鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<61>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<61>
2015年1月5日「思い出を詰め込みながら」



 もはや1月5日となり、明日の6日を過ごせば7日は帰国の途に着く。帰国の準備を始めているところである。ところで昨日の4日の日曜日、旅行中であり六浦谷間の集会の礼拝ができなかった。それでこの日の5日に行う。バルセロナ礼拝はこれで終わりになるので聖餐式を執行する。新年礼拝であり、「委ねつつ歩む」と題して御言葉を取り次ぐ。聖書はサムエル記上1章21節から28節で、ハンナさんが愛する子供サムエルを神様におささげしたことが記されている。新約聖書ルカによる福音書で2章21節から40節であり、こちらもヨセフさんとマリアさんが我が子を神様にささげることが記されている。二つの聖書から、それぞれ神様にささげられたが、主イエス・キリストは人間をお救いになるために十字架にお架りになり、自らを神様にささげられたのである。その救い主キリストに委ねて歩むことが示されたのである。こうして滞在中バルセロナ礼拝が導かれたことを感謝している。この礼拝は羊子が強く要望してささげていたのである。
 礼拝後、昼食にはまだ時間があるので、パソコンの仕事をしていた。羊子が呼ぶので居間に行ってみる。テレビでレージェスのお祭りを放映しているところであった。レージェスとは王様のことである。1月6日が顕現祭であり、聖書によれば東の国から占星術の学者たちが世に現れたイエス様にお会いした日とされている。占星術の学者なのであるが、スペインでは王様になっている。東の国の王様たちがイエス様にお会いしたのである。テレビ画面の王様は、立派な衣装を着て、それも三人であり、一人は黒人である。必ず一人は黒人でなければならないと言われる。王様を中心にして取り巻きの人たちが子供たち、人々にお菓子を蒔いているのである。広場は大変な人々で、先日の年末年始のぶどうを食べる広場と同じようである。だから、近くに行って見るのは危険であるとも言うのである。テレビ画面で見るだけでも十分である。以前、日本にいるとき、羊子からレージェスのことを聞いて、スペインの顕現祭はこの様に行われると説教でお話ししたものである。見たこともなく、羊子から聞いただけであったが。これからはテレビ画面で見たのであるが、自信を持って顕現祭のことをお話しできるであろう。
 夜になってお隣のロリーさんがぜひお出でいただきたいということであった。我々としても帰国前に挨拶をするつもりでいたので、お宅に伺う。ロリーさんは先日12月28日に玄関付近で転倒し、顔面打撲の傷を負ったのである。打撲ですみ、頭も体も悪いところはなく、顔面打撲の回復を待ちつつ過ごされている。伺うと顔面の傷も大分良くなっているようである。ロリーさんが呼んでくださったのは、ロリーさんは器用な方で、いろいろなものを作られているので、ご自分で作られた作品をスミさんにくださるためである。折角おつくりになったのに、いただくのは申し訳ないのであるが、スミさんの喜びようはいただいた御礼になるわけである。いくつかの作品を喜びつついただき、そしてお別れをしたのであった。ロリーさんは我々夫婦を良く覚えて居てくださり、2012年に滞在したとき、夫婦で歩いていると、すれ違った方が呼び止めるのである。ロリーさんであった。羊子の家に来たばかりで、まだロリーさんに挨拶をしていなかったのである。親しくお交わりができたことを感謝している。
 今日はまだ書き留めておくことがある。やはりレージェスである。いつものように夕食をいただいた後に、デザートとしてケーキが出される。このケーキには仕掛けがあるというのである。四人で一つのケーキを食べるには多すぎる。それで半分を四つに分けていただいたのであった。ケーキを食べていると、フォークの先に何か引っかかるものが出てきた。ケーキのクリームで何だかわからない。それでそのまま口にいれ、クリームを食べて引っかかるものを出してみる。小さなお人形で、それがレージェスだというのである。なるほど王様のお人形である。ケーキからレージェスが出てきた人は王冠をかぶせられるのである。スミさんのケーキからは干したソラマメが出てきた。この場合、ケーキ代を支払わなければならないとか。それは免除ということになり、こんな遊びのあるケーキの食べ方を喜んだのであった。セルクスのコンチータさんを訪問し、食事後にプレゼントのクジ引きごっこをして楽しんだが、こちらでは何事も楽しい仕掛け、習慣を持ちながら過ごしていると示されるのである。年末年始にカウントダウンと共にぶどうを食べる習慣も然りである。誕生会では誕生日を迎えた人が御馳走を作ることも楽しい習慣である。先日の羊子の誕生日には、羊子は日本の巻きずしを作り、皆さんに喜んでいただいた。2011年は4月から5月まで滞在した。丁度、私の誕生日を迎える。そのため親しい人達をお招きしてある。ところがその時、風邪気味で料理を作るどころではなかった。私としては焼きそばを作ろうかと思っていたのである。結局、スミさんや羊子が代わりにご馳走を用意してくれたのである。バルセロナ滞在は楽しいことをいっぱい経験したようである。それらの楽しい思い出も旅行カバンの中にギューギューと詰め込んだのであった。



スペインにおける顕現祭の王様たち。船に乗ってやってくる。



お隣のロリーさんにお別れの挨拶をするも、
たくさんの贈り物をいただく。



レージェスの仕掛けがあるケーキ。



レージェスが当たり、王冠をかぶせられる。