鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

「受難の門を見つめつつ」・バルセロナ滞在記<15>

「受難の門を見つめつつ」・バルセロナ滞在記(2012年9月10日〜11月6日) <15>
2012年9月24日「カステレイとヒガンテス」




 前記したように今日の24日まで祭日であり、バルセロナはお祭りの最中である。昨日のサグラダ・ファミリアの光の祭典で多くの人々が詰めかけたことで驚いたのであるが、今日も驚きの体験となる。羊子が市役所広場でカステレイとヒガンテスが行われるというので連れて行ってくれた。カステレイと言うのは人間の塔である。人の上に人が乗り塔を作る。ヒガンテスは大きな人形のことである。私は案山子と称しているのである。市役所広場はゴシック地区にあり、そこまでタクシーで行く。広場に向かうと、大勢の人も向かっていた。広場一面に人があふれている。わずかな隙間をぬって前に進むが、これ以上進めない辺りで見ることになる。始めにヒガンテスの祭典のようで、各地のヒガンテスが音楽に合わせて踊るのである。踊るといっても大きな人形を回転させたり、行ったり来たりさせるだけである。次々に各地のヒガンテスが登場するのである。ある程度見物して、その場を後にした。



いろいろなヒガンテスが出番を待っている。



カステレイは人間の搭であるが、危険を伴う。



 その後、「王の広場」に行く。そこにある建物は歴史博物館になっているが、羊子は今年の夏二日間、ここでピアノリサイタルを行っている。歴史博物館では織物の歴史が展示されていた。昔の織物機、そこでできた布等が展示されていた。古くはインド経由の織物も展示されていた。そこの係員が羊子のピアノリサイタルを覚えていて、声をかけてくれた。その後は近くにあるフレデリック・マレー美術館を見学する。この美術館はマレーと言う人が個人的に集めた彫刻や宗教美術である。しかし、個人で集めたとしては、随分と多い。「信仰の部屋」にはキリストの十字架像が立ち並び、聖母子像がたくさん並べられている。「女性の部屋」には豪華な宝飾品や服飾品ずらりと並べられている。一人で一生をかけて、これだけのものを集めたとなると、まさに驚きである。随分とお金持ちがいるものだと思う。


「王の広場」にて。
コロンブスが王様に新大陸発見を報告したところと言われる。



一休みするスミさん。こんなところで。




 さて、そろそろカステレイの登場である。再び市役所広場に行くと、既に始まっていた。最初は四段のカステレイである。一番上にはまだ小さい子どもが乗っている。脇から静かに中央に進み、市長のいる前で片手を上げて挨拶し降りてくる。これも各地のカステレイが登場するのである。一通り各地のカステレールが登場した後は、中央で大きなカステレイが組みあがる。今度は七段、八段である。やはり一番上は小さい子どもであるが、下からよじ登っていくことは相当な勇気が必要であろう。八段ともなると、上で手をあげて挨拶することは危険であり、上まで登りつめたら、すぐに降りてきていた。これも各地のカステレイが作り上げていくのである。七段、八段が出来上がると大喝采が沸き起こる。
 まだ終わらないが、この辺で我々は退却する。それも人を掻き分けながらの脱出で大変である。少し歩いて広場に出る。こちらにはあちらこちらに広場があり、広場を囲むようにレストランがあり、テラス席がある。この広場で昨年の春、日本の震災復興のためのピアノコンサートをしている。羊子が演奏している写真と募金箱をもっている写真が残されている。昨年は日本の震災復興のために、羊子は各地でピアノコンサートをした。今年は、もはや行われなくなっているが、スペインの皆さんが震災復興に協力してくれたことを、改めて感謝したい。
 さて、今回イベントに出かけてきたのはついでのことであった。メインは友人のネウスさんが食事に招待してくれていたのである。旧市街地に行くのであるからイベントを見物しようと言うことで早めに出かけてきたのである。ゴシック地区にある一流レストランのロス・カラコレスと言う店である。カラコレスとは「かたつむり」との意味である。店先ではいくつもの鳥の丸焼きが行われていた。ネウスさんは羊子がスペインに渡った頃、ネウスさんの家に下宿させていただいたのである。それが縁でネウスさんが日本の観光に来たとき、私たちがお迎えし、海老名第一ホテルの日本料理店で共に食事をしている。昨年もネウスさんにはおもてなしをいただいたが、今回も高級レストランでありがたく食事をいただく。それにしても、羊子はこちらの皆さんから愛されており、親として喜ばしい限りである。



高級レストランでおもてなしをいただく。



ネウスさんと羊子。



楽しい一日を振り返りながら帰路につく。