鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<41>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<41>
2014年12月15日「待降の気持ちを現しつつ」



 クリスマスまで後10日となる。キリスト教では11月30日から待降節となり、主イエス・キリストがお生まれになる日を待望するようになる。それはクリスマスの四週間前から始まるのである。プロテスタント教会の場合、クリスマスに近い日曜日をクリスマス礼拝にしているので、今年は12月21日にクリスマス礼拝をささげる教会が多いであろう。しかし、カトリック教会の場合、12月21日は普通の日のミサであり、クリスマスのミサではない。暦通り12月24日にクリスマスのミサを行うのである。日本では教会でも12月25日が終わればクリスマスではなくなるのであるが、キリスト教の国では1月6日までクリスマスが続いているのである。今は待降節であり、やはり人々はクリスマスを待望しつつ過ごしているのである。
 日本のクリスマス飾りはイルミネーションが華やかである。いろいろな色の豆電球により、クリスマスの賑わいを示しているのである。それは商店街でも飾られているが、多くの場合、各商店が賑やかに飾りつけているのである。地域によっては巨大なクリスマスツリーが飾られる。バルセロナでもクリスマス飾りは賑やかである。しかし、商店の中に華やかに飾られる状況は見かけない。むしろ、地域ごとに電飾でクリスマスをあらわしているのである。それぞれの地域が、通りに電飾でクリスマスをあらわしているのである。だから昼間は目立たないのであるが、夜の市街地はその様な電飾で、思わず心が奪われるのであった。先日の青少年オーケストラのコンサート、イグナシの叔母さん夫婦にお招きを受けたとき、いずれも帰りは午後11時頃であり、帰りの車の中で、その電飾で思わず声を上げたのであった。
 待降節になる頃からクリスマスグッズを売る屋台が出るようになったことについては記している。クリスマスに関わるお人形さんが多いようだ。これらの人形を飾るとかなり賑やかなクリスマスになる。一度には買えないので、毎年少しずつ買っている人もあるという。ツリーを売る店、ツリーに飾るものを売る店、そしてクリスマスには関係しないお菓子、食品、民芸品、衣料品等なんでもある。しかし、その様ないろいろな店の中に、変な店がある。それはウンチをしている人形である。あらゆる人々がそれぞれの衣装でウンチをしている人形なのである。なんでこのような人形が売られるのであろうかと思う。それと共に不思議な思いがあるのはカガティオというものである。これは「ウンチおじさん」と言う意味である。太い丸太に布をかぶせる。クリスマスに子ども達が「カガティオ、カガティオ」と言いながら棒でたたくのである。叩くことによって丸太に仕掛けられているお菓子が下に落ちるのである。すると子ども達は「おじさんがウンチした」と言いつつお菓子を喜ぶのであるという。これも変な風習である。カガティオは大きな丸太であるが、飾りのミニチュアが売られているのである。
 2010年3月に大塚平安教会を退任し、4月から9月まで横浜本牧教会の代務者を務めたが10月からは無任所牧師になる。従って、どこの教会にも属さないので、クリスマスの準備をしなくなる。準備というのは飾りつけである。それでも昨年あたりから玄関の扉にクリスマスリースを飾るようにした。やはりクリスマスの飾りつけをすると、一層クリスマスを迎える思いが深められるのである。その準備を消し去ることができない傷跡が残っている。左足の脛に傷跡を残しているのである。大塚平安教会時代にクリスマスが終わって次の日曜日、すなわち歳晩礼拝後にはクリスマス飾りを片付けることになっていた。しかし、日本の社会はクリスマスが終われば松飾りにもなり、いつまでもクリスマス飾りはないのである。それで少なくともイルミネーションだけは外しておこうと、時間もあることだし、一人でその作業を始める。ところが足を滑らしてすりむいてしまったのである。誰かに話せば、牧師はそんなことをする必要はなかったのにという言葉が聞こえてくるので、誰にも話さないし、家族にも内緒にしておいた。それが12月の終わりの頃である。そして翌年の夏頃にその傷が発覚するのである。夏になって半ズボンをはくようになり、傷跡が露出するようになったからである。半年遅れで家族に叱られたというわけである。
 日本では商店街がクリスマスソングを流しているが、こちらでは聞こえてこない。聞こえるのはサグラダ・ファミリアの時を知らせる鐘の音と曲である。それだけで十分心が休まるので、やたらにクリスマスソングを流してもらいたくないと思う。そういえば時を知らせる教会の鐘のメロディーはクリスマス讃美歌になっている。クリスマスまで後10日である。主イエス・キリストのご降誕を知らせる鐘の音が毎日発信されているのである。



街の通りに飾られているクリスマス。



それぞれの通りによって異なる電飾。
競い合っているようである。



羊子の家に飾られているクリスマス物語。
右にあるのがカガティオのミニチュア。



クリスマスの喜びを鐘の音で知らせるサグラダ・ファミリア
鐘の音は夜の9時までである。