隠退牧師の徒然記 ＜６１＞

隠退牧師の徒然記（2011年6月1日〜）＜６１＞
2012年2月20日　「歩いて、歩いて、歩いて」
　

聖書の言葉
さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい。見えるかぎりの土地をすべて、わたしは永久にあなたとあなたの子孫に与える。あなたの子孫を大地の砂粒のようにする。大地の砂粒が数え切れないように、あなたの子孫も数え切れないであろう。さあ、この土地を縦横に歩き回るがよい。わたしはそれをあなたに与えるから。
（創世記11章14-17節）

歩いて、歩いて、歩いて、ついにシルクロードを歩き終わった。所持している携帯電話に万歩計機能が付いている。一日の歩数と共に距離数が表示され、カロリー、脂肪燃焼量まで表示されるのである。そしてシルクロードを歩くという設定があり、今日は何所から何所まで歩いたと表示してくれる。2011年6月23日に「シルクロード」の設定をして、始点である中国の西安を歩き始め、2012年2月18日にローマに到達した。7ヶ月20日を要し、1200キロメートルを歩いたことになる。本当はもうとっくに歩き終わっている。昨年2011年1月5日に携帯電話を購入し、その時点で「シルクロード」を設定している。4月5月にスペイン・バルセロナに行く。娘の羊子がピアノの演奏活動しており、45日間滞在したのである。ところが滞在中にスリに遭い、携帯電話が盗まれてしまったのである。それで帰国してから同じ機種の携帯電話を求め、同じように「シルクロード」を設定したのである。本来なら達成しているはずなのであるが、「ローマ到着おめでとうございます」の画面を見ながら、やはりうれしい気持ちになった。その画面には次のように記されている。

携帯電話を写真に収めるもボケてしまった。
それでも「ローマ」とか「1200キロメートル」、
「7ヶ月20日」が読める。証拠になる。

　「ついに、シルクロードの終点ローマにやってきました。2600年以上の歴史を持つ『永遠の都ローマ』です。『ローマは一日にして成らず』というように、私たちも、日々歩き続けてここまでやってきました。シルクロードを歩き切ったこの経験は、きっとこれからの私たちの人生に自信を与えてくれることでしょう。シルクロードのロマンは果てることはありません。これからも、歩き続け、旅を続けて行きましょう。到達日は2012年2月18日、7ヶ月20日間、1200キロメートルです。2011年6月26日、西安を出発しました。あなたの果てしないシルクロードの旅は西安から始まったのでした。長い旅の途中、数々の感動的な風景と出会い、遂に終焉の地ローマに到着したのです。あなたの旅はここで終わりではありません。これからも歩むべく道のりは面前に続いています。さあ、ゆっくりと歩いてゆきましょう。」
　シルクロードについてはNHKがその道筋を放映したということであり、それぞれの時に到着すると遺跡の画面が表示される。いずれもNHKの放映した写真である。これらの遺跡を見るのも楽しみだった。中国の始皇帝陵、黄河、敦煌・北窟、ウイルグ地区のアルタイ山脈、パキスタンのカラコルム、アフガニスタンのバーミヤン遺跡、パミール高原、ウズベキスタンのサマルカンド、イランのイマームモスク、アララト山、イラクのハトラ遺跡、シリアのパルミア、ヨルダンのぺトラ、レバノンのレバノン杉、トルコのカッパドキア、アテネのパルテノン神殿、そしてローマに至るのであるが、遺跡の数々を見せられながらの旅路は実に楽しいものであった。
　もともと「シルクロード」は日本とヨーロッパ、地中海世界との歴史的な交易路を指すのである。日本の「絹の道」との意味である。それが大陸では歩いての交易路が開拓されていく。中国の胡椒を始め香辛料はヨーロッパの世界で爆発的な人気となり、貿易が盛んになっていく。ヨーロッパの歴史は戦いであると共に、貿易振興の歴史でもある。中でも海洋国であるスペインはコロンブスによってインドやアメリカとの通商を開拓していく。イギリス、イタリア等も海洋国として世界に貿易を拡大して行くのであるが、大陸を渡っての貿易がシルクロードとなるのである。それぞれの都市は旅人で発展していく経緯がある。
　たとえゆっくりでも歩いて行けば目的地に到達するのである。とにかく続けることが大切であることを示される。歩くことばかりではなく、何にしても、学問にしても、趣味にしても、研究にしても、少しずつでも続けることが大切であり、必ず目的地に到達するのである。だから、始めては中断し、中断しては忘れた頃に再び始めるスペイン語の学習にしても、けん玉の練習にしても、あきらめずに続けていくことにする。いつか皆さんの前で、けん玉の曲芸をお見せすることがあるのかな。
　さて、再び「シルクロード」を設定して歩き始めようかな。今度は半年くらいで達成しよう。