鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記 <21>

 

隠退牧師の徒然記(2011年6月1日〜)<21>
2011年11月16日 「物語の担い手」 


聖書の言葉
わたしは、悩みと愁いに満ちた心で、涙ながらに手紙を書きました。あなたがたを悲しませるためではなく、わたしがあなたがたに対してあふれるほど抱いている愛を知ってもらうためでした。
(コリントの信徒への手紙<二>2章4節)



 11月12日は鎌倉まで散歩したが、新しい発見をした。一つは「切通し」であるが、もう一つは「赤丸郵便ポスト」である。朝比奈から鎌倉までの道筋に昔ながらの赤丸郵便ポストが立っていた。今ではほとんど見かけないので、得難い出会いとなったのである。この出会いから、私のポストへの思いを記しておくことにした。
6月23日に江の島散策を百合子や友達の弥生さんと行ったが、その時、江の島の郵便局前に黒い郵便ポストがあり、記念写真を写した。そのことについては10月14日のブログで公開している。スペインの黄色いポストや日本の昔ながらの赤丸郵便ポストの写真を掲げながら、「ポストが趣味になったりして」と写真の説明をしている。趣味になると言うより、ポストへの思いを記しておきたい。



朝比奈から鎌倉八幡宮への道沿いに昔ながらの赤丸郵便ポストが立っていた。



鎌倉八幡宮へ歩いているとき、途中、赤丸郵便ポストに出会う。もうかなりくたびれていると思われるポストであったが、現役として働いているのである。全国的に四角いポストに代わりつつある。四角いポストは、最近は大型の郵便物を出すことが多くなったので、需要に応えての構造になっている。赤丸郵便ポストは大きな郵便物を投函できないのである。そこで四角いポストに代わりつつあるのだが、何と、鎌倉市内には37本の赤丸郵便ポストがあると言うことである。これは面白いことを知った。赤丸郵便ポストを訪ねて、37ヶ所歩くとしようか。




今は四角いポストになっている。大型郵便も入れることができる。



自宅から六浦駅までの道沿いに、こんなに小さなポストが置かれている。



こちらは金沢郵便局の中にあるポスト。
自宅から30分歩いて写真を写しに行く熱心さ。




私がなぜポストに心を寄せるのか。それは私が手紙を書くことが好きだからである。手紙を書き、ポストに入れるときの気持ちは、相手のことを心に示されながら差し出すのである。今はメールで連絡することが多くなり、手紙を書くことが少なくなっているが、手紙を書いてポストに入れるときは、祈りつつ投函しているのである。昔は今ほど配達が早くなかった。郵便を出して、返信が来るまで一週間以上を要した。その間、来るか来ないかの返信であるが、出した方のことを示されつつ歩むのである。ポストには祈りがあると言うことである。だからスペインの黄色いポストには心が寄せられたし、日本の赤丸郵便ポストに限らず、四角いポストであっても心が引かれるのである。
高校生活をしている頃、「学生週報」とかの週刊誌が発行されることになり、読者の頁の投稿を募集していた。一つのテーマが「文通」と言うことであったので、「文通をする場合、まずハガキで自己紹介をしてから始めるべきであり、いきなり封書で手紙をもらっては、家族が不振に思うのではないか」との意見を投稿した。そしたら、その意見が掲載されてしまい、雑誌が発行されるやたくさんのハガキが配達されたのである。当初は文通でやり取りしていたが、いつの間にか経ち消えになった。そんなこともきっかけになっているかもしれないが、手紙を書くことに関しては、決して厭わないので、今までも多くの皆さんにお手紙を差し出している。



愛用の万年筆と便箋。


今はパソコンで文章を打ち込み、手紙として出すことも多くなっている。しかし、手紙はやはり直筆で書きたいと思っている。ペンをもって書くうちにも、相手のことを心に示されながら書くわけで、パソコンであっという間に作成する手紙とは異なると思っている。そして、書いた手紙はどこかに出かけたついでに投函するのではなく、その手紙を投函するために、わざわざポストを目指して出かけるのである。郵便ポストは物語の担い手なのである。喜びの手紙、悲しみの手紙、苦しみの手紙、愛の手紙等、ポストの中にはさまざまな人間模様の物語がある。その物語を担ってくれるのが郵便ポストなのである。それぞれの物語をそのまま受け止め、そのまま相手に伝えてくれるのである。その場合、郵便ポストは、それぞれの物語をお祈りしてくれているのだろう。
今度は手紙を書いて、わざわざ鎌倉の赤丸郵便ポストに出しに行こうかな。



因みに、郵便局の 〒 のマークは、昔は郵政省を逓信省(ていしんしょう)と称していた。シンボルを決めるにあたり、最初の字「テ」をシンボル化したのである。手紙の「テ」かと思っていたのだが。




ポストに投函された郵便を集める郵便自動車。



思いの込められた手紙を届けてくれる郵便配達員さん。いつもありがとう。
金沢郵便局で、配達員が戻ってくるのをしばらく待っていたのである。