牧師ではないが、教会はこの導きを受け止めてくださり、洗礼式執行となったのである。おそらく私の牧師人生の最後の洗礼者となるのかもしれない。
聖餐式は2012年4月から横須賀上町教会で執行するようになっている。2010年3月に大塚平安教会を退任したが、その後4月から9月までは横浜本牧教会の代務者に就任する。代務者であるが、現役並みに職務を司るのである。従って、この代務者時代に二人の洗礼者、二人の葬儀を行い、毎月聖餐式を執行していた。2010年10月からは無任所教師になるが、横須賀上町教会の説教は担当するようになる。しかし、洗礼式も聖餐式も、もはや執行の機会はなくなっていた。ところが横須賀上町教会は2012年4月から補教師を招聘し、伝道師として歩むようになる。代務者時代が終わるのである。しかし、前記したように補教師は聖礼典(洗礼式、聖餐式)が執行できないので、私が担当するようになったのである。2010年10月から2012年3月までは聖礼典を執行できなかったが、再び聖礼典を執行できるようになり、感謝しているのである。しかし、横須賀上町教会の伝道師である宮澤恵樹先生も間もなく正教師になるので、その時点で私の使命が終わることになる。
聖餐式は洗礼を受けた者が与るのであり、洗礼を受けていなければ聖餐は受けられないことになっている。しかし、地方教会は洗礼を受けたくても受けられない事情がある。家庭の事情、社会の事情があり、洗礼を受けたいと思っている青年の皆さんの悩みなのである。それで、教会は洗礼を受けていなくても聖餐式に与らせる場合がある。日本基督教団ばかりではなく、他のキリスト教も洗礼を受けた者が聖餐式を与ることになっているのである。2013年3月から三ヶ月間、マレーシア・クアラルンプール日本語キリスト者集会のボランティア牧師として赴いたとき、その集会にはいろいろな教派の人々が出席していた。しかし、聖餐式は洗礼を受けた人が受けるという決まりをはっきりと示していた。数人は洗礼を受けていない人が礼拝に出席していたが、その教会の姿勢をしっかりと受け止めていたのである。
昨年の10月21日から今年の1月8日まで、娘がピアノの演奏活動をしているので、スペイン・バルセロナで過ごす。今回はクリスマスを体験するつもりであった。スペインの場合、1月6日の顕現祭の方が盛んであるが、それでもクリスマスもイエス・キリストのご降誕の喜びを、ミサをささげながら与えられるのである。羊子はサグラダ・ファミリアのミサで奏楽をしているが、別の神父さんとも親しくしており、その神父さんの教会におけるクリスマス・ミサの奏楽をも担当するようになる。私達夫婦も羊子と共にミサに出席したのである。すると神父さんは、私も一緒にミサを司るように勧めてくださったのである。プロテスタントの牧師がカトリック教会のミサを神父さんと共に司ること、前代未聞のことである。折角お勧めくださったので、共にミサを行う。カトリック教会はミサの度に聖餐式が行われている。私も神父さんと共に聖餐式を執行したのである。
牧師は聖礼典を執行すること、生涯の喜びである。隠退しても執行できる恵みを感謝している。そして、カトリック教会でも聖餐式を執行することができたことも感謝している。いよいよ日本の教会で聖礼典の執行ができなくなったら、バルセロナに行こうかな、なんて心に思っているのであるが…。



横須賀上町教会における洗礼式。2013年11月10日。



横須賀上町教会の聖餐式



マレーシア・クアラルンプール日本語キリスト者集会の
ボランティア牧師として務める。



バルセロナカトリック教会で神父さんと共にミサを司る。
聖餐式を執行している。