鈴木伸治の徒然記

永年の牧師、園長を隠退し、思い出と共に現況を綴ります

隠退牧師の徒然記<253>

隠退牧師の徒然記(2013年7月20日〜)<253>
2014年5月19日「いろいろと言われているが…」


聖書の言葉
エスはこれを聞くと、船に乗ってそこを去り、ひとり人里離れたところに退かれた。しかし、群衆はそのことを聞き、方々の町から歩いて後を追った。
(マタイによる福音書14章13-21節。同じような記録がマルコによる福音書6章30-44節、ルカによる福音書9章10-17節、ヨハネによる福音書6章1-14節にも記されている。)



スペイン・バルセロナには「バルセロナ日本語で聖書を読む会」がある。私どもの娘・羊子もそのメンバーの一人であり、私達夫婦が2011年4月からと2012年9月からそれぞれ2ヶ月ずつバルセロナに滞在したとき、私達もその集いに出席させていただいている。集会では奨励を務めさせていただいたのである。「バルセロナ日本語で聖書を読む会」は下山由紀子さんが中心になって集会を続けておられる。1991年から集会が始められ、2011年をもって20周年になり、「記念誌」を発行している。私たちも、連れ合いのスミさんや二番目の娘の星子も2011年4月から2か月間バルセロナに滞在し、聖書の会の皆さんとお交わりがあったことから、その「記念誌」に寄稿している。
その「バルセロナ日本語で聖書を読む会」は毎月「月報」を発行して、その都度ご恵送くださっている。中心になっている下山由紀子さんが精力的に発行しておられるのである。月報にはヨーロッパの各国のキリスト教の集いが報告されている。各国で開かれている集会の皆さんが下山さんに情報を寄せられるのである。毎月、送られて来る月報を読むことで、ヨーロッパのキリスト教事情を知ることが出来、感謝しつつ読んでいるのである。
最近号は4月号であるが、興味あることが記されていたのでここに紹介しておきたい。前回のブログは、羊子から一時帰国のお土産にもらったミニハーモニカについて記したが、ミニということで、飾られている「ミニ本」に関心が寄せられていたのである。ミニ本とは「星の王子様」のミニ本であり、スペイン語の本である。この本は2011年4月にバルセロナで滞在したとき、4月23日の「サンジョルディ」の「本と花のお祭りの日」に求めたのである。バルセロナカタルーニャの一部であるが、そのカタルーニャの古くからお祝いされていると言われる。男性は女性にバラの花を贈り、女性は男性に本を贈る日なのである。そのためバルセロナのメイン通りには花と本の店が立ち並ぶ。本は一割ほど安いとか。カタルーニャ地域ばかりではなく、スペイン各地からも集まってくるのだと言われる。私も星子と共に羊子の友人である路美さんに連れられて、参考までに出かけて行ったのである。人、人、人の群れであり、道を歩くのもままならぬ状況であった。その時、私は男性として女性の皆さん、連れ合い、路美さん、羊子、星子のために造花のブローチを買い求める。女性たちからは本が贈られたのであるが、ミニ本を扱う本屋さんも出店しており、「EL PRINCIPITO」(星の王子様)のミニ版を私の希望として贈られたのであった。いつかスペイン語を勉強して読もう、と思っているが、もう3年も飾られたままである。4×6×2センチメートルのミニである。その時、本屋さんには村上春樹著「IQ84」もスペイン語版で販売されていた。
バルセロナ日本語で聖書を読む会」の月報4月号に記されていたことを紹介するのは、「本と花のお祭り」であるサンジョルディの日についてである。月報には次のように説明している。
「サンジョルディの由来はいろいろ語られていると思いますが、女性が男性に本を贈るのは、この日が『ドン・キホーテ』の著者、ミゲル・デ・セルバンテスの命日だからです(スペインは全国的に本の記念日です)。バラは、かつてスペインがローマ帝国支配下にあったころ、この時期にバラ祭りというものがあり、詩人が詩を謡いあげてその出来を競ったそうですが、3位受賞者には銀細工、2位受賞者には金細工、そして最優秀者にはバラの花が1輪贈られたそうです。それは、金細工や銀細工は人間が作ったもので、バラの花は神にしか造ることができないものだからだそうです。そこで、私たち参加者も全員、神様からの愛の贈り物であるバラを1輪ずつ受け取って帰宅しました。皆様にもぜひ。」
 以上のような説明は初めて知ることであり、今まで理解していたことよりも、良い説明であると示されたのである。今までは旅行社の案内書より理解していた。
この「サン・ジョルディの日」のいわれは、カタルーニャ守護聖人サン・ジョルディにまつわる伝説に由来している。その昔、カタルーニャ地方の村に1匹の龍が住んでいた。この龍の息には毒があり、遠くからでも人を殺すことができたという。恐怖におののいた村人たちは、くじ引で毎日1人ずついけにえを差し出すことを決めた。ある日、王家の姫がくじに当たってしまった。王は姫の命を救ってくれるよう頼んだが、村人たちは王の願いを聞き入れず、姫を龍のもとに送った。するとそのとき、白い馬にまたがり、黄金に光輝く剣をふりかざした若き騎士が現れた。この騎士こそが、サン・ジョルディである。彼は驚く姫に「姫を救い、悪龍を退治して、平和な村にするために来ました」と告げ、龍を剣で一突きにした。そのとき流れ出した血から、一輪の赤いバラの花が生まれたという。本を贈る習慣も、かつてはカタルーニャ語の本を贈り、ひそかにカタルーニャへの愛を確かめる特別な意味があったということである。
 いろいろと言い伝えがあるようであるが、男性が女性に花を贈り、女性が男性に本を贈るお祭りは、とても良いことであると思う。日本でもその日は4月23日であるから、「23=フミ」の日として本が贈られる日になってもらいたいと願っているのであるが。



「星の王子様」の日本版とミニスペイン版。
マス目は1センチメートル。



サンジョルディの日。通りには花屋さんが並ぶ。



こちらは本屋さん。
いずれも2011年4月23日に星子が写した写真。