鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<63>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<63>
2015年1月7日「帰国のフライト」(完)



 いよいよ帰国である。昨日も帰りの荷物をまとめておいたが、再び内容チェックをする。旅行かばんは黄色い帯でしめる。黄色い帯は目立つので、飛行機を降りて荷物を受け取るとき便利である。バルセロナに来るときは車椅子を依頼するので、担当者が一緒に荷物を捜してくれる。もっとも日本の空港であるが、かばんには黄色い帯が締められているというと、そのかばんが出てくるとすぐに引き取ってくれるのである。フライトは午後1時30分であるので、午前10時30分頃に羊子の家を出たのである。出発にあたり、各部屋を写真に収めておいた。台所、居間、食堂、洗濯機、洗面所等、懐かしい思い出があり、写真を見てはバルセロナ生活を懐かしむつもりである。エレベーターの出入り口も写真に収めておいた。このエレベーターはかなり昔のもので、結構故障が絶えない。エレベーターに乗っている時にも、途中で停まってしまい、何とか工夫して脱出したが、一人で乗っている時にも、いつ止まってしまうか心配でもあった。各階のエレベーターのドアーをしっかり閉めないとエレベーターが動かないのである。その場合には階段を利用して各階のエレベーターのドアーを点検するのである。羊子の家は7階であり、エレベーターが止まってしまうと、階段を上るのは大変である。このマンションは高齢者も多く、7階でなくても、2階3階で停まってしまうと高齢者には応えるのであった。しかし、これも懐かしい思い出になるだろう。4人乗りなので、スミさんと私、それに羊子が乗り、旅行かばんを入れるといっぱいであり、イグナシさんは階段を降りていく。マンションの入り口で記念写真を写す。これもバルセロナに来るたびに写しているので、あまり記念にならない。それでサグラダ・ファミリアを背に写したのであるが、天候の状況で良い写真にはならなかった。
 2014年10月21日から2015年1月7日の二ヶ月半の滞在は今までの滞在でもっとも長くなっている。今回も滞在記録を残しているが、ざっと振り返っておこう。今回の目的は何と言っても羊子の結婚式である。10月25日にサグラダ・ファミリアの礼拝堂で式を行う。そこの神父さんが、羊子の父親がプロテスタント教会の牧師であることを知り、一緒に司式をすることを提案してくれたのである。翌日のミサではその神父さんは祝祷を私に求められる。何とも懐の広さに感銘を覚える。そして12月25日は羊子と親しくしているホセ・ルイス神父さんのカトリック教会のクリスマス・ミサに出席したとき、ホセ・ルイス神父さんが一緒にミサを司るよう求められたのである。牧師としてミサを司る、前代未聞のことである。ミサには羊子が奏楽しているパロキアのカトリック教会にもむ数回出席している。カトリック教会の学ぶべき取り組みを示されたのであった。
 滞在中、羊子が各地のピアノ・リサイタルで演奏したので、我々夫婦もその都度会場に行ったのであった。11月2日はモンジェルッサで開かれたリサイタル、11月6日はアカデミアが主催するアリシア・デ・ラローチャ先生の召天5周年記念でリサイタル、11月14日はサンタコロマでリサイタル、11月19日は医師会館で演奏、11月23日はシッチェスで演奏、11月28日にはサンタコロマで詩を読む会で演奏している。12月9日は青少年オーケストラと共演している。こうしていろいろなところで演奏し、多くの人との出会いが与えられたが、何と言って食事の交わりが多い。お招きをいただき、またお招きしてのお交わりであった。10月23日は羊子の結婚式に列席されるために日本から来られた皆さんと羊子の家で晩餐会、そして25日の羊子の結婚式お祝いの会、10月28日はイグナシ家の皆さんとの晩餐会を羊子の家で、11日6日はアカデミアのリサイタル後、ホアキンさん達と日本料理店UKAIで、11月11日は羊子のピアノのお弟子さんがレストランに招待してくださる、11月14日はサンタコロマのリサイタル後、ホセ・ルイス神父さんのお宅で会食、12月2日は天皇誕生日祝会で総領事館官邸で、12月9日はイグナシさんの叔母さん夫婦に招かれて、12月23日はネウスさんに羊子の誕生日祝いとしてレストランで、その夜は羊子の誕生日祝いとして皆さんを自宅にお招きする。12月31日はホアキンさんに招かれ、2014年最後の食事、2015年1月3日はマドリッド日本語で聖書を読む会の皆さんと昼食、1月4日はコンチータさんの家で食事をいただく。まだほかにもあるが割愛しておく。
 六浦谷間の集会バルセロナ礼拝を毎週羊子の家でささげられたことは感謝であった。バルセロナ日本語で聖書を読む会が11月20日と1月6日に開かれ、礼拝説教を奉仕させていただいている。その他のことを書くとしたら枚挙にいとまがないほどである。この二ヶ月半の滞在は多くの人との出会い、思いもかけない経験等、お恵み多い期間であった。いずれも羊子に関わることなので、羊子には心から感謝している。
 フライトは7日の午後1時30分である。搭乗手続きが終わり、搭乗口に向かうときいつまでも羊子とイグナシさんが手を振って見送ってくれたことが目に焼き付いている。そして1月8日、午後1時頃、羽田空港に着く。優と弥生さんが迎えに来ており、自宅へと向かったのであった。
 この日をもってバルセロナ滞在記を終了する。



いよいよ帰国。羊子のマンションの玄関前で。



サグラダ・ファミリアを背景に写したが、樹木に遮られる。



羊子とイグナシさんが見送りに来てくれる。
空港で、搭乗口に向かう。



今回はサグラダ・ファミリア「聖誕の門」をテーマとしている。
滞在がクリスマスにかかったこともある。