鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<259>

隠退牧師の徒然記(2013年7月20日〜)<259>
2014年6月6日「美しい自然の中で」


聖書の言葉
野原の花がどのように育つかを考えてみなさい。働きもせず紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は野にあって、明日は炉に投げ込まれる草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことである。
ルカによる福音書12章27-28節)



「花鳥風月に明け暮れする」という生活に慣れ親しんでいる。「花鳥風月」とは自然界の美しい姿である。朝起きると鶯が鳴いている。「ホーホケキョ」と鳴き、「ケキョケキョ」とおまけもつける。朝に鳴いていると、一日中鳴いているようでもある。宅地造成で里山一帯が住宅になっても、しかし樹木があちらこちらに残されており、それらの樹木の中から鳴いているのである。しかし、何日も鳴かない時がある。どこかに出かけているようである。鶯の鳴き声を喜びながら一日を過ごすのであるが、リスの綱渡りを眺めている時もある。先日も散歩から帰ってきたら、自宅の近くでリスが遊んでいるのを見る。今までもリスの綱渡り、電線渡りであるが、張り巡らされた電線を上手につたっていくのを見ている。台湾リスと言われ、かなり大きい。いつもは一匹であるが、この日は二匹が遊んでいた。一匹しかいないのかと思っていたが、数匹はいるようである。時々、かなり大きな声でリスが鳴いているが、恋をしているのかもしれない。そうなると一匹どころか、かなり存在していることになる。電線渡りをしているリスを、目を細めて見ているが、案外悪いこともしているのである。我が家の庭には柚子の木があり、結構実をならせることがある。ちょうどピンポン玉のような大きさであるが、リスが柚子をくわえては樹木の中に駆け込んでいく。これは人間も必要なので、リスに食べられないうちにと連れ合いのスミさんはみんな取ってしまった。結構よその家でも悪いことをしているのかもしれない。それにしても頭上の電線渡りをしているリスを、悪い動物とは思わないで、しばし見つめているのである。
花鳥風月と言っても、まったくの自然ではない。人間が造成したものがかなりあるが、自然と調和しているので、花鳥風月にいる思いである。散歩は内川橋から侍従川沿いに造られている遊歩道を歩くことがある。川向うは関東学院で幼稚園から大学までの建物が続いている。花鳥風月どころか、剣道の練習ですさまじい声が聞こえるときもある。それらも遊歩道を歩いていると、かき消されるようでもある。ところどころに金沢八景の銘鈑が石にはめ込まれており、またベンチがあり、休むこともできる。こんなに素敵な遊歩道なのに歩く人が少ない。この遊歩道は平潟橋で終わりであるが、そこからは金沢八景駅方面に向けての遊歩道がある。平潟湾を眺めながらの散歩は楽しいものである。昔の平潟湾を知っているので、この造られた変化を驚きながら、侍従川沿いの遊歩道、平潟湾沿いの遊歩道を喜んでいる。昔は侍従川沿いの遊歩道から平潟湾沿いの遊歩道はすべて平潟湾であった。昔の平潟湾半分を埋め立て、今のたたずまいになったのである。昔の平潟湾は、ただ広い湾で、何の利用価値もなかったようである。海水浴と言えば野島海岸であり、あさり堀も野島海岸であった。その湾の半分を埋め立て、人間の住むところとしたのは賢明であったようだ。埋め立てた部分をシーサイドラインの電車が走り、新しい平潟湾にはいろいろな船が停められている。釣り船、屋形船、遊覧ボート、モーターボート等、それらの船を、遊歩道を歩きながら見るのも楽しいものである。人間の造った花鳥風月の中にいるようである。
人間の造った花鳥風月は野島公園であろう。正式には南部公園と言うのだそうだが、野島にあるのだから野島公園と言った方が良い。もう何回も紹介しているが、野島山を中心にした野島全体が公園なのである。野島山も整備され、展望台もある。野島海岸波打ち際は階段状になっており、そこに座り、夕刻に帰って来る船を見たり、向う岸に見える八景島シーパラダイスの遊戯施設を見たり、水鳥たちの遊ぶ姿を見るのも楽しいものだ。そして松林の中に設置されているバーベキュー場、野外炊飯を楽しむテーブルとイス、土曜日と日曜日、休日以外の週日はひっそりと佇んでいるのである。人間の造った花鳥風月の中にいるようである。それでもこれらの花鳥風月は心が休まるし、楽しいひと時を与えてくれるのである。
朝起きれば耳をそば立て、鶯の声を聞こうとしているし、新聞を取りに門の新聞受けに行きながらも張り巡らされた電線に目を注ぐ。そんな生活も花鳥風月なのかもしれない。隠退牧師の徒然記は、もう書くこともないので…。



平潟湾と野島



竹につかまって遊ぶ二匹のリス。上と下にもいるが、わかるかな。



綱渡り、電線渡りをするリス。