鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<38>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<38>
2014年12月8日「今度はお招きをいただき」



 バルセロナもかなり寒くなっている。さすがに街を歩く人々もノースリーブの人を見かけなくなっており、それなりに冬物を着ている。毎日ではないが、洗濯したものを干す役目を行うようにしている。11時頃に干したものは、10月の時期でも3時頃には乾いている。しかし、陽が出ていても気温が低いので、4時頃まで干してもまだ乾かない。それでまだ湿り気があるが家の中で干しておくのである。やはり寒い冬であることを感じる。
 今日はフルート奏者と羊子のピアノ演奏の合わせをするという。当初はフランチェスカさんとセヴェリンさんの二人のフルート奏者と順次合わせをする予定であった。しかし、フランチェスカさんは来られなくなったので、セヴェリンさんが12時30頃に来られたのである。合わせをしている間、自分の部屋で過ごしていた。ブログを書いたり、写真を整理したり。結構しなければならないことがある。また、課題としているドストエフスキーの「カラマゾフの兄弟」を読まなければならない。もう半分は読んだのであるが。できればバルセロナ滞在中に読みたいのである。この本は電子ブックで、iPadで読んでいるのである。
セヴェリンさんとは2012年に訪れたときにお会いしている。丁度その時もシッチェスと言う街に行き、声楽コンクールに出場する人のために羊子が伴奏をしたのである。9月の半ばであったと思う。その時は大勢の人が浜辺で過ごし、泳いでいることで驚いたのである。そして、帰宅するや演奏家の集いに出かける。いろいろな演奏をする人たちが、それぞれの分野で演奏をするのである。これは人々を集めての演奏ではなく、演奏家たちが励ましあう為でもある。その時、フルート奏者のセヴェリンさんも演奏されたのである。羊子のピアノ演奏、マルガさんの独唱もあった。演奏が終わると電気が消され、ケーキが入場してくる。連れ合いのスミさんとセヴェリンさんの誕生会をするというのである。二人とも9月生まれであるからだ。スミさん73歳、セヴェリンさん30歳である。それでローソクは730という数字になっている。二人の共通の数字である。二人とも突然の誕生祝で驚き感激していたようである。その後、親しくしているマルケスさんの誕生会にもセヴェリンさんのフルート演奏があった。そして、今回、羊子たちの結婚式、また披露宴でセヴェリンさんのフルート、サーシャさんのヴァイオリンの演奏をいただいたのである。羊子とセヴェリンさんの合わせが終わると昼食時間となり、一緒にいただくことになった。2年前に対して、セヴェリンさんは32歳になっていると思う。彼女も一生懸命日本語を覚えようとして、何かにつけ日本語の表現を真似るのであった。
 朝のうちに洗濯物を干しておいたが、やはりまだ湿り気がある。それを部屋の中に干し、今度は犬の散歩に出かける。散歩から帰り、電気ストーブが作動しなくなっているので、直すことにした。中を開けてみると断線であることが判明。繋ぐことによって再び暖かく作動するようになる。そしてその後、午後8時頃になってみんなで出掛けることになる。今夕はイグナシさんの叔母さん夫妻に夕食を招かれているのである。イグナシのお母さんはコンチータさんであるが、その妹のマリア・テレサさんの家である。車に乗ること20分くらいでおばさんの家に着く。お連れ合いはフランセスクさんと言い、以前15年間はカトリック教会の神父さんであった。いろいろな人に出あうが、結構、元神父さんに出あう。フランセスクさんは神父を辞めてからは学校の先生になったりしたが、神父さんを辞めないで、聖職に生きる人もいる。神父を辞めるということは結婚するからである。神父を辞めて一般の仕事をする人、しかし辞めても教会の仕事をする人もいる。神父を辞めたので聖礼典はできないが、ミサの仕事はできるそうだ。結婚してもカトリック教会の聖職者としての道が残されているのである。フランセスクさんは81歳にもなられているが、お元気にお過ごしである。叔母さんのマリア・テレサさんは気管支を損ねており、咳をしながらもてなしてくださった。キノコの美味しいスープ、アンコウという魚の料理、とても美味しかった。お料理がお上手である。昔、若い頃、保育園の給食係りを務めておられたと言われる。その保育園では先生がお休みすると、給食係りが先生の代わりを務めるのだという。子ども達は知らない人に保育されるより、顔見知りの人に面倒をみてもらいたいのである。マリア・テレサさんもしばしば先生の代役を務めたそうだ。日本のように免許がどうの、資格があるのとは言わない。お二人との楽しい晩餐会に羊子夫婦、我々夫婦は大変喜び、失礼したのであった。帰宅は12時近かった。マリア・テレサさんが気管支を損ねているので早めに失礼したのである。12時に失礼するのはまだ早いのである。
 ところで叔母さんの家で飼っている猫は恐ろしく獰猛であった。名前は「シー」というそうだ。日本語の数字の4を「シ」と言うが、四匹生まれた子猫の四番目ということである。早くから母親から引き離されて獰猛にったというのであるが。撫ぜてあげようと手を出すものなら引っ掻くか、噛みつくのである。それでも背中の後ろの方を叩くと、むしろ喜ぶのである。変な猫もいるものだ。この猫を見ると羊子の家にいる二匹の猫が、いかに人間に慣れているか、人間を頼りにしているか示されるのであった。どこの世界でもいろいろな生き方はあるものだ。



電気ストーブを直している。



お招きをいただいて。



イグナシさんの叔父さんと叔母さんと共に。



おいしいキノコスープをいただく。