鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<406>

隠退牧師の徒然記(2016年3月1日〜)<406>
2016年4月7日「源平桃の花が咲くころ」



聖書の言葉
荒れ野よ、荒れ地よ、喜び踊れ。砂漠よ、喜び、花を咲かせよ。野ばらの花を一面に咲かせよ。花を咲かせ、大いに喜んで、声をあげよ。砂漠はレバノンの栄光を与えられ、カルメルとシャロンの輝きに飾られる。人々は主の栄光と我らの神の輝きを見る。
イザヤ書35章1-2節)



4月ともなれば、やはり春爛漫であり、自ずと顔もほほえんでいる。今は桃や桜が満開であり、木の上ばかりではなく大地には色とりどりの花が競って咲いている。そして、お花見も盛んになっている。今年は桜の開花後は寒さが続き、いわゆる花冷えが続いた。それが幸いとなって、学校や会社が始まる頃に満開になったのである。入学式、入社式には満開の桜が新しい門出を祝福しているようであった。
今年もまた我が家の源平桃の花が咲く時期となった。今は満開で、同じ木から赤と白の花がきれいに咲いている。今年はいつもより花の咲くのが遅かったようである。昨年の3月31日頃はかなり咲いていたが、今年はまだ五分咲きであった。しかし、今は満開で、もう花びらがそろそろ落ちている。我が家の庭は、それほど広くはないが、連れ合いのスミさんがいろいろな花を植えているので、季節ごとに花の鑑賞が楽しみである。そういう中で3月下旬から4月の上旬にかけて咲く源平桃の花は、待ち焦がれていたのである。この花の謂れについては、このブログでも折に触れて記しているが、再度記しておこう。
もともと源平桃は父が育てていたのである。今は住宅になっているが、昔は里山の中腹に、父は畑を作っていた。誰も手をつけないので、父が畑に開墾したのである。その畑からいろいろな野菜が採れていた。終戦後、食べる物があまりなく、畑から取れるサツマイモやカボチャは我が家の食料にもなっていたのである。麦まで刈り入れることもあった。麦の脱穀も記憶の中にあるのである。友達が遊びに来た時には、父の畑に連れて行き、トマトを一緒に食べたこともある。その畑の一角に源平桃の木が植えられていた。家から離れている畑でもあり、きれいに咲いている源平桃の花を遠くから眺めていたものである。父はその源平桃から苗を作り、知り合いに差し上げていたようである。そのため、近辺の家には源平桃の花が咲いているのを見るのである。この源平桃は父が差し上げたものですか、なんて聞くわけにはいかないので、父を思いながら鑑賞するのであった。その源平桃はいつの間にか我が家の庭にも植えられており、今の時期を喜んでいるのである。父は4月9日に亡くなり、葬儀は自宅で行ったので、出棺の時には、棺の上に源平桃の花を置いたものである。
知人がお訪ね下さるというので、できれば源平桃の咲いている時にしている。今回も来られるというので、3月31日にお出でいただくことにする。しかし、都合で日程が早まり、3月29日になったのである。なるべく源平桃が咲いている日にしたのであるが、二日早いだけで、まだ三分咲きであった。それでも源平桃の木の下で記念写真を写したのであった。源平桃の咲くころは、何かと記念撮影をしている。
スペイン・バルセロナにいる娘の羊子が、いくつかを作曲しているが、「源平桃」と題した作品がある。日本曲を集めたCDに収められている。羊子が「源平桃」と題して作曲したとき、自ずと我が家の源平桃の花を連想しながら作曲したのであろう。しかし、歴史を辿れば、日本では源平の戦いがあり、二つに分かれては戦いが繰り返されているのである。源氏側が白い旗で、平家側は赤い旗である。赤と白が分かれて戦ったことから、運動会の鉢巻きは赤と白にわかれて競うようになったようである。戦いと言えば、それは世界の歴史を紐解けば、戦いの歴史が続いており、悲しいことには今でも続いているのである。赤と白、どちらかが消えて行くのであるが、赤と白が共存すること、これは人類の願いであり、希望なのだ。それを示しているのが「源平桃」ではないだろうか。同じ木から赤と白の花が仲良く咲いている様は、まさに「平和」を示しているのである。まさに「平和の花」と言うべきか。羊子が源平桃を示されながら作曲したとき、羊子は「平和の花」を表現したのであった。この様な謂れを示しながら、羊子の作曲した「源平桃」を世界に発信したいと願っている。旧約聖書において「平和」は「シャローム」と言う言葉である。人々はお互いに「シャローム」と言って挨拶を行う。「あなたに平和がありますように」と祝福をお祈りするのである。その意味で、私は源平桃を、別名「シャローム」と称している。源平桃の花を見つめながら、平和への祈りが導かれるということである。



3月27日撮影。ようやく咲き始める。



3月30日撮影



4月3日撮影



4月6日撮影