鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<378>

隠退牧師の徒然記(2015年2月11日〜)<378>
2015年10月2日「半島に響くコンサートを」


聖書の言葉
ヨハネからアジア州にある七つの教会へ。今おられ、かつておられ、やがて来られる方から、また、玉座の前におられる七つの霊から、更に、証人、誠実な方、死者の中から最初に復活した方、地上の王たちの支配者、イエス・キリストの恵みと平和があなたがたにあるように。
ヨハネの黙示録1章4-5節)


三崎教会は今年の11月22日の礼拝を伝道礼拝として企画している。その伝道礼拝の説教者として私がお招きをいただいていること、誠に感謝である。その伝道礼拝に続けて娘の羊子のコンサートが開かれることになっている。この事も誠に感謝である。娘の羊子は15年前にスペインに渡り、アリシア・デ・ラローチャ先生の御指導をいただき、今ではスペインでは名の知れたピアニストになっている。スペインばかりではなく、いくつかの国にも出かけては演奏している。昨年、10月にスペイン人と結婚したこともあり、今年の11月に約三週間の予定で一時帰国することになった。結婚した彼を日本に連れてくることが目的である。ところが三週間の日程は瞬く間に終わりそうである。一時帰国と言いながら、清水ヶ丘教会、大塚平安教会、北海道の北見望ヶ丘教会、京都の同志社女子大等でコンサートを開くことになっている。そういう日程の中で、三崎教会でも伝道礼拝に組み入れたコンサートの開催となったのである。一時帰国であるのに、こんなにあちらこちらでコンサートを開くのでは、何のために帰国するのやらと、親はぶつぶつ言っている。
三崎教でのコンサートは二回目となる。2013年11月10日にもコンサートを開催していただいている。この時は11月4日にドレーパー記念幼稚園のホールを会場に、シルバさん家族支援コンサートを開催したのである。だから今回、大塚平安教会としてコンサートを開催してくださるのは久しぶりということになる。大塚平安教会では2005年に開催しているので、10年ぶりということになる。その三崎教会でのコンサートは、皆さんも大勢お集まりくださり、喜ばれたひと時であった。午後2時からの開催であり、当日は天候もよろしくなく、始まる前にはかなりの量の風雨であった。コンサートの開会の頃は雨も止んでいた。そして、演奏が始まる。しばらく演奏を続けていたが、曲の合間に、演奏者の羊子が教会の役員さんのもとに行き、何かを告げているのである。やがて数人の人が聖壇に上がり、床を拭いたり、雑巾をあてがったりしているのである。雨漏りがしていたようだ。建物の造りと言うより、激しい風雨量であったので、隙間から吹き込んだのであろう。演奏中の羊子がそれを見つけて役員さんにお知らせしたのであった。大勢の聴衆は演奏者を見つめ、指さばきを見つめている。あるいは目を閉じて聴き入っていたので誰も雨漏りには気がつかなかったのである。一方、演奏者は聴衆に対して斜め前向きなので、時には正面を見つめながら演奏をしている。時々、聖壇の上に光るものが見えていた。それが雨漏りであると知るのである。それで曲の合間にお知らせしたのであった。演奏者が雨漏りを見つけたということで、演奏は素晴らしかったと言いつつ、それに加えて、演奏者が雨漏りを見つけたというエピソードとして残ったのであった。
三崎教会は新しい会堂が造られて、まだそれほど年月を経ていない。建物は確かなのであり、雨漏りの時は激しい風雨であったからなのである。生野先生は、この教会の建設にあたり、某教会を参考にしたと言われた。確かに趣きがなんとなく似ているようではあるが、某教会とは全く異なる教会として造られている。三崎教会は1953年に創立している。私が在任した大塚平安教会は1949年の創立である。歴史的にも始まりはそんなに変わらない。三崎教会は数年前に新しい教会を建てた。大塚平安教会は今年になって新会堂を建設している。だいたい同じような歴史を刻んでいることもあり、お招きをいただいて礼拝の御用をさせていただくことを喜んでいるのである。
この時、一つのお話しを思い出していた。日本基督教団の書記を担っていた頃、議長の山北宣久先生の聖ヶ丘教会の献堂式に出席する。その時、副議長の小林眞先生が祝辞を述べたのであるが、いつも思い出されるお話しであった。以前、小林先生の若いときであるが、ある教会の献堂式に出席していた。何の責任もないので二階席にいる。丁度、建築業者に感謝状を贈呈しているときであった。何か頭にあたるものがあるので、手を当ててみると、頭が濡れているのである。つまり雨漏りがしていたのである。時は、立派な建物を造ってくださったということで感謝状を贈呈しているときであったという。献堂式にこんなお話しをして申し訳ないと、小林先生は言いつつも、人間の成すことには万全はないと言われたようである。6月28日には大塚平安教会の献堂式に列席する。小林先生の言葉をかみしめながら献堂式に臨んだのである。
三崎教会でのコンサートは11月22日である。もはや台風シーズンでもなく、大雨もないであろう。三浦半島に響き渡る、祝福された演奏会となるようお祈りしている。



三崎教会の佇まい。



2013年の三崎教会でのコンサート。



2015年6月28日、新会堂の大塚平安教会。献堂式の日。


献堂式当日の礼拝説教を行う。