鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

スペイン滞在記 <58>

 

スペイン滞在記(2011年4月4日〜5月18日) <58>
2011年5月16日「最後の散歩」
 


今日は、かの有名なカタルーニャ音楽堂でコンサートが開かれる。それも日本の東北関東大震災救援のためのコンサートである。スペイン語のプログラムに「がんばれ日本」と日本語で書いてある。羊子のピアノ演奏、ヴァイオリンとチェロの演奏、ソプラノとテナーの独唱とデュエットという内容である。テナーの伴奏、デュエットの伴奏も羊子が担当した。
 午後8時から開催されるので、羊子は4時30分頃に出かけて行った。私達はRMさんに連れられて午後7時頃に出かけることにし、明日は早朝に起きて帰国するので、もはや街の散策は出来ない。それで最後の散歩に出かけたのである。RMさんが、最後になって何かあるといけないからと、一緒について行ってくれたのである。二度も悪者の被害にあったからである。また、悪者の被害に遭い、警察に行ったりしていたら、コンサートに間に合わなくなるとはRMさんのご配慮なのである。



「受難の門」側で



最後の見納めであるので



散歩はサグラダ・ファミリアの周りを見て歩くことである。もう何回も外周見学したのであるが、何度見ても飽きない。改めてガウディをはじめとする建築家の皆さんの労作をしみじみと鑑賞するのであった。バルセロナに来て最初にサグラダ・ファミリアの外周見学をしたのは、RMさんの案内であった。そして、最後の散歩もRMさんの案内なのである。4月4日に日本を発ち、7時間遅れのバルセロナには4日の午後11時過ぎに到着、羊子の家には0時頃に着き、遅い夕食を取り就寝したのである。目覚めたのは5日の午後2時頃である。12時間も寝ていたことになる。羊子は朝から仕事で出かけており、夕刻、RMさんに案内されてサグラダ・ファミリアの外周見学をしている。最初にRMさんに案内され、そして最後もまた一緒に散歩すること出来て感謝でいっぱいである。



「受難の門」側、裸のキリスト磔刑



「聖誕の門」側、ヨセフとマリア



サグラダ・ファミリア外周見学は、山田修平さんに案内されたことは4月21日に記している。山田さんはカタロニア州公認観光ガイドの資格を取得されており、プロのガイドさんに案内してもらったのである。山田さんは小さなスピーカーを携帯され、マイクを通して説明されるので2mくらい離れていてもよく聞き取れた。実際、人が多いのでスピーカーがないと聞き取れない。まず、毎日のように目の前にしているサグラダ・ファミリア、聖家族贖罪教会を一周しながら説明を受けた。羊子の家から真向かいに見えるのは「受難の門」である。その門の中心はキリストが裸にされての磔刑像である。最後の晩餐、ペトロが鶏の鳴く前に三度キリストを否認したこと、ユダがキリストに裏切りのキスをしたこと、ゴルゴダの丘に向かうキリスト、ピエタ等、受難の彫刻が次々にはめ込まれている。受難の門は西側になり、南側は「栄光の門」であるが、今は建設中である。そして、西側の反対側、東側は「聖誕の門」である。こちら側はキリストが聖誕する彫刻が次々に置かれている。ヨセフとマリアの間にいる幼子キリスト、受胎告知、三人の賢者たち、羊飼たち、マリアとエリサベト、12歳のキリストが学者に話している様、それらの上には天上の世界まで彫刻が飾られている。
サグラダ・ファミリアをそぞろ歩きで見て回った。しかし、コンサートに出かけるにはまだ時間がある。カフェーテラスでお茶を飲むことにした。これも日本では味わえないことであり、樹木の間に見えるサグラダ・ファミリアの見納めとしてコーヒーをすすったのであった。



樹間のサグラダ・ファミリアを見つつ



カフェーテラスでくつろぐ


このカフェーテラスは散歩等で通る道であり、くつろいでいる人々を横眼で見ながら通り過ぎていたのである。カフェーテラスで食事をしたり、飲み物を飲んだりしている風景は、まさに外国にいるんだなあと思う。店内で食事するよりカフェーテラスの方が割高のようである。昨日も羊子と星子と買い物に行き、カフェーテラスで濃縮オレンジジュースを飲んだことも忘れられない思い出である。濃縮オレンジジュースを注文したのであるが、なかなか注文したものが来ない。何やら機械をしまいこんであり、取り出して掃除してから作ったようである。このバルセロナではカフェーテラスでの食事はしなかったが、バルセロナに来てから三日後にフランスのパリに行った時、二日にわたって夕食をカフェーテラスでしたことは、楽しい思い出である。
スミさん、星子、RMさんとくつろいで歓談し、腰を上げて家に帰ることにした。衣服を整えて、これからカタルーニャ音楽堂に行くのである。