鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<5>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<5>
2014年10月25日「いよいよ本命の記録」



 今回のバルセロナ滞在の本命は私どもの娘、羊子の結婚式が行われるからである。その日が本日の25日であり、午後3時30分からサグラダ・ファミリアで挙式である。朝からいろいろなことがあり、落ち着かないのであるが、まず午後2時頃になって撮影隊が家にやって来る。ビデオや写真に収めるためである。羊子の家における写真、羊子のウェディングドレス姿をいろいろな角度で写すのである。私達夫婦、星子等も撮影の対象である。さらに日本にいる私達の三番目の子供をiPadに登場させて写していた。犬達、猫達も写している。こうしていろいろな角度から撮影し、終わったのが3時を過ぎていた。式は3時30分から始まるのに、こんなにゆっくりして大丈夫なのかと思う。しかし、花嫁さんは時間より少し遅く入るのが通例であるということである。それでも連れ合いのスミさんと星子は3時過ぎにはサグラダ・ファミリアへ歩いて行った。すぐ側であるが、花嫁と父親は車で行くのである。乗ったと思ったら降りる距離でもある。車を降りるとサグラダ・ファミリアの前には大勢の人が見物に来ており、そこに花嫁さんが来たので、一斉にカメラを向けていた。式は地下の小礼拝堂で行われる。小礼拝堂でも300人は入れるのである。
 数人の人に伴われながら式場に行く。おそらく3時45分頃になっていた。羊子が入り口に立つとウェディングマーチが弾かれる。オルガンと共にセヴェリンさんのフルート、サーシャさんのヴァイオリンも合わせて演奏されている。お二人とも羊子の友人である。花嫁と父親が入場する風景となる。聖壇の前には新郎のイグナシさんが待っており、花嫁の父親として花嫁を新郎に託す。この辺りは日本の結婚式と同じである。ここで私の役目は終わるのであるが、新郎に託すや聖壇に上がり、星子がガウンとストール、式文を聖壇に置いておいてくれていたので、会衆が見つめるところであるが、素早くガウンを羽織、そして神父さんの横に並ぶ。羊子が結婚式をサグラダ・ファミリアのルイス・ボネ神父さんに結婚式を依頼し、式を挙げていただくことになったのであるが、羊子の父親がプロテスタント教会の牧師であることを知った神父さんは、それでは神父と牧師二人で司式を行うと言ってくださる。これには私達は驚くやら感激するやらであった。
 前代未聞のカトリック教会神父とプロテスタント教会牧師の共同司式の結婚式なので、挙式について詳しく記しておく。新郎新婦が聖壇の前に並ぶとルイス神父と鈴木牧師が最初の挨拶を行う。「只今から行われる結婚式は神様と会衆の前で行われるのであり、神様の豊かな祝福があるでしょう」と牧師は挨拶したが、神父さんも同じように述べたと思う。続いてギターに合わせて歌が歌われる。聖書朗読はヨハネによる福音書10章14節から15節であり、スペイン語と日本語で読まれた。日本語の朗読者は宮森ちかさんである。聖書は牧師が選び、神父さんはこの聖書に基づいて奨励を行う。続いて牧師も奨励を行う。それぞれ訳されるが神父さんの奨励は下山由紀子さんが訳す。宮森さん、下山さんとはバルセロナ日本語で聖書を読む会でのお交わりがある。その後、神父さんの仲立ちで指輪の交換があり、牧師は証人として傍らに立つ。そこでフルートとヴァイオリンの演奏が行われる。その後、スペイン語によるお祈りがささげられたが、サグラダ・ファミリア教会の教会員である。続いて一同で主の祈りがささげられる。そして神父さんと牧師が新郎新婦、そして付近にいる人と祝福の握手をする。ここでまたフルート、ヴァイオリン、オルガンによる讃美歌21・101番「いのちとひかりたもう神よ」が演奏される。そして神父と牧師がそれぞれ祝祷をささげる。
 これで式は終わる。イグナシさんと羊子が挨拶を行う。その後、結婚届にサインを行うが、神父と牧師、イグナシと羊子、そして4人の証人もサインする。これで退場するが、続いて一階の大聖堂へ移動する。そこでグループ毎に記念写真を写すのである。何しろ大聖堂は見学者で溢れているのであり、そういう人々も結婚式の群れを囲むので、大変な混雑となる。有名な場所で結婚式を挙げるとき、以前、鎌倉八幡宮での結婚式が思い出されていた。自宅から鎌倉まで散歩したとき、八幡宮の境内、あの舞殿で結婚式が行われており、観光で訪れている人々のカメラの対象となっていた。
 この前代未聞の結婚式は、おそらくこの時だけで、今までもなかったし、これからも行われないであろう。それにしてもサグラダ・ファミリアのルイス・ボネ神父さんが、プロテスタント教会の牧師と共に結婚式を挙行してくれたこと、寛大な取り組みであり、心の広さに敬服している。



サグラダ・ファミリアの小礼拝堂に向かう。
後ろに見えるのは見学者。



カトリック教会の神父さんとプロテスタント教会の牧師の共同司式の結婚式。




バルセロナ在住の皆さん、日本からわざわざ駆けつけた皆さんと共に記念写真。
サグラダ・ファミリアの大聖堂にて。