鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

「受難の門を見つめつつ」・バルセロナ滞在記<36>

「受難の門を見つめつつ」・バルセロナ滞在記(2012年9月10日〜11月6日) <36>
2012年10月17日「皆さんをお招きしての晩餐会」



 今日は羊子の知人の皆さんを夕食に招待している。こちらではお互いに食事の招待をするものである。先日も画家の大原立司さんのご家庭に招かれて夕食をいただいた。また、ネウスさんにも高級レストランに招かれているし、マルガさんにもホアキンさんにも招かれている。招かれたらお返しと言うわけではないが、お交わりの意味でこちらも招待するのである。大原立司さんやネウスさんたちもいずれはお招きすることになっている。今日はサンタコロマの皆さんたちをお招きしている。サンタコロマはホセ・ルイス神父さんが責任を持つカルチャーセンターがあり、そこの役員の皆さんとも羊子は親しくしている。先日もフランス人・ピアニストのアランさんを紹介し、彼のピアノコンサートがサンタコロマで開かれた。紹介したこともあり、我々も羊子に連れられてサンタコロマに出かけたのである。コンサートが終わってからアランさんを囲んで軽食をいただく。食事をしながらの歓談の中で、両親がいるうちに食事に招待したいとお誘いしたのである。この人たちは昨年バルセロナに訪れたとき、私の誕生日においでくださり、お祝いしてくれている。サンタコロマから5人の皆さんが来られることになり、さらに親しくしている歌手のマルガさん、マルケス(伯爵)と呼ばれているお爺さんのホアキンさんも来られることになった。



食卓を整え、皆さんをお待ちする。



 皆さんが来られるのでスミさんも料理に腕を振るう。スミさんはオムレツを、羊子は野菜サラダ、肉の蒸し焼き等を用意した。夜9時頃になって皆さんがお出でになった。こちらの習慣は、最初はビールやソフトドリンクで軽く喉を潤し、ちょっとしたつまみを食べながら挨拶したりして消息を語り合う。サンタコロマの人たちは5人の予定が3人であった。ホセ・ルイス神父さんがスミさんに飼い葉桶に眠るイエス様の陶器人形をプレゼントしてくれた。飼い葉桶はゆりかごのようにもなっている。そして私にもプレゼントがあった。カタルーニァ地方の伝統的なお酒であるとか。羊子に言わせれば高価なものであるという。何かと気がつく神父さんである。昨年の私の誕生日の時にはポルトガル記念硬貨をくださった。コインや記念切手を蒐集していることを聞いていたので、先日お会いしたとき、日本の記念切手をお土産に差し上げたことについては既に記している。



ホセ・ルイス神父さんが、スミさんに飼い葉桶のイエス様を
私にはカタルーニァの伝統的なお酒をプレゼントしてくださる。



 サンタコロマからはホセ・ルイス神父さん、女性のインマさん、男性のアルベルトさんの三人である。食事の前は乾杯をしていただくのであるが、皆さんは日本語の「カンパイ」が好きで、何度も「カンパイ」を繰り返す。我々もスペイン語を覚えようとしているが、こちらの皆さんも何かと日本語を覚えようとしている。スミさんのオムレツに対して「オイシイ」を覚えたので、繰り返していた。羊子の肉の蒸し焼き、インマさんの手作りのスペイン風コロッケも美味しくいただく。もうこれでお腹がいっぱいなのであるが、デザートを食べるのが大変である。マルガさんもホアキンさんもお菓子を多量に持ってきてくれたので、食べなければならない。「ノ・グラシアス」と言ってお断りするのがやっとのことなのである。お腹がいっぱいになったところで、食事中も話しが弾んでいたが、いろいろなお話が続く。よく食べて、よく飲んで、よくお話しをすることがこちらの皆さんの喜びなのである。決して難しいお話をしているのではなく、世間話なのであるが、延々とお話しをしている。私は途中から食事の席を離れて、リビングのソファーで休んでいた。皆さんは電車で来たのであるが、もう電車は無いそうである。日本の場合は午前1時くらいまであると思うが、12時くらいで終了すると言う。電車がなくなるのも気にせずに話し込んでいる皆さんである。結局、皆さんが帰ったのは午前1時頃であった。サンタコロマまで少し遠いようであるがタクシーで帰られる。マルガさんやホアキンさんはバルセロナ市内であり、タクシーでもそんなにかからない。



食事をしながら楽しく歓談。



マルガさんがお土産のケーキを分ける。



珍しいお土産のお菓子を抱えて喜ぶスミさん。


 今日ばかりではないが、こちらの皆さんのお交わりと言うものを示されている。どんな人とも親しくお話しする。日本人にはない人間関係を学んでいる。