鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記 <32>

 

隠退牧師の徒然記(2011年6月1日〜)<32>
2011年12月12日 「賛美の歌を声たかく」 


聖書の言葉
指揮者によって、主の僕の歌。ダビデの詩。主がダビデをすべての敵の手、また、サウルの手から救い出されたとき、彼はこの歌の言葉を主に述べた。「主よ、わたしの力よ、わたしはあなたを慕う。主はわたしの岩、砦、逃れ場、わたしの神、大岩、避けどころ、わたしの盾、救いの角、砦の搭。ほむべき方、主をわたしは呼び求め、敵から救われる。」
詩編18編1-4節)


毎年12月になるとベートーベンの第九が歌われている。今年も各地で合唱の集いが報道されたりしている。交響曲第九番第四楽章「歓喜の歌」は、年末に歌われ、新年への歩み出しにもふさわしいのであろう。日本において第九が歌われたのは1918年6月1日、徳島県板東町(現・鳴門市)にあった板東俘虜収容所で、ドイツ兵捕虜により全曲演奏がなされたのが、日本における初演とされている。この事実は1941年に、この初演の2ヶ月後に板東収容所で『第九』(第1楽章のみ)を聴いた徳川頼貞が書いた『薈庭楽話』で明らかにされていたが、長く無視され、1990年代になって脚光を浴びたと言われている。日本で年末に『第九』が頻繁に演奏されるようになった背景には、戦後まもない1940年代後半、オーケストラの収入が少なく、楽団員が年末年始の生活に困る状況を改善するため、合唱団も含めて演奏に参加するメンバーが多く、しかも当時(クラシックの演奏の中では)「必ず(客が)入る曲目」であった『第九』を日本交響楽団(現在のNHK交響楽団)が年末に演奏するようになり、それが定例となったことが発端とされる。既に大晦日に生放送をする慣習が定着していたから、年末の定期演奏会で取り上げても何ら違和感が無かったことも一因として挙げられる。1960年代以降、国内の年末の『第九』の演奏は急激に増え、現在に至っている。以上はインターネットのウィキペディアを参照している。
 年末になると世の中は第九になるが、大塚平安教会在任の頃は、クリスマス礼拝ではヘンデルハレルヤコーラスを歌うことを常としていた。かなりの歴史になるが、他の教会で、クリスマスにはハレルヤコーラスを歌っていると聞き、大塚平安教会でも歌うことにしたのである。その頃、声楽家が数人おられて、待降節になると、毎週礼拝後には練習を重ねたのである。そしてクリスマス礼拝では終わりの頌栄に代えてハレルヤコーラスを歌ったのであった。毎年、クリスマスには歌っているので、たいして練習もしなくても本番を迎えることになった。しかし、なかなか合唱にはついて行かれない方もあったことは事実である。歌うことができない方は、最後のハレルヤコーラスの中に身を置くだけでも喜びであると言われていた。しかし、歌えない方があるのだから、ハレルヤコーラスではなく、頌栄をもって礼拝を終わるべきだとの意見もある。さらに、メサイアは主イエス・キリストの受難と復活に重きが置かれているのであり、イースター礼拝で歌うべきであると主張される方もおられた。しかし、メサイアは救い主の到来の預言と誕生、救い主の宣教から始まるのであり、受難と復活をもつてハレルヤコーラスが歌われるにしても、クリスマスとイースターは一体なのであり、クリスマスにハレルヤコーラスを歌うことには問題はないのである。
 それにしても大塚平安教会においては聖歌隊の皆さんの活躍は力強いものであった。礼拝においても聖歌を歌い、クリスマス礼拝においては会衆賛美と共に聖歌合唱は礼拝を高めていたと思う。さらに聖歌隊さがみ野ホームや綾瀬ホームのクリスマス礼拝で賛美の奉仕をしていたし、神奈川教区の教会音楽祭に出場したりして、教区内諸教会と賛美の交わりを深めていたのである。聖歌隊が組織出来る教会であったことを喜び、感謝している。これからも賛美の歌を高らかに歌い続ける教会であることを祈っているのである。
 今年も聖夜礼拝に向けて聖歌隊の皆さんは練習に励んでおられることであろう。礼拝堂で聖歌の練習をしているのを聞きながら、食事をしたり、読書をしたりしていたが、今の生活は何も聞こえてこない。牧師館が教会の中にあることの賛否両論があるが、30年間、教会の中にある牧師館で過ごしてきたことを思う時、礼拝堂の音は生活の一部になっていたということである。それはそれで牧師としての喜びがあったということである。だから、夜になって何も聞こえてこない今の生活は、まだまだ大塚平安教会時代から抜けきれないのである。六浦谷間の集会の礼拝では賛美の声を高らかに捧げているのであるが。



2007年10月20日開催のチャペルコンサートで聖歌合唱の大塚平安教会聖歌隊




さがみ野ホームのクリスマスで聖歌を歌う聖歌隊
2007年12月8日撮影。




2006年12月24日、聖夜礼拝後に教会玄関先で聖歌を歌い、
世にクリスマスの喜びを発信する皆さん。