鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<15>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<15>
2014年11月6日「街を歩けば…」



 今日は犬達の散歩を兼ねて街中を歩くことにした。イグナシさんと羊子と私の3人で出掛ける。犬達は寒くなったので、それなりの服を着せている。ミニピンシャは比較的に毛が薄いのだそうだ。大事にしている飼い主の姿勢であろう。まずドックランに行き、それからサグラダ・ファミリアの聖誕の門側、東の公園に向かう。相変わらず大勢の観光客が訪れている。東側の公園入口付近で2、3人の男性が一人の女性を無理やりに連れて行こうとしている。女性が悪い男に襲われていると思ったが、男性は刑事であり、女性は不正を行っていたのである。公園内では物の売り買いをしてはならないのである。羊子が言うには、その女性はいつも観光客相手に公園内で商売をしているということであった。その様な不正行為が摘発されているのである。私服の刑事なので、女性が襲われているように見えてしまう。2011年に来た時、一人で散歩をしていると、ものを尋ねる男がいた。言葉もわからないので、拒否の合図をして離れたのであるが、今度は二人の男に呼び止められる。警察手帳のようなものを見せて、「コカイン」なんて言っている。先ほどの男も現れて、自分の財布やカードを差し出している。刑事は私にも財布やカードを見せろと言っているのである。小銭の財布を出すと匂いを嗅いでいる。カードを持っていないことがわかると立ち去って行った。いつの間にか先ほどの男もいなくなっていた。羊子にこのことを話すと、それが詐欺だと言うのである。刑事とは真っ赤な嘘なのである。男性に襲われているような女性を見て、思わず昔を思い出していた。
 東側の公園には池がある。その池とサグラダ・ファミリアをセットにして写真を写すと、結構良いスポットになる。ところが今日はその池には水がない。そして作業員が池の底を洗っているのである。池の底はコンクリートであった。だからデッキブラシでごしごしと洗っており、汚い部分を洗い流していたのである。いかにも造られた池であることを知る。それにしてもこの場に池を造ったことは、全体の構図なのであろう。さらに歩いていくと高齢者の遊び場、ペタンカの場があるが誰もしていなかった。ペタンカは重い球を転がして競技する遊びである。このことについては2011年のバルセロナ訪問記に記している。ペタンカは誰もしていなかったが、その代り隣の場所で面白い遊びをしているので見に行く。ボーリングのような遊びである。六本のピンが立てられ、ボーリングであればボールを転がして倒すのであるが、立てられているピンより小さいピンを、立てられているピンに対して投げつけるのである。一本倒すと1点であり、六本倒せば6点あるが、一本残しておくことにより10点となる。羊子がこの遊びをしている人に、日本からきている父に、記念にやらせてもらいたいとお願いする。快く承知してくれたので、私も挑戦してみる。投げるピンは結構重い。力を込めて投げたが、立てられている六本のピンまで届かなかった。一回は三本のピンが与えられるのであるが、三本のピンを投げても、いずれも当たらなかったのである。意外と難しい遊びでもある。この遊びはBOTXESボッチェスという競技で、競技大会があるそうで、この日にしていたのは遊びではなく練習していたのである。「グラッシアス」(ありがとう)と言いつつその場を後にしたのであった。公園ではペタンカと言い、ボッチェスと言い、トランプと言い、高齢者が楽しんで過ごしている。日本では公園にはあまり高齢者を見かけない。こちらでは高齢者は家にいないで、いろいろなことで外にいる。道端のベンチには高齢者が道行く人を眺めながら日向ぼっこをしている。あるいは語らい、新聞を読み、外で過ごすことが習慣になっているのである。
 公園から少し歩くと不用品引き取り所がある。家庭における不用品は何でも引き取ると言う。テレビ、自転車、洋服、本等なんでも引き取ってくれる。羊子が、日本ではお金を払って引き取ってもらうと言うと、係りの人は驚いていた。ここに捨てられる衣類等はリサイクル品として売り、売上金を恵まれない人々に寄付するのだと言う。不用品は家の外においておけば、いつの間にか誰かが持っていくのである。街を歩いているとスーパーで使うショッピングカーの大きいのを押して歩いている人がいる。その中には捨てられた不用品がはいっている。これらの金属類などは売れるのだそうだ。ごみ箱は大きいごみ箱があちらこちらに置かれているし、小さいごみ籠もいたるところに置かれている。そして絶えずごみの回収車が回って来るのである。バルセロナのごみ処理、不用品処理には敬服する次第である。日本も、もう少しごみ処理を検討する必要がある。
 道路沿いには電気自動車の給電機があった。日本ではガソリンスタンドに行かないと電気自動車でも給電できないのであるが、こちらでは道路沿いにあるのである。道路と言えば、以前にも記しているが、信号無視の歩行である。もちろん車が近づいていれば渡らないが、車が来なければ赤信号でも平気で渡っている。信号が赤なので、青になるまで立ち止まっているのは日本人くらいのものである。街を歩く人々がそんな姿勢なので、いつの間にか私も同じようにしている。2011年にバルセロナに来て、信号の姿勢を示され、日本に帰ってもスペイン生活をしているのである。車が来なければ、そして他に人がいなければ赤でも渡ってしまう。しかし、日本人は人がいれば、やはりしないことにしている。日本人はルールに対しては律儀なのである。今日はいろいろな体験をしたと思う。いやもっと楽しい、うれしい体験があるので、数回に分けて記しているのである。



サグラダ・ファミリア東側公園の池の掃除。
下はコンクリートで、造られた池である。



遠足に来て、先生の説明を聞く子ども達。



ボッチェスという競技を経験させてもらう。



道路のベンチには老人たちが一日中腰かけて過ごしている。