鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

「受難の門を見つめつつ」・バルセロナ滞在記<7>

「受難の門を見つめつつ」・バルセロナ滞在記(2012年9月10日〜11月6日) <7>
2012年9月16日「美しい海岸線を見ながら」



 今日は日曜日であり、礼拝をささげる日である。しかし、羊子の都合があり、昨日の土曜日に六浦谷間の集会バルセロナの集いとして礼拝をささげている。今日はシッチェスという町へ行く。羊子にピアノ伴奏をしてもらう人が、シッチェスの町で声楽コンクールに出演するためで、我々も一緒についていく。ついでに観光を兼ねてである。バルセロナから南に車を走らせること1時間、約100kmである。高速道路を走り、美しい海岸線を見ながら走る。シッチェスについた頃は、コンクールに出演にする人の時間が迫っており、羊子は先に会場に行く。我々は車の駐車場を探すことで時間を費やしてしまう。こちらの駐車場はほとんどが路上駐車であり、駐車できる道路はすべて満杯であり、探すのが大変である。これはバルセロナでも同じであり、駐車場を探すのに苦労するのである。ようやく駐車することが出来、我々もコンクールの会場に向かったが、彼女の出演時間は終わっていた。しばらく羊子を海辺で待つことになる。



シッチェスの海岸は真夏の混雑であった。9月16日であるが。


 シッチェスはバルセロナブルジョワたちの別荘地でもあるという。海岸通りには豪華な家が立ち並び、洗練された雰囲気をかもし出している。19世紀末、芸術に理解を示すパトロンのまわりに画家や詩人、建築家が集まったと案内書は説明している。今でも芸術家が集まっているという。同性愛者が集まるところだとも言われているとか。白い砂浜と真っ青な海、浜辺には多くの人が海水浴を楽しんでいる。今日は9月16日であり、日本では海水浴シーズンは終わっている。サーフィンとかの愛好家くらいしか海にはいない。こちらは真夏の海水浴シーズンがまだ続いているのである。ビーチパラソルが立ち並び、デッキチェアに寝そべっている人々、泳ぐ人々、今日は日曜日なのでにぎわっているのであろう。
 羊子を海辺の近くで待っていたのであるが、その辺りは陽射しが強く、日陰で休むことにしたが、なかなか座る場所がない。一箇所あったが、中年の男女のカップルが座って語らっていた。我々が座るところを求めてうろうろしているのを見て、座る場を譲ってくれる。スミさんが杖をついているので、代わってくれたのであろう。こちらの人たちは杖をついていれば、例えば電車に乗ったときなどはすぐに代わってくれる。もちろん日本でもそうであり、ことさらこちらの人たちを評価しているのではないが。そうこうしているうちに羊子が戻ってきた。
 丁度、昼食時間なので食べることにした。岡にはたくさんのレストランがあるが、我々は海辺のレストランで食べることになった。そこは水着のまま食事が出来るのである。砂浜の上に建てられており、すぐ下は海であり、波が押し寄せている。テラス席でパラソルの日除け下でいただいたのである。日本の海水浴で、いわゆる海の家を利用したのは、はるかなる昔で、どのようにしたのか覚えがない。テラス席のようにはなっていないことは確かである。芸術の町であり、海辺近くにはカウ・フェラット美術館、マリセル美術館、ロマンティック美術館等があるが、時間の都合もあり見学はしなかった。シッチェスという海辺の町、リベラ海岸、芸術家を生み出した町を見るだけで十分であった。



海岸近くの日陰で休んでいると羊子が戻って来る



海辺にあるレストランのテラス席


 さて、夜は音楽家たちの集いがあるという。この集いは聴衆を集めてのものではなく、音楽家たちだけの集いである。しかし、それぞれの知人数人が聴衆となる。羊子の知人が貸しホールを持っているので、そこに参集した。フルート奏者のセヴェリンさん、チェロ奏者のイングリッドさんが演奏し、私たちとも知り合いになっているマルガさんがソプラノで歌う。そして羊子のピアノ演奏である。他にも数人予定していたが、都合で来られなかった。演奏が終わると電灯が消される。ローソクがともされたケーキが運ばれてきた。セヴェリンさんと連れ合いのスミさんの誕生会になった。彼女は30歳、スミさんは73歳の誕生祝いである。ケーキの上には730の数字のローソクが立てられていた。思っても見なかったことで、スミさんは驚くやら、感激するやら。昨年4月5月に訪れたときは、5月10日に私の誕生日を皆さんがお祝いしてくれたことが思い出される。異国の地で皆さんの暖かい人柄を示されるのであった。



演奏家達の集いでマルガさんが羊子の伴奏で歌う



思わぬ誕生会。730の数字のロウソク。セヴェリンさん30歳、スミさん73歳