鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

ナザレの村にて(聖地旅行 9)

1月4日はまずカナに向かった。ガリラヤから21キロ離れている。ここにはカナ婚礼教会がある。ヨハネによる福音書ではイエス様がここで最初の奇跡を行ったと報告している。婚礼に招かれたイエス様は、裏方がぶどう酒がなくなって困っていることを知る。そこで大きな水がめに水を満たすように言う。召使達がそのとおりにすると、その水はおいしいぶどう酒になっていたというお話しである。従って、教会の周辺のお店はどこもぶどう酒を売っていた。お土産に買う人も多い。お土産といえば、聖地のどこに行っても燭台を売っている。大きいもの、とても小さなミニチュアもある。これはよい土産になる。
カナの見学を終えてからはナザレへと向かった。ここにはマリアの受胎告知教会がある。かなり大きな教会である。中に入ると何かの儀式が行われていた。中の壁には世界から寄贈されたマリアさんの絵が掲げられてある。日本からのマリアさんは着物を着ていた。それぞれの国のマリアさんなのである。いろいろと鑑賞しているうちに、ふと気がつくとツアーの仲間がいない。どこを探してもいない。あわてた。もしかしたら見学が終えたのでバスにいったのかもしれない。そう思ってバスがとまっている場所を目指して歩いた。ところがどこで降りたのかわからなくなった。あまりあちらこちら歩くと余計迷子になってしまう。むしろ、元の場所にいたほうがよいと思った。それも戻れるかおぼつかない。しかし、どうやら受胎告知教会への道であることを知り目指した。教会は小高いところにあり、坂道を登っていく。すると教会の前でツアーの仲間が「のぶちゃーん」と叫んでいる。その声でほっとした。危なく迷子になるところであった。一行は受胎告知教会から聖ヨセフ教会に行ったのである。いろいろなマリアさんを鑑賞するあまり、移動には気がつかなかったのである。そのため、残念ながら聖ヨセフ教会には私だけが訪れなかったことになる。山ちゃんが私を「のぶちゃん」と呼ぶものだから、ツアーの仲間もそのように呼ぶようになった。最初、旅が始まった頃はビールなんか飲む二人の牧師を避けているようでもあったが、今では「山ちゃん」「のぶちゃん」と親しく呼んでくれるようになった。
さて、ナザレを後にして、今度はエズレル平原のメギドに向かう。これもヘロデが造った要塞である。いわゆるハルマゲドンの地である。ここでは何度も戦いが行われ、ヨハネ黙示録もここで天の軍勢と悪魔の軍が戦ったことを記している。
そして、その後はカイザリアに向かう。ここには円形劇場と水道橋の遺跡がある。この円形劇場で聖餐式を行った。旅行者の荒木氏がカナのぶどう酒とパンを用意してくれていた。一同は階段いすに座り、山ちゃんが司式をする。厳かな思いで聖餐式に預かった。
その後、カイザリアを散策した。例によって土産物店があり、その後はガイドに連れられて眺めのよい場所へと案内され、そしてバスに戻った。いざ出発というときに、バスには山ちゃんがいないことに気づく。今度は山ちゃんが迷子になってしまった。バスを降りて周辺を探したがいない。迷子になったときは元の場所にいることが鉄則である。先ほど土産物店でしばらく過ごしたので行ってみる。山ちゃんは、いささか緊張した顔で、みんながいなくなっちゃって、どうしようかと此処にいたんだと言う。ガイドに連れられて見晴らしの良いところにいったとき、山ちゃんは買い物中であり、気がついたらみんながいない。それであちらこちら探して歩いたが、迷子になったら元の場所の鉄則を思い出し、買い物の店に戻ったのである。今度は山ちゃんが迷子になったと言い、笑いあったのであった。
『ナザレの地のどかな場所と思いつつ雑踏の中を踏みしめて』
『マリア像受胎告知の教会でこれもマリアあれもマリア』
次の訪問地はテルアビブである。着いたときは夕闇が迫っていた。ラビン首相が暗殺されて間もない。その場所にはローソクが点り、花束がささげられていた。一同で黙祷した。
聖書の言葉
「イエスは、この最初のしるしをガリラヤのカナで行って、その栄光を現された。」(ヨハネによる福音書2章11節)