鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

スペイン滞在記 <31>

 

スペイン滞在記(2011年4月4日〜5月18日) <31>
2011年4月25日「日本人ツアー」
 

一昨日より再び犬たちがやってきている。朝、目覚めるとリビングに誰かがおしっこをしてしまったようである。それで朝起きぬけに犬たちの散歩に連れて行くと羊子が言うので、私も一緒についていった。まだ午前9時前である。昨日の午後6時頃には星子と共に4匹の犬たちの散歩に出た。羊子が住んでいるマンションのすぐ前が公園であり、そしてサグラダ・ファミリアがある。こちらではほとんどの公園にはドッグランドがある。人々が犬を連れてきては遊ばせている。日本において公園にドックランドがあることを聞いたことが無い。ドックランドは公園ではなく、有料で造られているのである。昨日、公園に犬たちを連れて行くと、他にも結構遊びに来ていた。大きい犬、小さい犬等、互いに匂いを嗅ぎながら、じゃれあったりしている。めったに喧嘩はしない。いつも来ているので、もはや友達にもなっているからである。



夜の犬たちの散歩。西側の「受難の門」。
ライトアップのサグラダ・ファミリア



 今日はまだ午前9時前なので、他には来ていなかった。しかし、遊んでいるうちに大形犬がやってきて遊んでいた。公園はサグラダ・ファミリアの東側、つまり「聖誕の門」側にもあり、そこまで足を伸ばすことにした。例によって、見学者がチケットを買うために行列を作っている。ほとんど外国からやってきたツアーである。東側の公園には大きな池もあり、池越しに見る教会の景観も良い。しばらく犬たちを遊ばせているとツアーの皆さんがぞろぞろとやってきた。日本語が聞こえてくる。日本人のツアーである。添乗員が池越しに教会が見える場所を案内しているのである。ツアーの皆さんはいっせいにカメラを教会に向けていた。添乗員が皆さん一人一人の写真を教会背景に写してあげていた。ツアーの皆さんも私たちを見ていたが、話しかけない。東洋人はみな同じような顔をしているからである。こちらでは午前9時は、日本で言えば午前7時頃であろう。朝早くからツアーで、駆け足をしながら見学していくのである。ご苦労さまである。これからバルセロナにある観光スポットを回るのであろう。スペインを観光するだけでも一週間やそこいらでは見切れないのに、スペインと他の国まで出かけるツアーもある。ゆっくり鑑賞する間もなく、駆け足で見てまわるのである。それでもサグラダ・ファミリアは行ったということになり、写真を見ては楽しく思い出すのである。



こちらは東側の「聖誕の門」。朝日を受けて映えるサグラダ・ファミリア




日本人のツアーの皆さん



 かく言う私も聖地旅行はツアーであった。10日間の旅である。まずエジプトからシナイ半島をバスで駆け抜ける。何時間もバスに乗ったと思う。ようやくシナイ山麓に着いた時は夕刻であった。食事をしてすぐに寝なければならなかった。午前2時には起床してシナイ山を登った。最初は駱駝に乗って登ったが、最後は胸突き八丁を歩いて登ったのである。山頂に着いた時はまだ暗かった。やがて東の空が赤くなり、日の出である。いわば日の出を見るために夜登るのである。その後は再びバスに乗り、イスラエルに入る。私たちの旅はエルサレムからナザレに向かうコースであったので、キリストの歩みの逆コースということになる。キリストの受難の道を辿る。その後はベツレヘムへと向かい、そして、マサダの砦、死海ヨルダン川を経て緑と花のガリラヤである。山上の説教の場所、イエス様が聖書を読まれたシナゴク等を見学。それからマリア教会、ナザレ、カイザリア、テルアビブ、再びエジプトに行く。ピラミットや博物館、幼子イエス様が過ごした家などを見学し帰路に着いた。ツアーの場合、添乗員が頼みの綱で、いつも添乗員を視野に入れていなければならない。ガリラヤ湖では、夜になってダイヤモンドを加工するところに行った。陳列品などを見ていると、誰かが大声で泣いている。同じツアーの女性である。ふと見回すとツアーの仲間が見えないので、迷子になったと思って泣き出してしまったのである。私自身も迷子になった。マリア教会を見学している時、いつの間にかツアーの仲間がいなくなってしまった。慌ててバスに向かったが、どこを歩いてもバスに行き着かない。それで、とにかく元の場所、マリア教会に戻ることにした。それすら分からなくなるところであった。マリア教会の前ではツアーの仲間が心配して待っており、遠くに私を見つけると大声で「のぶちゃーん」と呼んでくれている。あの時の迷子の思いが忘れられない。
 ツアーの皆さんを見ながら旅の無事をお祈りしたわけである。