隠退牧師の徒然記<198>
隠退牧師の徒然記(2013年7月20日〜)<198>
2013年10月18日「人々を見つめながら」
聖書の言葉
その日、イエスは家を出て、湖のほとりに座っておられた。すると、大勢の群衆がそばに集まってきたので、イエスは船に乗って腰を下ろされた。群衆は皆岸辺に立っていた。イエスはたとえを用いて彼らに多くのことを語られた。
(マタイによる福音書13章1-2節)
チャリティーコンサートが10月16日に開催されたので、錦糸町にある「すみだトリフォニーホール」に、連れ合いのスミさんと友人の見上真理子さんと共に赴く。主催は賛育会で東日本大震災復興支援のために開催されたのである。今年で六回目となる「賛育会チャリティーコンサート」は下町のコンサートとして親しまれているという。六回の開催の中で、四回、五回も大震災復興支援として開催している。コンサートの益金は、今までと同じように「日本キリスト教海外医療協力会」が行っている、被災地での訪問ケアや心のケア活動の取組みに役立てていただくことが目的なのである。
コンサートはソプラノのオクサーナ・ステパニュックさん、テノールの又吉秀樹さん、ピアノ伴奏は比留間千里さんの演奏であり、更にオルガンの水野均さんの演奏があった。それぞれすばらしい演奏であったと思う。パイプオルガンの演奏の時には、特別出演としてトランペットの奥山泰三さんも演奏する。はっきり言えば、このような演奏会には臨んだことがないので、その演奏ぶりに驚くばかりであった。
このコンサートを知るのは、横浜本牧教会の稲本佑子さんがチラシを送って下さったからである。稲本ご夫妻は去る9月初旬にスペインの旅ツアーに参加された。約半日の自由時間があり、バルセロナでピアノの演奏活動をしている娘の羊子とお会い下さる。羊子は自宅にお招きして、日本食でもてなす。ツアーはスペイン料理であり、食傷気味になっている稲本ご夫妻に喜ばれたという。羊子の家からは目の前にサグラダ・ファミリアが見え、大変感動して写真に収めたと言われ、その写真を送って下さると共に、コンサートのチラシを送って下さったのである。稲本佑子さんは賛育会の評議員をされているので、一人でも多くの来場者を願い、ご案内下さったのである。
このようなコンサートは初めて臨むと記したが、思い出す限り、錦糸町という場所にも行ったことがない。16日の午前は台風一過であったが、午後からは通り過ぎて晴れ間となる。各地の電車が不通であるとか、運転を見合わせているとかの状況であり、そのため少しどころか随分と早く出かける。友人の見上さんとは錦糸町駅北口改札口で午後5時に待ち合わせをしたのであるが、午後2時過ぎには出かけたのである。京急線も品川までであり、通常は都営地下鉄線、京成線と相互乗り入れしているのであるが、台風の影響で乗り入れはなかった。それでも山手線は動いているので、品川で乗り換え、更に秋葉原で乗り換えて総武線の錦糸町駅に行ったのである。台風のため神奈川県にしても東京都の各学校が休校であり、電車は比較的すいていたと思う。結局、早めに家を出たので3時半には錦糸町駅に着いてしまう。改札を出て、休むベンチもなく、パン屋さんの喫茶店で休みながら見上さんを待つことにしたのである。もちろんおいしいパンのいくつかを求め、ゆっくりと食したのである。
山手線に乗りながら、連れ合いのスミさんが竹前昇先生のことを話し出す。日本基督教団の総幹事を務めていた竹前先生は、時々、この山手線に乗っておられた。環状線なので、乗っていれば再び同じ駅に戻ってくる。それが楽しくてひとまわりするのだと言われていた。そのことは竹前昇先生の追悼文集「私たちの祈るところ」の中で、どなたかが記している。連れ合いのスミさんはその追悼文を読み覚えていたのである。電車に乗っていると、いろいろな人の乗降があり、また移り行く車窓の景色を楽しむことができる。それだけでも人生の勉強ができるのである。コンサートも「すみだトリフォニホール」の大ホールが満席になるほど人々が来場している。そこでもいろいろな人々を見つめたのであるが、電車に乗降する人々の人間模様には考えさせられるのである。コンサートの感想というより、人々を見つめた感想になってしまったが…。
賛育会主催のチャリティーコンサートのチラシ。