鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<52>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<52>
2014年12月28日続きの続き「詩を読む会に出席する」



 サンタコロマのカルチャーセンターで開催される「詩を読む会」は午後6時からであるが、時間通りには始まらなかった。それでも10分くらい遅れて開会となる。最初に館長であるホセ・ルイス神父さんが挨拶を行う。このカルチャーセンターにはいろいろなグループがあるそうだ。歌を歌うグループ、詩を読む会等があり、時には発表会の様なことをしているのである。やはり高齢者が多いようであるが、必ずしも高齢者ばかりではなく、結構若い人も交じっているようである。「詩を読む会」には40人くらいが集まったようである。会のメンバーが自分の好きな詩を読むのである。詩を読む場合、淡々と読まれる人もいるが、抑揚をつけて、感情をむき出しにしながら読まれる人もおられる。詩にしても自分で作った作品を読む人、またどなたかの自分の好きな詩を読む人、いろいろな取り組みである。詩を読んでいる間中、羊子がバックミュージックとしてピアノを弾いている。そして次の人との合間に、クリスマスの讃美歌を演奏するのであった。それぞれのテーブルにはクリスマスのお菓子が並べられており、飲み物が配られている。私もカヴァをいただいたが、カルミナさんのお宅での食事の時にもいただいているし、配られてもテーブルに置いておくだけにした。カルミナさん宅で共に食事をしたインマさんやエレナさん、そしてカルミナさん達はカルチャーセンターの世話人で、皆さんの接待をしていた。
 テーブルに置かれているお菓子を食べないのは訳がある。こちらに来る前、自宅にいるとき、羊子がサンタコロマの「詩を読む会」で私のハーモニカの演奏をするようにということであった。普段は全くハーモニカを吹いていないし、だから人前で吹くには自信がない。そのため、その時は断ったのであった。それはそれでも良いと羊子は言っていた。しかし、羊子がいないとき、自宅にてクリスマスの曲をどのくらい演奏できるのか吹いてみる。結構、はずれるが、それでも何とか演奏になりそうなので、讃美歌の何番を演奏できるのか書き出しておいた。そして、サンタコロマに向かうにあたりハーモニカと讃美歌をカバンに入れておく。向かう途中。羊子がハーモニカを持ってきたか聞くので、正直に持参していることを述べておいた。羊子も私が断ったとしても、持参するに違いないと思っていたのである。だから、「詩を読む会」でお菓子を食べなかったのは、口の中にお菓子が残るからである。いろいろな人が詩を読み、もう終わりに近い頃になって、いよいよ私の出番となった。讃美歌のどの曲を演奏できるか書き出しているので、それを羊子に見せ、結局讃美歌21の263番「荒野のはてに」を演奏することにした。最初に私がハーモニカで演奏し、次に連れ合いのスミさんが独唱する。羊子の伴奏のもとに何とか演奏し。皆さんから拍手をしていただく。もちろん儀礼的拍手である。
 12月23日に羊子の誕生会に皆さんが羊子の家にお出でくださったとき、誕生日ケーキの火を消すときハーモニカで「ハッピーバースデイ」を吹いたのであるが、ローソクの火が消されると共に、讃美歌54年版158番の「あめにはみつかい」をハーモニカで演奏する。ベートーベンの第九の一節である。もちろん決してよい演奏ではないが、皆さんが称賛してくれる。その後、お会いする人は、ハーモニカを吹く真似をして、「良かった」と言ってくれている。日本では私がハーモニカの演奏をすることを誰もしらないのに、こちらではいつの間にかハーモニカの演奏家になっているのである。ハーモニカを吹いている写真を日本のみなさんに送っているので、大塚平安教会の新会堂献堂祝会で、ぜひ演奏していただきたいと要望されている。しかし、皆さんのご期待にはお応えできないであろう。小学生の時代からハーモニカを吹いているのに、青山教会、陸前古川教会、大塚平安教会時代、一度も皆さんの前でハーモニカを吹くことはなかった。祝会ではそれなりに楽しさがあり、私の出番など一度も考えたことはなかったのである。
 「詩を読む会」は終わりに羊子のピアノの名曲演奏で終わりになる。帰宅したのは午後10時まであった。お昼にカルミナさんの家でたくさんいただいたので、連れ合いのスミさんもイグナシさんも夕食は食べなかったが、私と羊子は野菜とハムくらいの軽い食事をしたのであった。今日は一日いろいろなことを経験した日であった。お隣のロリーさんがけがをされたこと、バルセロナプロテスタント教会の礼拝に出席したこと、サルダーナの踊りを見学したこと、カルミナさんに食事を招待されたこと、「詩を読む会」に出席したこと等、一日の体験を三回に分けて報告している。



詩を読む会にお集まりの皆さん。



皆さんが順次詩を読む間、読まれる詩に合わせながら静かにピアノを弾いている。



ハーモニカは案外珍しい楽器の様で…。



いつも御世話になっているカルミナさん。
この日もおいしいお昼の食事を御馳走になっている。