鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<35>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<35>
2014年12月2日「外国で天皇誕生日のお祝い」



 12月2日、バルセロナにある総領事館が日本の天皇誕生日のお祝いの会を開催した。現在の天皇の誕生日は12月23日であるが、その頃は、特にスペインはカトリックの国であるのでクリスマスで忙しくなり、早めではあるがこの日になったのである。日本の天皇は今年で81歳になるのだと思う。お祝いの会にはスペインの関係者が招かれているが、日本の会社関係の人々、またスペインで活躍している人々が招かれるという。羊子も数年前から招かれており、今回も招待状をいただく。羊子はスペインでピアノの演奏活動をしているので招かれたのであろう。サグラダ・ファミリアの建築に携わっている外尾悦郎さん、スペイン国公認ガイドの山田修平さんも招かれており、会場で挨拶をしたのであった。日本にいればこのような会があっても出席しないだろうし、だいいち招待状が送られるはずがない。何事も体験しておきたいので、私達夫婦も羊子夫婦と共に出席したのであった。お祝いの会は総領事館官邸で開かれた。官邸の近くに来ると警察官が物々しく警備している。やはりこのような大事な集いに何かがあってはいけないので、バルセロナ政府も気を使うのであろう。先日のサグラダ・ファミリア賛美ミサの時にも、やはり警察官の物々しい警備があった。何しろ5000人の人々が入場したのだから、事件を警戒したのである。
 招かれた人たちは、玄関に総領事官夫妻がお客さんを迎えており、我々も挨拶をして入る。先に来ている人々はいろいろな飲み物をいただきながら歓談している。日本人が多いのかと思ったが、むしろスペイン人の方が多いようである。200人くらいは来ていたようだ。やがて開会のアナウンスがあり、「君が代」の曲が流れてくる。曲に合わせて歌っている人もいる。その後、総領事官の挨拶が行われた。スペイン語でかなり長くお話ししていた。スペイン語で話した後は、今度は日本語で話していた。歴史的には支倉常長がスペインに来て、そしてローマへと行くのであるが、それがスペインと日本の国の交流の先駆けであり記念としていること、バルセロネータで日本の祭りが行われること、大学を通して学術交流会が行われること等がお話しされ、最後に領事館の活動が全日本の活動となるよう取り組んでいくとお話しされた。そして、天皇の誕生日をお祝いして乾杯したのであった。
 その後、庭で立食パーティーが行われる。いろいろな食べ物が運ばれて来る。お寿司やエビのてんぷらが皆さんに喜ばれたようだ。スペイン人でも着物を着て参加している人もあり、羊子が言うには、着物を着るグループがあるそうで、何かとこの人たちの着物姿を見るそうだ。立食パーティーでは特にスピーチがあるわけではなく、皆さんの歓談が続く。ある程度歓談し、食事をいただいては順次帰っていくようだ。我々も閉会宣言はないが、お寿司もたくさんいただいたので帰宅したのである。
 ところで総領事館、領事館、大使館、公使館という言葉を聞くが、どのような違いがあるのだろうか。そんな疑問があるのでインターネットで検索し、参考にしたのであった。大使館、領事館の違いはなんであるかと言えば、まず外交のための施設かどうかで分かれる。大使館は外交使節が外交のために使う施設である。いわゆる治外法権とか、外交官特権が適用される。それに対して領事館というのは、相手先の国内に居る自国民の保護や通商関係の援助、査証(ビザ)の発行(これらを領事事務といいます)のための事務所で、これは外交のためでなくあくまでも自国(派遣国)民のための機関なのである。領事館はスペインに住んでいる日本人のためにあり、大使館は日本国とスペイン国の関係維持のためにあるということである。
外国に居ながら日本の国の天皇誕生日をお祝いするとは、不思議な体験であった。天皇誕生日の12月23日は、我々もクリスマスの時期であり、天皇誕生日のことは忘れてクリスマスの集会に関わるのである。多くの場合、教会学校のクリスマスの集いをこの日に行う教会が多い。折角のお休みなので、クリスマス集会とどのように結びつけるかと考える教会が多いのである。それでも新聞やテレビで天皇の写真、皇室のことなどが報道され、それとなく示されているのである。総領事館には天皇夫妻の写真が飾られており、なんとなく懐かしい思いで写真を見たのであった。ここで天皇制がどうであるか、そういうことは考えないで、日本の象徴としての天皇の誕生日を素直にお祝いしたのであった。



スペイン・バルセロナ総領事館官邸。



総領事の挨拶。天皇夫妻の写真が飾られている。



スペイン国公認ガイドの山田修平さんと。



スペイン人であるが着物を着る趣味を持っている。