鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<296>

隠退牧師の徒然記(2013年7月20日〜)<296>
2014年10月16日「共に生きるために」


聖書の言葉
わたしには、この囲いに入っていないほかの羊もいる。その羊をも導かなければならない。その羊もわたしの声を聞き分ける。こうして、羊は一人の羊飼いに導かれ、一つの群れになる。
ヨハネによる福音書10章16節)



 スコットランドがイギリスから独立するために投票が行われ、独立反対派が上回り、今まで通り、スコットランドはイギリスの一部として歩むことになった。そのニュースはなんとなく安堵した思いである。折角一つになって歩んできたのであるから、これからも共に生きることではないかと思うのである。エリサベツ女王も今まで通り、一緒に歩むことを提唱していた。中立であるべき存在であるが、一つなる姿こそ大切なのである。ところで、スコットランドと同じように独立を叫んでいる人々はスペインのカタルーニャ州の人々である。カタルーニャは独特な歴史、文化を担っているので、スペインと一緒にするのではなく、一個の存在として歩みたいのである。この独立運動は、もうかなり以前から行われている。
 2012年9月10日から11月6日まで、娘がスペイン・バルセロナでピアノの演奏活動を行っているので、連れ合いのスミさんと共に訪れ、滞在したのである。9月10日にバルセロナに着いたが、その翌日は9月11日であるが、その日はカタルーニャ独立運動を記念する日となっていた。スペインの首都はマドリッドであるが、カタルーニャ州の中心はバルセロナである。州都バルセロナカタルーニャ中の独立派の人々が集まったのである。150万人とも言われていた。10日にバルセロナについたばかりであるが、11日の夕食に知人のマルケスさんからご招待を受けていた。2011年に訪れたときにも、このマルケスさんと親しくお交わりをさせていただいたのである。「マルケス」と言うのは「伯爵」と言う意味であり、本名はホアキンさんである。しかし、皆さんは「マルケス」と呼んでいる。マルケスにふさわしい気品が漂っていることにもよる。この時のマルケスさんは81歳であり、今年は83歳になっている。お一人で生活されている。夕刻8時頃になって車でマルケスさんの家を目指す。車を走らせながらも、バルセロナ市内が異様な雰囲気になっているのである。カタルーニャ各地から大型バスを連ねてバルセロナにやってきているのである。独立の旗を持ち、あるいは旗を背中に羽織って歩いている。大きな公園広場に集結しているのである。当然、騒動にならないように警察官が物々しく警戒している。
 マルケスさんにご馳走になり、帰宅したのは午後12時近かった。その時間帯では独立集会は終了しており、あれほどたくさんの大型バスはいなくなっていた。ということは、そのバスで帰って行ったのである。しかし、カタルーニャ各地から来た人々は帰って行ったが、バルセロナ住民の独立派の人々は、まだ奇声を上げているようであった。バルセロナに住む人々も独立派、独立反対派の人々がいるのである。羊子の家に皆さんをお招きして晩さん会を開いた。皆さん、羊子を大事にしてくださり、親しくしているのである。約10名くらいであり、食事が終わって団欒している時にも、カタルーニャ独立の是非を巡っての白熱した論議になる。
 2014年10月14日のネットニュースによると、11月9日に予定していたカタルーニャ独立投票は見送ることになったと報じられていた。カタルーニャ自治州政府は10月13日に投票を見送ることにしたという。スペインの憲法裁判所は、住民投票に強く反対している中央政府の提訴を受理したため、憲法裁判所が判断を下すまでの間、住民投票は凍結されることになっていたのである。審理には数年を要するということである。カタルーニャの独立に対して、もちろん反対する人々もいる。10月12日には4万人の人々が独立反対のデモを行ったという。独立派、反対派、それぞれの人々がカタルーニャを愛し、バルセロナを愛しているのである。第三者である私達も、独立ではなく、今のままであって欲しいと思っている。バルセロナはスペインの歴史ある都市として受け止めている。歴史を担い、特にローマ時代を掻い潜ってきたのである。いくつにも分れないで、スペインと言う一国家であって欲しいと思っている。
 10月21日にバルセロナに赴き、二ヶ月半もいるので、11月9日を体験すると思っていた。しかし、それが無くなったので安堵している。カタルーニャの独特な文化を今後も学ぶ喜びを持っている。2012年9月11日にマルケスさんに夕食のご招待をいただいたこと、当日のカタルーニャ独立運動については、同日のブログ「受難の門を見つめつつ」の<2>で同じように記している。



2012年9月11日、マルケスさんに招かれ夕食をいただく。
この時のマルケスさんは81歳であった。



独立運動バルセロナに集結してたカタルーニャ州の人々。
テレビの報道を写真に収めておく。



星がついているのが独立の旗。