鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

スペイン滞在記 <52>

 

スペイン滞在記(2011年4月4日〜5月18日) <52>
2011年5月11日「4GATSでの晩餐会」
 


昨日は私の誕生会で皆さんと共に楽しい晩餐会となったが、今日も思い出深い晩餐会となった。羊子がバルセロナに住み始めた頃、ネウスさんの家で生活するようになった。そのことについては4月22日の日記に記している。その日、ネウスさんの家に家族が招待され、夕食としてパエリャをご馳走になったのである。昨日、ネウスさんから電話があり、私たちが帰国する前に、バルセロナにあるレストランに招待したいというのである。辞退することも出来ず、お受けしたのであった。午後10時に店の前で待ち合わせることにし、少し早めの8時30分頃に家を出る。レストランの近くにデパートがあり、土産として買いたいものがあったので寄ることにしたのである。星子も友だちにと言っていくつか買い求めていた。
 さて、約束の時間になり、レストランに行く。すると星子が、このレストランは来たことがあるといい、4月21日に山田修平さんに案内されて旧市街地を見学した時を思い出す。そのとき、このレストランに私たちを伴い、ここは歴史的にも由緒ある店であると紹介されたのである。飲食はしなかったが、店の中を見せていただいたのである。その由緒あるレストランで晩餐会をするとは、全くありがたいことである。日本的に言うなら、レストラン・バール「四匹の猫」である。「四」という数字は少ないと言う意味があるという。「言葉を四つしか言わない」、「友だちが四人しかいない」ということで、少ないことを意味すると言う。猫は、昔の時代に魔女狩りが行われ、猫は「魔女の生まれ変わり」ということで、猫を犠牲にする。そのため猫が居なくなった。だから「四匹の猫」と言えば、ほとんど客が入らない店になるのであるが、それが面白いと言うことで名づけられたということである。ピカソもここに来ては、作品を描き、それが今でも飾られているのである。
 



隣のテーブルはウルグアイの皆さん




壁に注目。記念の絵がいたるところに。



そのため、多くの人たちが来るので、予約しないと入れないということなのである。由緒あるレストランとして紹介されていた店で食事をするとは。店に入るとピアノの奏者が弾いていた。私たちを見ると、「さくら、さくら」を弾いてくれたりした。さすがに有名、高級レストランであり、お料理も美味しくいただくことが出来た。






私たちが食事をしていると、約15人の人たちが入ってきて、私たちの隣の席に着いた。いろいろと話しながら食べていた。私たちの食事が終わりになった頃、ネウスさんが、店の人に、羊子はピアニストであるから、このピアノで弾かせてもらいたいという。それで、羊子も弾く気になり、一曲、重い曲を弾き始めた。後から入ってきた人たちも、静かになって羊子のピアノに耳を傾けていた。迫力ある演奏に魅了された皆さんは、演奏が終わると拍手喝采になった。ぜひ、もう一曲と言うことで、やはり重い曲を弾く。皆さんは本物のピアニストから演奏を聴こうとは思っても見なかったことで、驚きと賞賛の言葉を羊子に与えるのであった。演奏後、その人たちと歓談する。後から入ってきた人たちは南米ウルグアイの人たちであった。それも官僚の皆さんのようである。ウルグアイに、ぜひ来てもらいたいと羊子に頼んでいる。「ちゃんとギャラを出すんだよ」とネウスさんが口を挟む。ウルグアイは元はスペインの植民地であった。ブラジルの下、アルゼンチンの横に位置する。2008年の人口は3,3661,000人であり、本当に小さい国である。落ちついた美しい国であるとか。そのうち、改めてウルグアイから正式に演奏会の要請があるかも知れない。



ウルグアイの皆さんと記念撮影


 一つの出会いを与えられて帰り路についた。間もなく午前1時になろうとしているが、旧市街はまだ人が多い。ここに着いたとき、花火がなり、広場では大騒ぎしていた。警察もあちらこちらで警備していた。サッカーのスペインリーグでバルセロナチームが優勝した瞬間なのである。相手チームとは1-1であったが、勝ち点で優勝したということである。この熱狂ぶりは野球の阪神ファンを思わせるが、それ以上の熱狂振りである。今夜は一晩中、優勝に酔い続けるのであろう。
 羊子は昨日の神父さんとお友だちの皆さん、今日のネウスさん、そしてカトリック教会の皆さんからかわいがられている。ありがたいことである。安心して帰国することになるだろう。