隠退牧師の徒然記＜３８２＞ - 鈴木伸治の徒然記

隠退牧師の徒然記（2015年2月11日〜）＜３８２＞
2015年10月31日「いくつかの原点 4」

聖書の言葉
信者たちは皆一つになって、すべての物を共有にし、財産や持ち物を売り、おのおのの必要に応じて、皆がそれを分け合った。そして、毎日ひたすら心を一つにして神殿に参り、家ごとに集まってパンを裂き、喜びと真心をもって一緒に食事をし、神を賛美していたので、民衆全体から行為を寄せられた。
（使徒言行録2章44-47節）

スペイン・バルセロナでピアノの演奏活動をしている娘の羊子が、10月30日に昨年結婚した彼と共に一時帰国した。今回は彼に日本を紹介するためであるが、結局あちらこちらでピアノのコンサートが開かれることになる。11月25日はバルセロナに戻るのであるが、滞在中に家族が集まり、あるいは知人が来宅される。そうなると今までの食卓テーブルでは小さい。それで綾瀬時代に使用していたテーブルを出すことにする。
綾瀬時代に使用していた食卓テーブルは、私達が結婚したときに購入したものである。何かとお客さんがあるだろうからと、広げれば大きくなる折りたたみのテーブルにしたのである。結婚当初は芝白金で間借り生活であった。その時代は大勢のお客さんを迎えるということはなかった。間借りを二年半くらいして公団住宅に入ることになる。大田区の六郷土手際に13階建ての高層住宅の三階であった。その時代も教会学校の先生たちが10名くらいは来てくれたのであるが、食卓テーブルを使わず、日本式の低いテーブルで食事をしていただいたのである。そして、宮城の教会の牧師に就任し、牧師館に住むようになるが、食卓テーブルを大きくして使用したことはない。未使用は綾瀬時代も同じである。綾瀬時代30年間、食卓テーブルを大きく広げて使用するほどの食堂の間でなかった。従って、教会の青年たちと食事をする場合には集会室で食事をしていたのである。大塚平安教会に就任した頃は青年たちも多く、また神学生も数人いた。土曜日になると、青年達、神学生たちが日曜日の準備に集まるのである。そして夕食は集会室で、みんなで賑やかに食べるのであった。
こうして大塚平安教会を終えたとき、結婚後40年を経ている。しかし、大勢の皆さんと共に食事をするとの目的で購入したテーブルは、一度も大きくしては使用しなかったのである。そして、六浦の自宅に転居する。六浦の自宅は両親か使っていた食卓テーブルがある。だから、今まで使用していたテーブルは物置に納めていたのである。それが今になって使うことになる。羊子夫婦が一時帰国している間、我が家の子供たちも集まり、一緒に食事をするとなると、少なくとも7名になる。また、大塚平安教会時代の友人の皆さんが4名来られると8名にもなる。一般的な食卓テーブルは4名が定員である。そこで、初めて出番となるのである、私達が結婚したときに、大勢の皆さんと共に食事ができるテーブルが…。このテーブルであれば10名の皆さんが一緒に食事ができるのである。
早速、物置からあのテーブルを出したのであった。使わなくなってから5年を経ている。改めてテーブルを見たとき、あちらこちらの傷みが見られるのである。まず、テーブルの足の塗装が剥げ落ちている。テーブルそのものも剥げている部分がある。そこで、ペンキを塗っては補修をする。そして、組み立ててみると、問題なく使えそうなのだ。ダイニングはそんなに広くはないが、テーブルを最大に広げても、みんなが座ることができるのである。テーブルの面はかなり汚れてはいるが、テーブルクロスをかければ十分使えることになる。30日に羊子たちが来る前に調整して使用している。31日の夕食は子供たちも集まり、歓迎会を開くのであるが、初めて最大に広げたテーブルを用いることになった。
六浦の家に住むようになってから、クリスマスには10名を超える皆さんが来られた。その時はリビングで食事をしている。このように大勢集まるのは一年に一回程度なので、昔使っていた、広げれば大きくなるテーブルは使わなかったのである。しかし、今回は羊子たちが一ヶ月滞在するうちにも、子供たち、友人たちが集まっての食事が多いので、ここは何としても、あの大きくなるテーブルの出番だと思ったのである。皆さんが来られて、一緒に食事をする、これは私達が結婚したときからの方針であった。そのために購入したテーブルの出番はなかったが、それでも多くの皆さんが共に食事をされている。そして、本来の目的のテーブル、私達の方針の原点であるテーブルの出番となったのである。この原点のテーブルはこのまま使うことにしている。大勢の皆さんをお招きしては、親しくお交わりをしながらの食事をしたいものである。

久しぶりに出した原点としての食卓。