鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

バルセロナ滞在記「聖誕の門を仰ぎ見つつ」<10>

バルセロナ滞在記(2014年10月21日〜)<10>
2014年10月30日「幾つになっても」



 早いもので、日本を10月21日に飛び立ち、バルセロナはそのときはまだサマータイムであるので、日本に対して7時間遅れであり、21日の夕刻に着く。そして、瞬く間に日が過ぎて、29日は星子が帰国した。星子は姉の結婚式のためにバルセロナに来たので観光ではない。25日の羊子の結婚式まで、いろいろなことをしながら過ごす。26日は二つのカトリック教会のミサに出席したので、どこも見学はできなかったが、27日と28日は幾つかのスポットを見学できたので喜びつつ帰国した。
 ところで星子が一人で帰国することに対しては、日本を出発するときから心配していたのである。バルセロナに来るときは一緒であったが、星子は我々夫婦のようにいつまでもいるわけにはいかない。10日間も休みをいただいた職場に対して申し訳なく、そして感謝しているのである。だから29日には一人で帰国したのである。親は幾つになっても、子どもに対しては親である。一人で帰国する星子が心配でならないのである。だから日本を出発するときは、星子に出国手続きをしてもらう。なるべく星子が空の旅に慣れてもらうためである。バルセロナを29日の午後1時30分に飛び立ち、フランクフルト経由で、そこから午後6時に日本に向かう。11時間のフライトであるので、バルセロナの時間で30日の午前5時には羽田飛行場に着く。日本時間は30日の午後1時頃となる。羽田には三番目の子供、優が迎えに出てくれる。無事に着いたことを羊子にメールで知らせることになっていたのである。朝になって、無事の到着を知り、本当に安心したのであった。
 バルセロナの飛行場までは羊子が車を運転し、我々夫婦も見送りに行く。今までは我々がバルセロナを訪れ、そして帰るときには羊子に見送られたのであるが、今回は我々が星子を見送っているのである。こちらで生活していると、いろいろな人とお会いするたびに、握手したりハグしたりする。そういう生活に慣れてしまい、我々も星子とハグして見送ったのである。日本人としては考えられないことでもある。日本では親子でもハグなんかしないであろう。とても良いことだと思う。2011年にバルセロナに来て、公認ガイドの山田修平さんに観光地を案内されたとき、星子と腕を組んで歩いたものである。山田さんが、観光地は物騒なので、腕を組んでいれば狙われないと言われたのである。日本にいるとき、親子で腕を組んで歩いたことが無いので、当初は気持ちが落ち着かなかったが、こちらで生活習慣が変えられたようである。とにかく30日は一日中、星子の無事の帰国を心に示されては神様に感謝し、喜んでいたのである。幾つになっても、子どもに対して親は親なのである。
 飛行場からバルセロナ市街に戻り、家の近くで羊子と別れる。羊子は仕事で出かけて行く。我々夫婦はそぞろ歩きに帰ってきたのであるが、途中に懐かしい八百屋さんが目に留まる。スミさんがぜひ寄りたいと言うのである。2012年の滞在で、この八百屋さんにはよく買いに来たものである。中国人の女性店員に対して、スミさんは何かと話しかける。日本語、英語、スペイン語の単語を並べ立てて話しかけるが、ほとんど通じないようである。しかし、雰囲気で受け止めてくれているようであった。二年ぶりの再会で、八百屋さんの女性も我々を覚えてくれていたようである。我々を見て笑顔で挨拶してくれた。こうして再会を喜ぶが、二年も経れば人が変わることだってある。カプラボと言うスーパーの肉屋のお姉さん、魚屋のおばさんは2012年に来た時、2011年に来た時と変わらなかった。しかし、それから二年後は二人ともいなかった。ちょっと寂しい思いである。レジのお姉さんは2011年以来、変わらずに務めておられる。
 羊子の友人の皆さんは、変わらない姿であるが、やはり多少の変化があるものだ。二年もすれば、それだけ年齢も増し、境遇の変化があるだろう。パロキアの教会で世話人として活躍していた婦人、羊子をかわいがってくれて、何かと心にかけてくれていたが、既に天に召されているのである。また、パロキアの神父さんも変わっていた。2011年、2012年、そして今回、いつも神父さんが変わっているのである。カトリック教会の歩みなのだろう。日本のプロテスタントの教会のように、招聘した牧師は特別な事情がない限り、長く続けているのとは異なる。それはそれで教会の皆さんも教会を中心に信仰生活をしているので、神父さんが変わっても信仰生活は変わらないのである。
 星子が無事に帰国して、再び今までの職場で務めを果たしつつ生活すること、神様のお導きをお祈りしている。



コロン通りに置かれているラ・ガンバ(巨大エビ)を楽しみつつ。
28日に訪れる。



羊子のマンションの玄関で。帰国前に記念撮影。



搭乗手続きの前。



いつも買い物に行くスーパーマーケット「カプラボ」。