鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

スペイン滞在記 <55>

 

スペイン滞在記(2011年4月4日〜5月18日) <55>
2011年5月13日「忠告どおり」



 お隣りさんのロリーさんに家族一同がお茶に招かれ、楽しいひとときを過ごし、家に戻ったのは午後12時30分頃である。午後2時30分頃、スミさんと星子と三人で、帰国にあたりお土産の買い物に出かける。丁度、入れ違いに、羊子が16日にコンサートを開催するにあたり、テナー歌手の出演があるので、合わせに来た人と出会う。その人に挨拶をして買い物に出かける。皆さんにいっぱいお土産を持って帰りたいのであるが、飛行機の荷物制限があり、なるべく軽いものにせざるを得なかった。
 買い物から帰ったら、羊子はまだテナー歌手と合わせを行っていたので、星子と共に散歩に出る。その辺をちょっと回る程度のつもりである。一つのブロック、一区画を一回りして、大分家に近づいてきた。




交差点を渡ろうとすると、後ろから女の人が何やら声をかけてきた。そして、星子の髪の毛を指差している。見ると何やら青っぽいものがついている。一瞬、鳥の糞かと思った。その女性はティッシュで拭いてくれている。私も一緒に拭いたりしていると、男性が近づいてきて、私も背中に青っぽいものがついていると言うわけで、触ったりしていた。とにかく、家に帰って処理することにして、教えてくれた人たちに礼を述べて交差点を渡った。しばらく歩いて、この散歩でどのくらい歩いたのか、万歩計を出そうとした。ズボンのポケットに入れておいたのであるが見当たらない。もしかしたら先程の鳥の糞騒ぎで落としたのかも知れないと戻ったのである。もちろんそこには無かった。思わずズボンの後ろポケットに手を入れた。お金が無い。70ユーロをそのままポケットに入れていたのである。 
やられたと思った。携帯電話、お金、見事に掏られてしまう。いつもはショルダーバックを持って、大事なものは入れていたのであるが、すぐに帰るのでバッグを持たず、お金も携帯電話もポケットに入れていたのである。かねがね羊子やRMさんからポケットが一番危ないと注意されていたことが実現してしまった。スリは人ごみの中で行うという観念があり、あまり人通りの無い場所でもあったので、つい油断してしまった。要するに青っぽい鳥の糞のようなものは、彼らが液体のようなものをかけたのである。
 



家に帰ってスリにやられてしまったことを話すと、羊子はすぐに対策を講じた。まず、日本にいる百合子に連絡する。携帯電話はauであるので、そこに連絡して、全てをストップしてもらうことである。RMさんがいうには、友人が同じように携帯電話を盗まれ、内臓されているICカードにより悪用され、思わぬ請求書が舞い込んで来たというのである。携帯電話はともかく、内蔵されているICカード自体をストップしなければならないのである。日本は午後11時頃と思うが、百合子が緊急事態としてauに連絡し、ストップすることが出来た。この事態を警察に届けなければならない。保険をかけているので、警察の証明があれば保障してくれるからである。羊子は生徒のレッスンで行かれないので、RMさんが時間を都合してくれて一緒に行ってくれることになった。歩いて15分くらいの処にあった。
 入口を入るとロビーには男女が一組いる他は誰もいない。日本の警察署は狭い待合所に人が混みあっているという印象である。受付で用件を言い、しばらく待っていると警察官が我々を呼んだ。一室に案内され、被害状況や被害物件の説明を行う。私の両親の名前まで聞くので、思わず笑ってしまった。RMさんが全て通訳してくれて、本当に助かる。スリにあって届けに来る人が多いそうであるが、多くの場合、気がついたら無かったという状況なのである。我々のように犯人をある程度報告したので、珍しいとも言われる。羊子もバルセロナに来て間もなく携帯電話を盗まれたとか。しかし、それ以後は被害にあっていない。RMさんの場合は10年住んでいて、9回も被害にあっているという。羊子の場合、ピアノコンクールに出るためパリに行ったとき、バイクに乗っている二人組に、持っているバッグをひったくられようとした。しかし、羊子は離さなかったので、引きずられたがバイクはあきらめて逃走したとか。傷だらけでコンクールに出演したと述懐している。人の多い観光地は悪い人の生活の場であるようだ。
 くれぐれも注意するようにとの忠告が実現し、今日は暗い気持ちで夕食となった。