鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<6>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<6>
2014年10月25日「ところ変われば…」


 結婚式があり、その後は披露宴を行うことはどこの国でも変わらない。聖書の世界でも、披露宴のことがいくつか記されている。一つは、ヨハネによる福音書に「カナの婚礼」について記している。結婚式のお祝いの時、これが披露宴であるが、ぶどう酒をお祝いする人々がたくさん飲むので足りなくなるのである。そこでイエス様が水をぶどう酒に変える奇跡が行われるのである。もう一つは、マタイによる福音書に「十人のおとめ」のたとえ話が記されている。結婚式が行われ、花婿さんが花嫁さんの家に来て祝宴を開くので、十人のおとめが花婿さんを待っている。しかし、花婿さんはなかなか来ないのである。ようやく来たころには、お迎えのおとめ達の灯が消えかかっていたのである。この辺りも聖書の世界の結婚式事情が反映しているのである。日本の場合は、今はほとんどがブライダル産業にお任せであるが、ご馳走をいただきながら、新郎新婦の出会いから現状が紹介されていく。基本的にはその内容である。そういう日本の披露宴になれているので、スペインでの披露宴には戸惑う。
 サグラダ・ファミリアで結婚式を行い、その後は記念撮影をした後は順次披露宴の会場に移動してもらう。バルセロナ旧市街にあるレストラン「ネイラス」で開催される。私と連れ合いのスミさん、星子は記念写真を写してから、ひとまず家に帰る。披露宴開会まで少し時間がある。家に帰ってから、まず犬の散歩を行う。一日に3回は連れて歩かなければならないのである。羊子たちも帰宅し、衣服を整える。羊子は和服になる。披露宴は6時30分から始まっているのであるが、新郎新婦と我々は7時頃になって会場に行く。やはり少し遅くなってから行くのだそうだ。店に入るとウェディングマーチが流される。特に司会者がいるのではなく、自然に流れて行くという感じである。最初に羊子の伴奏でフルート演奏、ヴァイオリン演奏があり、次に羊子がショパンを演奏する。演奏が終わると羊子の挨拶があり、そして家族で演奏することを告げる。私のハーモニカ、スミさんと星子の歌を羊子のピアノ伴奏で行う。「ふるさと」を演奏したのであった。その後は用意された食事をいただきながら歓談する。特に祝辞など無く、それぞれがイグナシさんと羊子にお祝を述べる。立食ではあるが、ほとんどの皆さんは壁際の椅子に座り、いただきながら歓談しているのである。もう終わりの頃かと思われるが、アコーディオンを演奏する人が自ら歌い、皆さんも歌うのである。もう時間も10時を過ぎているが、こちらではこの時間から食事が始まるので、遅い時間ではない。この時間になってケーキカットが行われる。日本刀でのケーキカットにはびっくりする。6時30分頃から始まっているので、この時間になるとぼつぼつ帰る人もいる。披露宴には最初は100人くらいの人数である。開会も閉会も宣言が無く、いつの間にか始まって、いつの間にか終わるということである。もう半分くらいは帰られていると思うが、ここでフラメンコの踊りがある。本場のフラメンコを見るのは初めてである。そのうち、皆さんはダンサーと一緒に踊りだすのである。こうして延々と続く披露宴であるので、我々は11時30分頃には失礼することにした。その頃はかなり少なくなっている。12時前に帰宅し、また犬の散歩等をしていると羊子から電話がはいる。1時30分近くになっている。これから帰るということであった。
 日本から羊子の結婚式をお祝いしてくれるためにおいでくださった皆さんには心から感謝したい。横浜本牧教会員の片平英子さんと娘さんの藤沢尚子さんに感謝したい。随分と遅くまで披露宴に出席されていた。お二人はサン・パウ病院の近くのホテルに宿泊されている。羊子の親友である中嶋七重さんご夫妻、高山奈津子さんご夫妻もお祝いに来てくださり感謝している。当初は親友のお二人だけで来られる予定であったか、それぞれのお連れ合いも一緒に来てくださったのである。皆さんもバルセロナ市内のホテルに宿泊されている。そして、本来は大塚平安教会員の石井将次さんご夫妻も結婚式のお祝いに来てくださる予定であった。ところが石井さんのお連れ合いの父上様が急逝され、来られなくなったのである。石井さん達のホテルは羊子の家から近くにある。散歩をしながら、そのホテルを見ながら、石井さんご夫妻に感謝の思いをささげるのであった。羊子の親友の皆さんとは、この披露宴でお別れである。片平さんと藤沢さんとは後日お別れのご挨拶をすることになる。
 羊子が帰宅する前に、我々は休むことにした。長い一日であった。慣れない結婚式で疲れる。いろいろな人との再会があるが、言葉が通じないこともあり、握手したり、ハグしたりして再会を喜び合ったのである。



披露宴会場に入場する新郎新婦。



ハーモニカと家族の歌でお祝いする。



ケーキカットは日本刀で。



両親への感謝。