鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記 <95>

 

隠退牧師の徒然記(2011年6月1日〜)<95>
2012年5月9日 「素直な心で精読し」 


聖書の言葉
そこで読者にお願いする。素直な心でこの書物を精読してほしい。我々は、懸命に努力したのであるが、上手に翻訳されていない語句もあると思われるので、そのような箇所についてはどうかお許し願いたい。というのは、元来ヘブライ語で書かれているものを他の言語に翻訳すると、それは同じ意味合いをもたなくなってしまうからである。この書物だけではなく、律法の書それ自体と預言者の書および他の書物でさえも、いったん翻訳されると、原著に表現されているものと少なからず相違してくるのである。
(シラ書序言16-26節)


 
 ゴールデンウィークに密かに計画していた登山が、雨のため断念したことから、もともとこの期間に登山ができなかったのは、日本基督教団総会書記を担っており、5月の連休には各教区総会の教団問安使として出席していたためである、と前回の日記に記している。そんなことから改めて日本基督教団総会書記を4期8年間担ったことに思いを馳せている。教団書記に選任されたのは2002年10月に開催された第33回日本基督教団総会である。書記は総会議場で選任されるが、選挙で選ばれるのではない。その総会場で選任された総会議長と副議長が選任した者を総会議場に諮り、承認を得るのである。結果においては総会で選任されたことになるが、議長・副議長の選任でもある。そのいきさつについては割愛しておく。




常議員会の記録を作る。




 「書記は、議長のもとで会議の事務および議事の記録に当たる」ことが任務である。「会議の事務」については、教団の事務局が行うので、「議事の記録」が主な職務となる。しかし、教団三役の一人でもあり、記録もさることながら、役職としての職務が多いのである。2002年10月に選任され、翌年2003年6月には韓国に派遣される。韓国基督教長老会(PROK)の50周年記念集会に日本基督教団を代表して出席することになったのである。その時の報告書を残しているので、ここにも記しておきたい。



韓国基督教長老会(PROK)50周年記念集会出席報告
韓国基督教長老会は1953年6月に朝鮮イエス教長老会から分立して歩んでいるが、2003年6月に50周年を迎えた。その記念集会「YEAR OF JUBILEE」を2003年6月9日〜11日に開催した。主題「United As One in the Promised New Land」( Genesis 12:1-3 Ephesians 4:4-6 )。50周年記念集会は10日午後1時から6時までChonan Cityで開催された。会場はスポーツセンターで、およそ8,000人が集まった。分立して歩んだ50年の歴史をスライド、歌、ダンス等で表し、新しい歩みは一つなる姿として歩むことを宣言した。出席した各国ゲストはローソクを持参することが求められており、記念集会の開会時に点火して入場したのである。それは各国キリスト教の光をPROKに持っていったことを意味し、日本基督教団の光をお持ちしたと言うことになるのであった。各国からの光は高い位置に吊り上げられ、8,000人をお祝いするかのようであった。記念集会の終わりには、再び各国のゲストが中央に進み出、大きなバースデイケーキにナイフを入れたのであった。50年のお祝いと新しい歩みのお祝いである。この記念集会には各国キリスト教の20教派、27名が:ゲストとして出席した。



 このように他教会との協議会に関わり、出席者の一人になるのである。在日大韓基督長老教会との宣教協力委員会、台湾長老教会との協議会、日北米宣教協議会等に出席し、記録と共に集会を担当するのであった。そういう職務と共に、これは本来の職務になるが、常議員会や宗教法人責任役員会の議事録を作成する。特に常議員会議事録は、結構大変であったことを明記しておく。常議員会は一総会期2年間で6回開催される。それぞれ二日にわたって開催されるが、その議事録の作成をする。A4判で25頁にもなる。会議は事務局で録音しており、その録音データを渡されるが、自分でも録音していた。自分の録音はパソコンに取り込むことができ、パソコン上で議事録を作成していたのである。議事録は発言録ではないが、しかし発言録に近くなる。発言したことを、そのまま記録するのではない。発言そのものを記録するのではなく、発言内容を記録することになる。例えば、「私はその件については、このように思っているのであります」と発言した場合、「その件は、このように思う」で記録する。すべて断言調に記すのである。丁寧語で言われているニュアンスを断言調で記すと意味合いが異なって来る場合もある。そのため、次回の常議員会に議事録案として提出する。それぞれ自分の述べた意見とあっているか確認するのである。いくつかの訂正が提出されて、議事録が確定するのである。中には、その時に発言しなかったことまで加えていることもあり、それらは録音にも残っていないので、採用しないことは言うまでもない。
 一昨年の総会で三役が交替して、また新しい常議員会を構成しての歩み出しになっているが、議事録は今までのような記録ではなく、議事に対して決議を記録するだけで、審議経過は割愛するようになったと聞く。そうであれば、書記の苦労はなくなる。しかし、今、国会でも議事録が作られていないことが問題とされているが、審議経過は誰もが知りたいのである。どのような審議により決議に至ったことを知ることは大切なことなのである。
 記録を残しておくことは貴重な宝物である。私もパソコンに残されている、いろいろな記録を取りだしては使っているが、もっと保存に力を入れたいと思っている。