鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

スペイン滞在記 <50>

 
スペイン滞在記(2011年4月4日〜5月18日) <50>
2011年5月9日「マドリッドを後にする」
 


マドリッドは今日も良いお天気であった。午前7時30分頃に目覚めたが、朝日がさんさんと差し込んでいた。ブラインドを上げ、窓を開けると、さわやかな風が入ってくる。それと同時に車の音が聞こえてきた。高速道路は車の渋滞のようである。昨日も朝の高速道路を眺めたが、それほど車が走ってはいなかった。そう、昨日は日曜日であったからである。今日は月曜日、仕事が始まったのである。マドリッドはスペインの首都であり、車の乗り入れが激しいようである。東京の高速道路を思い出させる。こちらの高速道路はほとんどが無料である。しかし、州毎に異なり、バルセロナでは一部有料のところもあった。
 フェルナンドさんは既に仕事に出かけていた。日本の厚生省のような部署で働いており、公務員なのである。土曜日、日曜日はお休みで、土曜日のコンサートの主催者としてのお働き、日曜日の礼拝や市内見学等、私たちのためにご活躍くださったのである。私たちは、今日は午前11時から聖書研究会があるので、それが終わり、午後2時過ぎにはおいとまする予定である。そうするとフェルナンドさんにご挨拶もしないでお別れしてしまうことになる。そのことをヨシエさんにお話しすると、午後2時30分頃にはお帰りになると言うことであった。お帰りになってから、私たちの出発としたのである。
 午前11時から聖書研究会を始めた。80歳のヨシムラさんが出席された。ヨシムラさんは、昨日の礼拝における私の説教を深く受け止められ、お話がよくわかったというのである。今日もぜひお話を聞きたいということで出席された。このヨシムラさんとヨシエさんと我が家の4人、計6人で聖書の学びを行う。司会はヨシエさんが行う。聖書研究は旧約聖書創世記1〜3章を輪読しつつ、解説と奨励を交えてお話しした。ヨシムラさんは、アダムとエバが禁断の木の実を食べた時、何故蛇が誘惑したのか、それが興味があり、質問されていた。蛇は昔も今も気持ち悪い存在であり、聖書の記者がそういう存在を誘惑者にしたのであるとは私の解説である。レビ記において清い動物、汚れた動物の区別があるが、汚れた動物は人間として気持ち悪い、恐ろしい動物でもある。人間の素朴な思いが反映しているのである。
 

マドリッド日本語で聖書を読む会の聖書の勉強会


午後2時30分頃にフェルナンドさんが帰宅された。入れ替わりにヨシエさんがお仕事にお出かけになる。お世話になったご挨拶をする。出かける前に、二人はいつもお祈りするという。だからフェルナンドさんがヨシエさんのためにお祈りをささげていた。私たちもその祈りに加えていただき、お世話になった感謝を神様にささげたのであった。ヨシエさんが玄関を出て行くとき、目に涙を浮かべているのを知る。そして、私たちの出発である。フェルナンドさんがアトーチャ駅まで車で送ってくださった。列車は午後6時30分である。早めに出て駅のすぐそばにある美術館を見学することにした。アトーチャ駅の構内は植物園のようだ。
 

アトーチャ駅構内



レイナ王妃美術館




「レイナ王妃美術館」と日本語でも書いてあった。入館料は6ユーロである。車椅子を借りて見学をすることにした。ここでも荷物チェックがあり、バッグ等を赤外線で調べるのである。日本ではこういうチェックが無いので、それだけに美術品を守る姿勢がうかがえる。ここのメインはピカソの「ゲルニカ」(戦争もの)である。ピカソの時代、なんだか分からない絵を描くことが流行ったようで、ピカソのような絵を多く見ることになる。聖画、歴史物等も展示されているが、スペインの内戦を扱った絵や当時の新聞等も展示されていた。この美術館の中庭はとても美しい。そんなに広くは無いがくつろげる場である。午後6時頃まで見学し、帰りがけに売店で美術品にちなんだグッツを売っていたので寄ったりしていたので遅くなってしまった。結局、指定の6時30分には間に合わず、7時の列車にしたのである。
 こちらの新幹線でもある。マドリッドからバルセロナまで約3時間、ノンストップで行く。ブルゴスからマドリッドに向かう列車で車内サーヴィスがあったので、同じく期待したが、今回はサーヴィスは無かった。揺れも少なく、快適に乗ることが出来た。美術館見学で疲れもあり、1時間は寝たと思う。後は読書等をしているうちに終点のバルセロナに着いた。