鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<343>

隠退牧師の徒然記(2015年2月11日〜)<343>
2015年6月19日「神様のお名前が置かれるところ」


聖書の言葉
わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる。陰府の力もこれに対抗できない。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。
(マタイによる福音書16章18-19節)


前任の大塚平安教会が2014から2015年にかけて新会堂を建設し、いよいよ完成したので、2015年5月24日のペンテコステより新会堂で礼拝をささげているという。6月28日に献堂式が行われることになっている。今までの会堂が無くなり、新しい会堂があたえられて歩みだした大塚平安教会をお祈りしている。それと共に長年今までの教会と共に歩んだ者として、思いを残しておくことは必要なことであろう。
長年、祈りつつ取り組んできた新しい会堂が与えられ、その喜びはひとしおであろう。結局、30年間6ヶ月の私の牧会は新しい会堂があたえられることを祈りつつ務めたのであると思う。1979年9月に赴任したとき、大塚平安教会は1968年6月に新会堂が建設されており、それは今までの会堂であるが、まだ10年しか経ていなかったのである。まだ新会堂であったが、赴任して数年を経るうちにも、新しい会堂建築が話題となっていたのである。それは1968年に新会堂が建設されたのであるが、どこかの解体建物の材料を用いたとも言われている。1984年に「大塚平安教会創立35周年記念誌」を発行しているが、1968年の新会堂建設については誰も触れていないのである。私が就任して5年後の発行なので、私自身も良く分らないままに記念誌をまとめたのであった。教会の建物については、人づてに聞いていることが古建材を利用しての建築であった。それを知っている皆さんは、はっきりと68年教会を言及しないままに新しい会堂を提唱するようになっていったのである。早く新しい材料を用いた会堂を建てたいとの思いは、私が就任する前からあったということである。
1989年は教会創立40年である。そのため、数年前から創立40周年事業をどのようにするか、検討を開始したのである。役員会は牧師に予備的調査をすることを一任する。就任して10年になろうとしていた。当時の桂土地測量店を今は天に在る、当時県会議員であった教会員の佐竹正道さんと事務所に行っては話し合っている。また、近くにある建築設計士さんの意見を聞いたりしている。土地が複雑なことは、重々示されていた。まして、道路計画路線内にあるので、建築は制約されることも、すべて示されていたのである。40周年事業のために、今から計画するのでは遅いことを示されるのである。そこで、新会堂建設はいずれの課題とし、今は現建物を改修することにしたのである。それが大塚平安教会創立40周年事業であったのである。1989年の改修教会は、いろいろな不便を解消したので、教会活動ものびのびと行うことができるようになった。改修の教会は、人々にインパクトを与えたようである。蒔田教会牧師の今橋朗先生は、「大塚平安教会の聖壇は大工さんが梯子段を忘れて行った」と言いふらすのである。他には例を見ないデザインであったので、今橋先生のお心に残ったようである。このデザインを私の退任記念として発行された説教集の表紙とする。そして、新会堂建築と共に、そのデザインは幻の聖壇になったのであった。幻のデザインになった聖壇であるが、もう一度使いたいと思っている。それは私の葬儀の時、列席された方への記念として、幻の聖壇をプリントした「図書カード」を差し上げてもらいたいと思っている。遺言に残しておこう。そのXデーがあまりにも先が長くて、誰も幻の聖壇の意味を知る人がいなかったりして…。
ところで、大塚平安教会の新会堂で、湘北地区17の教会の多くが新しくなっている。相模原教会、翠ヶ丘教会、つきみ野教会、高座渋谷教会、大和教会、厚木上教会、秦野教会等である。伊勢原教会は歴史的な建物なので建て替えはできない。海老名教会、相武台教会、橋本教会等は改修したと聞いている。それぞれの教会の建築準備物語を感銘深く聞いている。新しい教会のために寸暇惜しまず、時をささげてきたのである。いつも今までの写真を見ているが、大塚平安教会もご多分に漏れず、皆さんが祈りつつ取り組んできたのであった。その辺りを書き残しておこう。
新会堂を与えられて喜びがひとしおであるが、何が喜びなのか。そもそも教会とは何であるか。もちろん皆さんはその意味を示されて新会堂を与えられて喜んでいるのである。ソロモンが父ダビデの成しえなかった神殿を建設したとき、ソロモンは次のようにお祈りしている。「わが神、主よ、ただ僕の祈りと願いを顧みてください。夜も昼もこの神殿に、この所に御目を注いでください。ここはあなたが、『わたしの名をとどめる』と仰せになった所です。この所に向かって僕がささげる祈りを聞き届けてください」(列王記上8章27節以下)。
この神殿に神様がお住まいになっているのではなく、神様のお名前を置いてくださっているのである。神様のお名前が置かれている教会に集められ、喜びが導かれるのである。その喜びが新会堂の喜びなのである。…はい、今日も説教でした。




1968年に建設された前教会。
記念誌からのコピーで映像が良くない。



その後の大塚平安教会。



教会内部、聖壇付近。



改修前の教会内部。聖壇の左右に小部屋があった。