鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

オリブ工房の皆さん( 喜び、祈り、感謝しつつ )

 
 今日はオリブ工房の利用者の皆さんに対する講演会の講師として招かれました。社会福祉法人聖坂学園は知的障害者通所更生施設としてオリブ工房を開設しています。実は、昨年4月から9月まで、横浜本牧教会の代務者を担いましたが、教会は聖坂学園や聖坂養護学校と密接な関係を保っていました。そのため半年間に4回ですが、職員の皆さんと聖書の学びを致しました。オリブ工房は通所ですから、職員の聖書の学びの時間に行っても、利用者の皆さんは帰宅した後でしたので、皆さんと会う機会がありませんでした。聖坂養護学校も職員の聖書の学びの時には大方帰宅した後でした。それでも何人かの生徒がおり、挨拶を受けたことがありました。こちらの生徒さんが亡くなり、横浜本牧教会にて葬儀が行われ、司式を務めました。その時、養護学校の生徒の皆さんが列席しましたので、そこで触れ合いが与えられたのです。それ以外は養護学校の皆さんにしてもオリブ工房の利用者の皆さんにしても触れ合いがないことは残念に思っていたのです。大塚平安教会時代には関係する綾瀬ホームやさがみ野ホームの利用者の皆さんと礼拝をささげていましたので、オリブ工房におきましても聖坂養護学校にしても利用者や学生の皆さんと礼拝をささげたいものだと願っていました。しかし、その機会がなく残念に思っていましたら、オリブ工房が利用者に対する講演会を依頼して来ました。私は二つ返事でお受けしたのです。
 毎年、オリブ祭講演会を開催しているとのことです。今まで21年間も続けてきたとのことです。メインテーマは「冬の一番寒い日に心温まるお話を」と言うことで、「共に生きる」とか「心」等の演題にしてもらいたいとのことでした。そこで、今回の講演は、「みんなともだち」との題で、聖書はテサロニケの信徒への手紙<一>5章16-18節の言葉を示されました。「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい」との御言葉を元にしてお話したのでした。「冬の一番寒い日に心温まるお話を」の如く、今日は本当に寒い日で、明日は雪になるともの予報が出ているほどでした。利用者の皆さんは約60人、保護者の皆さんは約20人、職員の皆さんは約20人で、100人の皆さんが講演会に臨みました。皆さんは笑いながら聞いてくださいました。終わってから職員室にいると、利用者数人が色紙を持ってきて、サインを求められました。その色紙に「みんなともだち」と書いて上げました。一人の利用者は、自分の部屋は色紙がいっぱい飾ってあるということで、講演の度に書いてもらっているのでしょう。色紙が喜びであり、励ましになっているのでしょう。
 知的障害者の皆さんと出会うのは1979年9月に大塚平安教会に赴任してからです。それまでは出会いがないままに過ごしてきたのです。大塚平安教会に赴任した時、社会福祉法人知的障害者施設・綾瀬ホームやさがみ野ホームの礼拝を担当することは聞いてはいましたが、あまり深くは考えていませんでした。当時、綾瀬ホームは教会・牧師館から2分も歩けば行かれる場所でした。初めての礼拝の時、施設長から子供向けにお話ししてくださいと言われていました。と言われても、目の前にいる大人の皆さんに、子供向けのお話と言われても、お話しにくいものでした。しかし、次第に慣れてきて、利用者の皆さんの気持ちになってお話することができるようになって行きました。だいたいのお話の内容は用意しますが、その場になって、利用者の皆さんの雰囲気によって別のお話になることもあるのでした。最初は私語が多いようでしたが、全体的には聞いてくださるようになりました。礼拝を心待ちにしてくれる利用者もおり、都合で休みますと、次回の礼拝では一人一人から休んだ理由を問われるのでした。
 久しぶりに知的障害の皆さんとふれ合うことができてうれしく思いました。皆さん、一生懸命に生きているのです。祝福をお祈りしつつオリブ工房を後にしたのでした。
<聖書の言葉>
いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。
(テサロニケの信徒への手紙<一>5章16-18節)