鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<34>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<34>
2014年12月2日「どこにもいる放火魔」



 羊子が外出から帰ってきて、「今、ごみ箱が燃えていて、もうすぐ消防車が来るよ」という。珍しい状況なので、これは一つ取材しなきゃあというわけで、急いで現場に行く。現場は羊子の家からすぐ近くにある交差点に置かれているごみ箱であった。大きなゴミ箱が三台置かれているが、その一つから煙が上がっている。既にパトカーが来ていて、警察官が消火器を手にしている。しかし、実際には消火器は使っていない。間もなく消防車が来るからである。やがて、大きな警笛音で消防車が到着し、瞬く間に煙が消えていく。火事と言ってもごみ箱であり、大事ではなかった。それにしてもこちらの消防車の大きいこと。車体には080と書いてある。こちらの消防署の電話番号だという。日本では119であるが、080の方が早く電話をかけられるのではないかと思う。
 こちらのごみ処理事情については、今までも何かと報告している。大きなゴミ箱が交差点に置かれている。だいたいは三つくらいである。分別になっており。生ごみ、紙屑、カンや瓶、プラゴミ等に分けられている。いつでも捨てられるのである。日本のようにごみの収集日が決まっていて、決められた日以外は捨てることはできないのとは異なり、いつでも捨てられるのである。交差点に置かれているのは、交差点の四隅は切り取られていて三角になっている。その部分に置かれているのであるが、その部分は駐車場になっている。そしてタクシー等もその交差点に停車するのである。このごみ箱にはかなり大きなものでも捨てられる。捨てられた物を物色する人がいて、時々その大きなゴミ箱から人が出はいりしているのを見る。そのごみ箱は収集車がやってきて、ごみ箱ごと釣り上げてトラックの中にごみをあけ、再び戻すのである。だから、その中に人がいてもわからないことがあり、その処理によって死んでしまった人もあるという。このような大きなゴミ箱が交差点に置かれているので、ごみ処理に悩む必要はない。それに街の至る所に小さいごみ籠が置かれている。犬の散歩をして、犬の糞は紙やビニール袋で処理をして、その小さいごみ籠に捨てればよいのである。日本のように犬の糞は持ち帰るよう促すことはない。その小さいゴミ籠は、たばこの火を消す部分があり、そこで火を消してはごみ籠に捨てるのである。よく消さないで、そこから火が出ないかなあと思うのであるが。だから煙草の吸殻はあまり道路には落ちていない。結構そこで処理しているからである。パリに行ったとき、道路の煙草の吸殻には驚くほどであった。そして、サグラダ・ファミリアという特別な場であるかもしれないが、周辺はいつも清掃員が掃除をしている。朝は早くから、夜も遅くまで清掃員が掃除しているのである。ごみ処理といえば、前にも報告したが、なんでも引き取ってくれる処理場がある。日本のようにお金を出して処理してもらうことはない。自転車、テレビ、とにかく何でも受け入れてくれるのである。日本はごみ問題を各市町村ではなく、全体的に対策を考える必要があるのではないか。
 さて、ごみ箱の火災であるが、これは放火魔の仕業であるということである。最近、ごみ箱の放火魔が出没しており、あちらこちらで火災が発生しているという。ごみ箱程度で良いのであるが、こちらの建物は石造りであるので、家の放火はないようである。その代り自宅内の火災に注意しなければならないのである。放火といえば、大塚平安教会在任中、神奈川医療少年院篤志面接委員を担っていた。少年院に出かけて行き少年と面接して、更生して社会復帰を計るのである。少年の多くは放火が多い。気持ちが落ち着かないとき、大火にならない程度の小火災を起こす、それで胸がすっとするというのである。物置等に火をつけて、遠くから見物している。人々が大騒ぎするのが楽しいのだという。そんな少年たちの訴えを受け止めていた。自分の気持ちを誰かが受け止めてほしいと思っているのである。放火を認めるのではないが、少年自身を受け止めてあげることなのである。
 こちらの放火魔も気持ちのやりどころがなく、放火で気持ちをごまかしているのであろう。観光地であり、様々な国の人達が存在している。バルセロナの市民は良い人たちであったとしても、外国人が悪いことをしているそうだ。また、ここバルセロナも不況であり、働きたくても職がないという実情であるという。車を走らせており、交差点で信号待ちをしていると、頼みもしないのにフロントのガラスを掃除する人がいる。そしてお金を求めるのである。まあ、スリや詐欺に対して、働いて労賃を求めるのだから仕方ないが。もちろん、払わない人が多い。もはや12月であり、木の葉が道路に落ち、その清掃も大変であるようだ。バルセロナは街中に樹木がある。夏の日蔭と共に秋の落ち葉被害があるのである。しかしまた、それにより仕事を得る人がいる訳である。



交差点。角が三角に切り取られている。



大きなゴミ箱が置かれている。



ごみ箱の火災。



消防車が来て消し止められる。