鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

スペイン滞在記 <4>

スペイン滞在記(2011年4月4日〜5月18日) <4>
2011年4月6日 「ご用心、ご用心」
 
バルセロナ生活三日目になる。基本的な生活は午前8時か9時頃に起床、午後3時か4時頃に昼食、そして午後9時か10時頃に夕食になる。寝るのは午前1時か2時頃である。こういう生活習慣に合わせながら三日間を過ごしてきた。羊子は仕事やレッスン指導で毎日忙しく過ごしているが、私は何もすることがない。せいぜい日記を書くことである。羊子が日本語のパソコンを持っていたので、そのパソコンで日記を作っている。


           
           サグラダ・ファミリアの「聖誕の門」側


10時頃朝食をとり、11時30分頃になって一人で散歩に出かけた。日本にいるときは、一日一万歩を目指していたが、このところ歩くことが少ない。と言っても、まだ土地感覚がなく、サグラダ・ファミリアの周りを歩くくらいである。出かける時、羊子やRMさんから、くれぐれも貴重品は持たないようにと言われる。パスポートのコピー、羊子の住所と電話番号を書いた紙、財布には20ユーロ札3枚、そしてカメラを持って出かけることにした。観光地であり、スリや置き引き、詐欺が多く、油断していると持ち物を失うということであった。以前、聖地旅行をした際、ツアーの仲間がウエストポーチを取られてしまい、腰に巻いていたものがなくなっているので、その手際のよさに感心したものである。まあ、一応忠告のように用心しながら出かけたのである。
 

          


サグラダ・ファミリアは今日も大勢の人々が見学に来ていた。昨日歩いたように周囲を見て回り、これで帰ったらいくらも歩かない。それで羊子のマンションの区域を一周することにした。こちらの建物は切れ目がない。建物と建物がつながっている。異なるビルディングなのにくっついているのである。通りから通りまでつながっているのである。だから一周するにしてもかなり歩くことになるのである。そういう建物造りが珍しく、何枚か写真に収めた。観光地なので展望台付バスがはしっている。つまりバスの屋根はすべて展望席になっており、そのバスに乗れば市内の観光ができると言うわけである。それも珍しいので写真に収めた。
 

         


いろいろ珍しいものをカメラに収めていると、一人の男が声をかけてきた。地図を示しながら「サグラダ・ファミリア」と言っている。道順を聞いているのかなと思い、指差しで示した。なおも何かを言っているようであるが、分からないことを示して歩き出した。しかし、その男はついて来ている。角を曲がると二人の男に後ろから呼び止められた。道を尋ねた男もいる。つまりその男と私が話していたので仲間だと思い呼び止めたのである。そして、コカインと言っているので、持っているのか聞いているようだ。二人の男は刑事のようで、警察手帳なるものを示している。パスポートと言うのでコピーを提示した。道を尋ねた男の財布を出させ、匂いをかいでいる。私にも出せと言うので提示した。やはりあけて匂いをかいでいた。今度はカードがないかと言っているようだ。道を尋ねた男が持っているカードを示している。私にも出せと言っているが、持ってないことを示す。ポケットなど触っていたが、やがてなにやら言いつつ去っていった。いつの間にか道を尋ねた男もいなくなっていた。
 家に帰って羊子やRMさんに話すと、それが詐欺だと言うのである。刑事は偽者で、道を尋ねた男とは仲間であると言うことである。もし、カードを示すと、道を尋ねた男が、さっと横取りして逃げていく。それを刑事が追いかけていくと言う筋書きになるそうだ。写真を写しながらぶらぶらしていること、外国人であり、一番のかもであり、狙われたと言うことである。羊子が外に出る時は、お金は小銭程度、貴重品は持たないと言われたことが実現したわけである。私のような風貌は一番狙われやすいとも。
 こんなことがあったので、それからは本当に何も持たないで外出することにした。携帯電話はこちらでは使わないことにした。せいぜい万歩計機能だけを利用することにする。携帯電話は羊子のものを所持することにした。何かあればすぐに羊子に連絡できる。ここは観光地だから用心しなければならないのであり、バルセロナ市民は善良な人たちなのである。悪人はどこにもいる。ご用心はしなければならない。

       
        サグラダ・ファミリアの西側の公園