鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

スペイン滞在記 <20>

スペイン滞在記(2011年4月4日〜5月18日) <20>
2011年4月19日「ダウン」
 

夜は1時頃には就寝したと思うが、明け方になって気持ちが悪くなり、急いでトイレに行き吐いてしまった。お腹の激痛があった。それからしばらくしてからも吐いてしまった。食あたりかもしれないと思った。羊子と同居しているRMさんも同じ表情であった。しかし、他の家族は何でもない。今日はバルセロナ日本語で聖書を読む会のSYさんが、聖地モンセラットを案内してくれる予定であった。私が具合悪くなったので、羊子が行かれない旨を伝える。SYさんは医療通訳をされておられ、このようなことに詳しい方である。それは食あたりではなく、ウィル性の風邪だと指摘して下さった。羊子がすぐに薬屋さんに行き、吐き気止めと痛み止めを買ってきた。とにかくそれを飲んで一日寝ていることになる。疲れが出てきたのだろうとは周囲の意見である。とにかく今日は休んでいることにした。旅たちにあたり、旅行の障害保険に入っており、もっと具合が悪くなるようであったら、病院にも行くつもりでいたが、そこまでは大丈夫のようである。もっとも、こちらの病院の経験もしておいてもよかったかな、と思ったのであるが。
 夜は知り合いの神父さん、羊子が出席しているカトリック教会の神父さんではなく、別の神父さんであるが、食事に招待してくれている。その神父さんのもとにはカルチャー的に何人かの皆さんが集まり、学んでいるそうだ。その皆さんと食事をすることになっていた。しかし、その招待にも私は行くことができない。朝からほとんど食べていない。羊子が作ってくれた「おかゆ」を少しばかり口にしただけである。招待には私を除いて家族が行くことにした。夜8時30分頃に出かけ12時頃に帰宅している。皆さんは私が行かれなかったことで残念がり、しかし家族をあたたかくもてなしてくれたということである。食事後は、スペイン人が羊子のピアノ伴奏で、カタルーニャ地方の歌を歌い、その後は羊子がピアノを独奏し、そしてスミさんと星子が日本の「さくらさくら」をピアノに合わせて歌ったとか。とにかく楽しいひと時を与えて下さり感謝している。こちらの人たちはとても温かい人たちが多いとは羊子の評価である。羊子が奉仕しているカトリック教会の皆さんも、本当に私たちを温かく迎えてくれている。先日、変な人に出会ってしまったが、市民は皆良い人たちなのである。何かを尋ねれば、一生懸命に答え、説明してくれるのである。カタルーニャ広場に行く途中、ゲートボールのような「ペタンカ」をしている人たちに、そのゲームは何かと羊子が聞くと、詳しく教えてくれるのも人間性なのであろう。
 


食事をいただきながら楽しく歓談



いろいろなご馳走が並べられて



こちらの薬の箱には点字が施してある。よく行き届いていると思う。バスに乗るときの踏み台でも感じたが、障害を持つ人のために、普通に取り組まれているのである。日本では車椅子の人が電車に乗るとき、駅員が板を持って行き、電車とホームに板を渡して車椅子が通れるようにしているが、わざわざ駅員が行かなくても自然に乗れるようにしたらよいのにと思う。日本においては障害者に対する取り組みをもっと課題にしなければならないのである。
 まさにダウンだと思った。はるばる日本からやってきて、眠る時間も時差があり、しばらく慣れるまで、よく眠られなかった。バルセロナに来てから、結構歩き回っているのである。歩くことと共に人疲れもある。昔、鎌倉八幡宮の初詣に行った。見物に行ったということである。そのとき、人の多さに驚いたが、こちらに来てルーブル美術館、パリの公園、バルセロナではカタルーニャ広場、ランブラス通り等、人の多さに驚いた。これほどの人の賑わいを見たことがない。もっとも日本にいるときでも、あまり人が多いところには出かけないのであるが。この人疲れもあるのである。それから楽しい人間関係であるが、挨拶は抱き合って頬ずり、キスをすること、これも疲れの一つに加えておこう。これらが重なってダウンしたのであろう。やはり年齢的なものもあろうと思っている。
 日本にいるときは、毎日1万歩を目標に歩いており、疲労などはなかった。1万歩は2時間くらい歩くことなので、そんなに歩いても大丈夫であった。気づかれが大きいのかも知れない。しかし、薬を飲んで横になっているうちに、うとうとであるがとてもよく眠ったようである。その眠りが疲れを癒してくれたようである。